コロナ禍で外出自粛が続くなか、生活必需品などの買い物にスーパーマーケットを利用する際の「三密(密閉・密集・密接)」を心配する声もあったが、4月23日小池百合子都知事より新たに「3日に1回の買い物」という呼びかけがあった。そこで今回は、”最も身近なおでかけ先”であるスーパーマーケットについて、今だから気を付けるべきことをスーパーマーケット研究家の菅原佳己(すがわらよしみ)さんに話を聞いた。買い出しの際に安全に、賢く、気持ちよく利用するための大事なポイントと、“お買い物心得”を紹介。スーパーの正しい利用法を今一度、確認してみよう。

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スーパーマーケットは生活の命綱 ――今、大事な3つのこと

コロナ禍の中、家で過ごす情報ニーズが高まっている。家でフルーツサンドタピオカドリンクなどトレンドグルメを作ったり、テイクアウト情報を収集したり、家あそびなどお家の時間を充実させるのも大切。しかし、それらを支える「日々の生活」をするために必要なスーパーマーケットの買い出しに今回は着目。

「重要なことはこの3つ。 『感染予防』『パニックに加担しない』『感染させない』 。自分がウイルスをもらわないことは当然ですが、もっと大事なのは、自分が既に感染者だと思って行動すること。ライフラインであるスーパーマーケットウイルスを持ち込めば、地域の食の供給を断つことになりかねないのです。従業員に感染させることは阻止しなければなりません」

菅原さんは、自分を守り、ライフラインを守るための行動として、3つのゾーン<家で準備できること><スーパー内ですべきこと><レジ~帰宅後にできること>についてアドバイスをくれた。

■家での準備4カ条

1.体調が悪ければ絶対に買い物に行かない

2.体調がよくてもマスク着用

3.空いている時間帯に短時間で利用

4.一人で行く(子供を連れて行かない)

「まず、家を出る前、自分の体調のチェックは必須。必要ならネットスーパーを利用することもできます。そして、体調がすこぶるよくても、『無症状感染の自分が他人にうつす可能性』を考え、必ずマスク着用で買い物をしましょう。すでに多くの国ではスーパーでの買い物時に客のマスク着用が義務づけられています。

混雑を避けるアイデアとして、東京都では事業者に対し、買い物かごを減らすほか、高齢者や妊婦、障害者の専用時間を設けること、また、SNSで空いている時間の発信も提案されました。グーグル検索でわかる、店の『混む時間帯』も参考に。買い物の頻度を3日に1回程度にして、かつ滞在時間を減らす工夫として、3日分の献立と買う物を家で決めてメモ書きしていくこと。売り場ごとの買い物リストをつくっておくと、買い忘れもなく滞在時間を短くできます。『献立を決めずに買い回る』のは、滞在時間を最も長くするが可能性があるため、今はやめておきましょう。

また、感染のリスクを限定的にするため、さらにおしゃべりして飛沫を発生させないために、買い物に慣れた人の単独行動がベスト。どうしても子供を同行させる場合は、乳児なら抱っこヒモで向かい合わせに抱き、幼児は専用カートに座らせ、商品に手が届かないコース取りで店内を回りましょう。

注意すべき点は、幼児はなんでもなめてしまいがちなため、除菌シートを持参するなどして、自前でこまめに消毒すること。聞き分けがつく年齢の子供には『やってはいけないこと』をきちんと説明してから連れて行くことが大切です」

スーパーマーケットですべきこと10カ条

いよいよ店内に入る。ここに挙げた項目のうち5~10までは、今や感染症予防対策としてよく知られた基本行動だが、11~14も要チェックだ。

5.出入り口に用意された消毒薬で手を消毒して入店

6.買い物中、目、鼻、口を触らない

7.人との距離を一定に保つ。従業員への質問も距離をあけて

8.大声でしゃべらない

9.買う商品以外は絶対に触らない

10.必要以上、買わない

11.善意からでも、品薄や空の棚の写真を拡散しない

12.欲しいものが売り切れていても、代用品で工夫する

13.店の設けた点数制限は守る

14.欠品や入荷未定商品があっても従業員を責めない、問い詰めない

まずは、9の「買う商品以外は絶対に触らない」について説明。「品物を手にとって品定めできるのが、スーパーマーケットの醍醐味ですが、現在は厳禁。長年の習慣で、つい触ってしまうということがないよう注意。同行する子供にも理解できるよう説明をしましょう」

10の「必要以上、買わない」については、「まだ品薄状態のトイレットッペーパー騒動は、デマにより一部消費者が必要以上に買いだめしたことでひき起こされました。それを見て『自分も買わなければ』と、自覚がないままにさらなる買い占めに加担してしまう集団心理を、目の当たりにしたことでしょう」

「実は、アメリカの最大手スーパーウォルマート』の調査で以前から知られているのは、『カートを使用すると、使用しないときに比べて購買点数は4倍』という結果。カートは『もっと買わせる』魔法の道具なのです。それを逆手にとって、『つい買いすぎてしまう』という人は、カゴのみを使用してみることをおすすめします。また別の調査では、滞在時間もおよそ1.7倍の差が出たということなので、感染リスクを減らすためには、カゴのみが有効かもしれません」(参考:ドラッグストア研究会「米国のドラッグストアの最新の商品構成」)

11の「善意からでも、品薄や空の棚の写真を拡散しない」については、「万が一、品切れや陳列棚が空っぽの状態を見つけても、SNS拡散してはいけません。それが、善意からの行動でも」と注意。「トイレットペーパー騒動も、後の分析で、最初のデマ投稿はほぼリツイートされず、逆にデマを否定する累計リツート数が翌日に30万を超え、それを見た大勢の不安が煽られ、騒動へと発展したことが分かってきています」

