新型コロナウイルス感染症予防のため、在宅勤務が推奨されています。在宅勤務の人の中には、取引先との会議や社内の打ち合わせで、オンライン会議用ツールの「Zoom」や「Google Meet」などを使ったビデオ会議を行っている人もいると思います。しかし、普段は直接顔を合わせて会議や打ち合わせをしている人にとっては、慣れずに戸惑うことも多いのではないでしょうか。

 知らず知らずのうちにしているかもしれないビデオ会議のNG行動とはどのようなものか、どのように対応すればよいのか、企業の人財育成マナーコンサルティングなどを行っているマナーコンサルタントのマナーズ博子さんが解説します。

大切なことを伝えるときはカメラを見る

【話す声が相手に聞き取りづらい】

 ビデオ会議では、ノートパソコンなどに内蔵されているマイクで声を拾い相手に届けます。しかし、思っている以上に相手は自分の声が聞き取りづらいものです。対面の会議で話すときよりも、声をクリアにすることを意識し、相手が聞き取りやすいようにはっきりと発声しましょう。

 中には、声が通りにくかったり、私もそうですが滑舌があまりよくなかったりということを自覚している人もいるでしょう。そうした人は、普段よりもゆっくりと話すようにすることを意識すると、相手も聞き取りやすくなるといわれます。パソコンで音声が明瞭に拾えないときには、マイク付きイヤホンなどを使うこともおすすめです。

【相手のどこを見ていいか分からず、視線が定まらない】

 対面での会議とは勝手が違うので、視線をどこに合わせればよいのか悩む人もいるでしょう。基本的には、パソコンの画面に視線を合わせて話すことに問題はありません。視線を画面からそらさないようにしましょう。

 ただ、画面を見ながら話すと、相手には少し下を向いているように見えます。画面の上側にカメラが付いているためです。大切な要点を相手に伝えたいときは、カメラを見るようにしましょう。相手にも、目を合わせて伝えているように見えます。質問をしたいときも、カメラを見て話すとよいでしょう。“めりはり”を付けることがポイントです。

 また、姿勢は正しく、首は曲げない、座って正面を向いたときに視線がくるところにパソコンを設置しましょう。ノートパソコンの場合は、ビデオ会議が始まる前にキーボード部分の下に土台となる箱などを重ねて、高さを調節すると定まりがよくなります。

【ビデオ会議中の自分の表情を気にしていない】

 会議をしているとき、自分では気付かないうちに、眉間にしわを寄せたり、硬い表情、難しい表情、無表情になったりしていることが意外に多いものです。ビデオ会議では、対面のときよりもその場の雰囲気が伝わりづらいため、こうした表情をしてしまうと「何か気に障ることを言ったかな」と、相手を不安にさせてしまいます。

 相手がどう思っているのかは、表情でしか見ることができないのです。表情には、顔の表情と声の表情があります。これらは連携しています。意識的ににこやかな表情で話すようにすることで、声の表情、すなわち声のトーンや張りもよくなります。ビデオ会議では、自分の顔が画面に映るので表情を確認しながら会議ができます。ぜひ意識して、心からほほ笑む自然な美しい表情にチャレンジしてみてください。

 また、ビデオ会議のソフトは顔が映らないよう設定し、音声だけで行うことも可能です。お互いが了承していれば、音声だけでビデオ会議を行うことは失礼ではありません。これは、社内や社外のビデオ会議のいずれの場合も同様です。この場合、せっかく映像機能のあるシステムを使用するわけですから、最初と最後のあいさつ時くらいは、顔を映してもよいですね。

【メークなどの身だしなみが整っていない】

 対面で会議をするときと同じメークや身だしなみでなければいけない、というわけではありませんが、ビデオ会議でも仕事中であることには変わりはありません。会社や自身の考えるメークや身だしなみのガイドラインに従って臨むことをおすすめします。女性はお肌が明るくきれいに映るように、アレルギーがなければナチュラルメークがよいでしょうし、男性は自宅であっても髪形をきちんと整えましょう。

 おすすめなのは、ビデオ会議のメークや身だしなみなどを事前に決めておくことです。そのとき、社内と、社外向けのビデオ会議の2パターンで基本的な取り決めをしておくと悩まずに済みます。

 また、クライアントなどからよく質問を受けるのは、ビデオ会議で映る上半身はジャケットを羽織るなどのしっかりとした服装で、下半身は家庭用の普段着でもいいかという疑問です。私個人としては、そこまでがんじがらめのマナーの型を強いられることはないと思っていますが、一般的なマナーとしては、テレワーク中であっても服装は上下きちんとしておきましょう、となるでしょう。

部屋が映るのが嫌だったら…?

【ビデオ会議に慣れておらず、ネガティブなことを言う】

「ビデオ会議で自分の顔が画面に映るのが嫌」「自分の声が聞こえてくるのが嫌」という声をよく聞きます。最初は誰でも戸惑い、見たくない、聞きたくないなどの拒否反応を起こすこともあるかもしれませんが、慣れは大事です。慣れてしまえば、反対に楽しめることになります。慣れるためには、ビデオ会議以外の時間に1人で、画面に自分の姿を映し、言葉を発して視聴してみることも一つの方法です。

 嫌だというネガティブな気持ちは、相手に対してもそうした気持ちが伝わり、画面上ではありますが、せっかく顔を合わせているのにお互いに心地よいコミュニケーションができなくなるのではないでしょうか。苦手であっても、チャレンジしてみようという前向きな気持ちも大切なことです。

【自分の部屋が映るのを嫌がる】

 あらかじめ、どんなものが映るのかを確認することは必須ですね。そして、自分の部屋が気になる、相手に不快を与えるかなと思えば部屋を片付け、整理整頓や清掃をしましょう。その時間がないという場合は、シンプルにカーテンを背景にしたり、布を垂らしたりして、私物が見えないようにすることですね。

 ビデオ会議のツールでデザインされた背景に変えられる機能があれば、それを使ってもよいですが、変えた背景を見て相手がどう思うかという配慮は念頭に置き注意しましょう。

 また、私の場合ですが、社内スタッフたちとのミーティングでは「いつもありがとうございます」、親しいクライアントなどの場合には「心より感謝御礼」などと書いたメッセージボードを背景に置くこともあります。さらには、お花を飾って明るい雰囲気を出したりもします。さらに、自分の立場などにもよると思いますが、たくさんの本が並んだ本棚を背景にすれば、インテリ感をアピールできるかもしれません。

 このように、どんな背景にしたら相手にプラスの気分になってもらえるかなどを考え、それを楽しむ気持ちでビデオ会議に臨んでみてはいかがでしょうか。

にこやかに明るく臨もう

 いろいろと不自由なことも多い現在の環境ではありますが、このような時期だからこそ、にこやかに明るくビデオ会議に臨み、自らが楽しむ姿勢がビデオ会議を上手にこなしていくポイントです。慣れないことに困難を感じても前向きに捉え、ぜひ、相手の立場に立って、みんなでよりよくしていこうという気持ちを持って、ビデオ会議を楽しんでみましょう!

文/構成・オトナンサー編集部

ビデオ会議でのNG行動とは?