もしタイムトラベルができたとしよう。だが、ある時期にある場所にいくのは絶対にやめておいたほうがいい。生きて帰ってくることは困難だろう。
北アフリカ、モロッコとアルジェリアの国境付近のサハラと呼ばれている地域は、現在も世界最大の砂漠が広がる過酷なところだが、1億年前は更に人間にとって過酷な環境にあったようだ。
約1億4500万年~6600万年前の白亜紀、そこには巨大な恐竜や空飛ぶワニのような獰猛なハンターがうろついており、古生物学者によれば、地球の歴史の中でもっとも危険な場所だったという。
『ZooKeys』(4月21日付)に掲載された研究では、「ケムケム層群(Kem Kem Group)」で収集された数十年分の調査記録や、世界各地の博物館に所蔵されている化石記録を比較。
古生物学者いわく、「ほぼ1世紀におよぶサハラの脊椎動物化石に関する最も包括的な研究」で、その結果は、当時この辺りが恐ろしい肉食動物だらけのヤバい場所だったことを匂わせている。
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大型肉食動物がやたらと多いケムケム層群
モロッコとアルジェリアの国境に沿ったケムケム層群は、化石が大量に発掘されてきたことで知られており、まさに数千万年におよぶ生命の記録が刻まれている地域だ。
ここでは軟骨魚・硬骨魚・カメ・翼竜・恐竜、さらには植物や生痕(生物が活動した痕跡)といったさまざまな化石が発見されており、北アフリカの当時の生物多様性をうかがい知るには最高の場所となっている。
だが、特に目を引くのは、この地層からは大型の肉食動物がやたらと多く発見されていることだ。
Geology and paleontology of the Upper Cretaceous Kem Kem Group of eastern Morocco
https://zookeys.pensoft.net/article/47517/element/2/118//
巨大な肉食恐竜、ワニのような翼竜、ノコギリの口を持つエイ
白亜紀、ケムケム一帯には豊かな河川が流れており、さまざまな水生動物や陸生動物が育まれていた。
動物が集まれば、当然それを獲物として狙う生き物も集まってくる。ここでは記録上最大級の肉食恐竜の化石が少なくとも3体は発見されているのである。
たとえば全長8メートルのカルカロドントサウルス、それに匹敵する大きさのデルタドロメウス、ほとんど空飛ぶワニのようなの翼竜など、危険極まりない連中がうろついていたということだ。
Nizar Ibrahim: Lost Giant of the Sahara | Nat Geo Live
食われる連中も負けず劣らずのスゴさ
さらに、そうした恐竜に食われていた魚も負けず劣らずのスゴさで、まるで化物のような大きさだった。
たとえば今では生きている化石と呼ばれるようになったシーラカンスは、現生種の4、5倍も大きかった。オンコプリスティスという淡水のエイは、口の部分がノコギリ状に突き出ているという異形である。
「地球の歴史上、もっとも危険な場所だったと言えるでしょう。もし、タイムトラベルができるようになったとして、うっかりそこに行ってしまえば、すぐに殺されてしまいますよ」と、研究チームの1人はコメントしている。
References:port. / iflscience/ written by hiroching / edited by parumo
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