バックパック一つでブラジル代表合流後、待っていたのはまさかのスペイン行き

 現役時代にACミランレアル・マドリードで活躍した元ブラジル代表MFカカが、4月22日に38歳の誕生日を迎えた。カカの代理人を務めていたガエタノ・パオリージョ氏は、2009年にミランからレアルへ移籍した際の裏話を明かしている。スペイン紙「マルカ」が報じている。

 パオリージョ氏によると、当時のミランはカカの放出を望んでいなかったという。しかし、経営的に苦しかった名門は、選手売却で移籍金を得る必要があり、決断を迫られたのだった。

 さらに、「真実を言うと、カカもミランを離れたくなかったんだ。彼も、彼の家族も、ミラノに満足していたからね。しかし、クラブは彼を売り出さざるを得なかった。そして当時のレアル・マドリードは、売却先としては最高だったんだ」と、カカ自身の意向も明かしている。

 当時のミランでCEOを務めていたアドリアーノ・ガッリアーニ氏も売却を望んでいなかったというが、彼の意志に左右される問題ではなかったと説明したパオリージョ氏は、「もちろん、レアル・マドリードはいつもレアル・マドリードだ。私たちは他のクラブの話をしているわけではない。でも、彼がスペインで勝ち獲ったものは、ACミラン時代とは比べ物にならない」と、スペインでのキャリアが満足にいくものではなかったと説明した。

 2009年の移籍が実現する前から、レアルはカカの獲得を希望していたという。パオリージョ氏は、「毎年、レアルはカカを獲得できるチャンスがあるのかと問い合わせをしてきたんだ。クラブの幹部が私の家に来て、カカの父と話し合いの場を持ったこともある。カカは移籍対象の選手ではなかったし、彼は常に『ミランを離れたくない』と言い続けていたんだ」と、深い愛情を持っていたことを明かしている。

 移籍決定は突然だった。カカはバックパックを一つだけ持ってブラジル代表に合流するためにミラノのマルペンサ空港に向かい、パオリージョ氏に「戻ってきたら、またここで会おう!」と言い残したが、ミランレアルに彼を売却することとなり、彼はそのままスペイン入りしたという。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くのクラブの財政難が取り沙汰されている今、選手やクラブの意に沿わない移籍が、今夏以降は増えることになるかもしれない。(Football ZONE web編集部)

2009年にACミランからレアル・マドリードへと移籍をしたMFカカ【写真:Getty Images】