1996年シリーズ第1作が大ヒットし、以降はリリースされるハードの特性や時代に合わせた進化(固定カメラからTPSへの視点変更、シューティング要素の強化etc……)を続け、サバイバルホラーというゲームジャンルを確立した『バイオハザードシリーズ。近年はカプコンが自社開発した “RE ENGINE”を用いて製作された『バイオハザード7 レジデント イービル』(2017年発売)があらためて映像、演出面でも高い評価を獲得し、続いて発売されたシリーズ第2作のリメイクバイオハザード RE:2』(2019年発売)もヒット。本記事ではそんな流れのなかで2020年4月3日リリースされたシリーズ最新作、『バイオハザード RE:3』を紹介。現行の技術でよみがえったからこそ味わえるフレッシュな恐怖体験と、2周目以降で印象がガラリと変わるアクションシューティングとしての魅力を語っていきたい。



文 / マンモス丸谷

◆ふつうに怖い1周目のゲームプレイ

本作『バイオハザード RE:3』はそのタイトルが示すとおり、シリーズ第3作『バイオハザード3 ラストエスケープ』をリメイクしたもの。しかしリメイクといっても、1999年に初代PlayStation(R)で発売されたタイトルを現行のハードに合わせたグラフィックゲームシステムにブラッシュアップされているため、共通しているのは大まかなストーリーベースとなる設定、登場人物ぐらい。20年以上まえに発売されたオリジナル版をよほど鮮明に覚えてでもいない限り、ジル・バレンタインカルロス・オリヴェイラ(旧『バイオハザード3』からは見た目&性格が別人のように変化)のラクーンシティ脱出劇を既視感なくプレイできる作りになっている。
それでも『ラストエスケープ』と『バイオハザード RE:3』を比較するのであれば、まず一番大きいのは、グラフィックと演出の進化によってゲームプレイ中つねに恐怖を感じること。自分はホラーゲームホラー映画などをそれなりに嗜んでいるクチなのだが、本作では死角からゾンビに襲われるたびに自覚できるレベルで脈拍数が上昇。そして常時ヘッドホンプレイしていたためか、ささいな環境音の変化やふだんは抑えめだが要所では不穏なBGM効果音が流れるというベタではあるが有効な恐怖感を煽る演出にもことごとくハマり、初回プレイ時は移動するだけでもかなりの負荷を受けた。要はめちゃくちゃビビりながら、ジルやカルロスを操作していたのだ。

映像と音の演出によって感じる恐怖、死角から襲いかかってくる敵への対処(屋外での戦闘も多いが全体的な画面の暗さ&絶妙な場所への敵の配置により、不意打ちを受けやすい)などでプレイ中の多くの時間で緊張を強いられる本作だが、移動や戦闘、ゲームの進行に関わる謎解きといった要素以外では極力ストレスを感じさせないような配慮はされている。すべてのグラフィックリアルになったがゆえに背景と判別がつきづらいアイテムや開閉可能な扉については近づけばもれなくカーソルが表示されるし、マップを開けばアイコンとともにここの扉は錠前がかけられていてキーピックが必要、ここはIDカードが必要といったような情報も表示されるため、必要なアイテムや行くべき場所を見失うようなことはまず起こらない。

背景に関してはグラフィッククオリティアップしたことで、そこから得られる情報の密度も高くなっている点に注目してプレイを進めていくと、より現行の技術でリメイクされた意味を感じられると思う。いくつか例を挙げると、たとえば地下鉄ショップに貼られているポスターに注目してみると、シリーズプレイしてきたユーザーにはおなじみとなる悪の製薬会社アンブレラグループの商品を宣伝していたりして、そこから『バイオハザード』の世界が持つそこはかとないディストピア感が感じられる。また、ゾンビが大量発生し崩壊した病院ステージの作りに目を向けると、病棟内の最も奥まった場所に築かれたバリケードの奥に子ども用と思われるベッドが複数置かれていて、そこから「これはゾンビ化していない病院スタッフ子どもだけは逃がそうとしたのでは……」といったことも深読みできたりする。こういったゲームの進行には直接関係ない描写も格段に質が上がっているので、本作のストーリー、演出を存分に楽しめる初回プレイ時は、画面の情報量に注目してゲームを進めてみてほしい。