12の「ほしいものが売り切れていても、代用品で工夫する」では、「ないものは深追いせず、代用品で乗り切る方法で」と菅原さんは提案。「現在、保存が効き調理が簡単なパスタパスタソース(レトルト)の品薄が起こっています。こちらは細めの乾麺うどんやそうめんで代用できます。パスタソースの代用は、各社から販売されているジャージャー麺汁なし担々麺うどんレトルト商品は使いましょう。野菜をプラスしたり、具だくさんの味噌汁をつければ、ボリュームも栄養的にもパスタと同等か、それ以上になります。楽しく工夫して、苦難を乗り切りましょう!」

そして、13の「店の設けた点数制限は守る」、14の「欠品や入荷未定商品があっても従業員を責めない、問い詰めない」について。「再度、トレットペーパー・マスク不足騒動を振り返ってみましょう。買い物客から『なんで売り切れなんだ!』『いつ入荷するのか教えろ!』と恫喝され、心身をすり減らす従業員が全国に大勢いましたが、多くの欠品は買い占めによるもので、スーパー側の落ち度ではないことを理解してください」

■レジ~帰宅後にできること6カ条

15.レジに並ぶときは間隔をあける

16.支払いは、キャッシュレスがベター

17.共用の濡れタオルで指を湿らさない

18.家に帰ったら必ず手洗い

19.生鮮品は水洗い、パッケージは消毒薬で拭いてしまう

20.最後にもう一度手を洗う

コロナ対策の基本は『ソーシャルディスタンス(社会的距離)』。また、支払いは非接触ICといわれる、かざすだけのスマホ決済や電子マネーが理想です。現金払いの手渡し動作は、自分とレジ担当者の双方に、感染リスクが高まります。使える人はキャッシュレスで接触を減らしましょう」

「17の『共用の濡れタオルで指を湿らさない』は、ポリ袋を開けるときに濡れタオルを人と共用するのはNGということ。最近のポリ袋は静電気が起こらない加工をしているものが多く、かつてのように口が見つからないことが少なくなっています。わかりにくいときは水で濡らさずに、手のひらで挟んでこすり合わせると口が見つかります」

「また、米国の研究結果では、新型コロナウイルスの寿命について、ボール紙の上では24時間、ステンレスでは48時間、プラスチック上ではなんと72時間生存するという結果が出ています(参考:米国立アレルギー感染症研究所論文)。帰宅後、購入した商品をしまう前には、除菌をしたほうが安全です。生鮮品を水洗いし、パッケージを消毒薬で拭くことは、感染予防に有効と思われます。そして、家に帰ったら手洗いや消毒をしっかりすることは、あらゆる感染症対策の基本です」

コロナ禍の今だから、見直せたこと

「世界中が大変な状況ですが、人間は適応していく生き物であると思いたいですね。苦しい、つらい、不便なことばかりに目を向けず、今だから気づけたという良い面もあると思います。生活が改善された、ポジティブな面を意識して過ごすのも楽しいですよ」と菅原さん。

■食関連でポジティブになれたこと 

・外食を控えているため、家族で楽しく作りながら食べられるレパートリーが増えた(ホットプレートクッキングなど)

・子供も時間に余裕があるので、一緒に料理することが増えた(食育の充実)

飲み会も外食も自粛し、自炊した結果、家計が黒字に

・平時は「なぜ、私だけが買い物に」と不満だったが、今は「家族で私が一番リスク少なく買い物できる」という使命感に燃えている

・免疫力を高める、健康的な食生活を心がけるようになった

・買い過ぎないよう車で行くのをやめた結果、ガソリン代も体重も減った

スーパーマーケットポジティブになれたこと

・必要なものをあらかじめ決めて買ことを徹底した結果、無駄遣いが減った

・子供を連れて行かないようになり、不要なおもちゃお菓子を買わずにすむ

・改めて食べ物の大切さを感じ、使い切る、食べ切る、を心掛けるようになった

・『安いもの』『調理が簡単なもの』が選ぶ基準だったのが『体にいいもの』に変わった

・『外食しない分、いつもよりちょっと贅沢な食材や調味料』に興味を持つようになった

・乾物に全く興味がなかったが、保存性と栄養価の点から買うようになった

スーパーを守ることが、私たちの生活を守ることにつながる

「私たちは、食べなければ健康でいることはできません。食べることは、生きること。そして今は、スーパーを守ることが、私たちの生活を守ることです。緊急事態宣言下では、スーパーは家族で楽しげに過ごす場所ではありません。また、スーパーマスクティッシュを捨てていくのもやめましょう。

学校の休校で出勤できないスタッフも多く、スーパー人手不足です。緊急時のライフラインとしての誇りを持ち、感染リスクのある中でも働くスーパー従業員のみなさんは頑張っています。できれば労いの言葉をかけてあげたなら、無力な私たちも多少なりとも力になれるのではないかと思います。もちろん、感染もせず、感染もさせず、店員さんに感謝し、家族のためにいい買い物をしてきた自分も褒めてあげてください」

なお、消費者庁からは「新型コロナウイルス感染対策」の一環として、「買物をするときのお願い」が公開されているので、ぜひ参考に。

スーパーマーケット研究家 菅原佳己

1965年生まれ、東京在住。2012年「日本全国ご当地スーパー 掘り出しの逸品」、14年「日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品、見~つけた!」(講談社)を出版。専業主婦からスーパーマーケット研究家に。テレビラジオ、雑誌、新聞などメディアへの出演・掲載も多く、業界団体主催の『お弁当・お惣菜大賞2020』では審査員も務める

GW直前の今、身近なおでかけ先であるスーパーマーケットの利用の心得20カ条を紹介 ※写真はイメージ/ PRImageFactory/ゲッティイメージズ