欧州宇宙機関(ESA)の木星とその衛星探査機JUICEが、2022年5月の打ち上げに向けて、ドイツフリードリヒハーフェンで最終組み立て作業が始まりました。製造を担当するエアバスとESAが2020年4月23日(現地時間)に発表しています。

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 木星探査機JUICEJUpiter ICy moons Explorer)は、木星とその衛星であるガニメデエウロパカリストガリレオ・ガリレイが発見した4衛星のうちの3つで、命名者は同時期に観測していたドイツ天文学シモン・マリウス)を観測するために作られたもの。7年がかりで木星まで飛行し、3年にわたって観測が続けられる予定です。

 ガニメデエウロパカリストの各衛星は、表面を覆う氷の下に液体の海がある可能性が示唆されており、それらの証拠を探ると同時に、生命活動の痕跡がないかについても調査することになっています。

 重量5.2トンの探査機本体に関してはエアバスが、そして木星まで飛行するメインエンジンに関してはアリアンスペースが製造を担当しています。搭載している観測機器は、カメラや分光計、氷の層を透過するレーダーに磁力センサーなど10種類。

 エアバスでは、本体の構造部分をスペインのマドリッドにある事業所で製作。次いでドイツシュツットガルトに近いランポルツハウゼンにある、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のランポルツハウゼン・センターに隣接するアリアンスペースの事業所で、メインエンジンや姿勢制御用スラスターの組み込みが行われました。

 陸路でフリードリヒハーフェンのエアバス事業所に搬入されたJUICEは、ここで各種観測機器や、制御用のミッションコンピュータ、通信機器などが組付けられます。作業は新型コロナウイルスの感染防止につとめながら、最大60人の技術者が2交代制であたるとしています。

 探査機が完成すれば、次はオランダノールヴァイク(アムステルダムとハーグの中間に位置する街)にある、ESAの試験センターで環境試験が実施されます。現在のところ、JUICEの打ち上げは2022年5月、木星軌道への到着は7年後の2029年10月を予定しています。

<出典・引用>
欧州宇宙機関(ESA) ニュースリリース
エアバス ニュースリリース
Image:ESA/Airbus

(咲村珠樹)

ヨーロッパの木星探査機JUICE ドイツで最終組み立て開始