アクションシューティングとして楽しい“2周目”以降

しかし、グラフィックの力やストーリー上の演出による恐怖や発見といった感情の動きは、基本的に初回プレイ時が最高潮でその後はどうしても減退していくもの。そして、そんな事実は『バイオハザードシリーズを作り続けているスタッフなら百も承知な話。そのため本作もこれまで発売された過去作と同じく、2周目以降のプレイを飽きさせないさまざまな趣向が凝らされている。
その最たるものが、本編をクリアすると開放されるショップの存在。ここではゲームクリア時のランクに応じて得られるスコアポイントを消費することで、携帯するとジルやカルロスの基本能力がアップするアイテム、弾数が無限のハンドガンエネルギー兵器といった特殊な武器を購入できる。これらのアイテムや武器があれば(一度クリアできた難易度での再プレイなら)、本作はゾンビやネメシスを相手に生き延びるサバイバルホラーではなく、精確な射撃で行く手を阻む敵を倒していくアクションシューティングへと変貌。さらにランクを上げるにはクリアタイムを短縮することが重要になるため、ポイントを意識してプレイしだすとつねにタイムアタックに挑戦しているような感覚も加わる。そして『バイオハザード』の周回プレイで外せない要素といえば超高難易度への挑戦。初期状態から用意されている高難易度モードHARDCORE”をクリアすれば、純粋にゲーム難易度が上がるうえにアイテムの位置や敵の挙動も変わる“NIGHTMARE”が現れ、NIGTMAREが終われば満を持して最高難易度の“INFERNO”が出現する。

ショップアイテムを携帯していてもHARDCOREプレイ中にうっかりぬことが少なくない筆者にとっては、NIGHTMAREINFERNOに関しては正直手に余る存在。そのためここで超高難易度に挑む楽しさについて言及できるレベルにはないのだが、オーバーテクノロジーな武器でゾンビをなぎ倒す快感、プレイするたびにクリアタイムが短縮されていき上達を実感できるといった、周回プレイならではの遊びは今回久々に堪能させてもらった。ショップポイント稼ぎに関しては、イージーモード難易度 “ASSISTED”でプレイ→達成条件が厳しいレコードをおさえつつゲームクリアポイントを上乗せという抜け道も用意されているので、アイテムゲームの雰囲気が一変する感覚はぜひ味わってみてほしい。

バイオハザード RE:3』は初回プレイ時のみに楽しめる要素、グラフィックの進化によるゾンビに感じる恐怖、ストーリー進行に合わせて人型から四足歩行の果てにRPGに出てくるような巨大モンスターになるネメシスの形態変化のインパクトだけに目を向けると、若干ボリューム不足に感じる面があるのは確か。しかし、くり返しになるが2周目以降に提示される本作の遊びかたは幅広く、むしろ“一度ゲームを終わらせてからが本番“といわんばかりの充実ぶり。NIGHTMAREINFERNOといった高難易度モードへの挑戦はもちろん、低めの難易度を選んでもショップアイテムを駆使してのタイムアタック(必要な戦闘以外は“S.T.A.R.S.式体術教本“で強化した緊急回避で避けていき、“スプリンター”のレコード獲得を目指す)、スコアアタック(弾数が無限の武器で敵をせん滅しつつ、回復アイテムを使わずに“エコノミスト”のレコードを達成する)など、作業にならない周回プレイが楽しめるはずだ。次回は本作に収録されているオンライン専用タイトル、『バイオハザード レジスタンス』の魅力を紹介したい。

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バイオハザード RE:3オリジナルを超える恐怖体験とアクションゲームの両立は、WHAT's IN? tokyoへ。
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掲載:M-ON! Press