前回の「親のお金を銀行員から守る!~狙う側の銀行員が内情を明かします(1)」に続き、「親のお金を銀行員から守る!」をテーマにお届けする2回目です。

今回は、銀行員が金融商品の勧誘をする「富裕層」とはどのような人たちなのかを説明しながら、積極的に金融商品を販売するようになった銀行の内部事情もあわせてお話していきます。

銀行にとっての富裕層とは?

銀行ではセールスする顧客層の分類で、富裕層という言葉を使っています。銀行にとっての富裕層とは、前回の記事で説明した、保有する純金融資産の額による定義とは異なります。

それは「金融商品の販売が可能な人」、もっと言えば「うまく勧誘したら、成約できそうな人」。これが銀行の考える富裕層です。

ですから、いくら多額の資産を持っていても金融商品の売り込みが期待できない人は、社会一般で富裕層と呼ばれても銀行では富裕層とは見ていません。

銀行にとっての富裕層の具体例

たとえば、「定期預金を1千万円、何年も預けたままの人は超大金持ち」という言い方があります。

これはどういうことかと言うと、「1千万円を何年も預けっぱなしにしている人は、その1千万円がなくても生きていける人。だから、他の銀行にもウチと同じくらいは蓄えがある人だ」という論法です。

または「1千万円預けている人は、全部でその10倍は持っている」という表現もあります。

なぜ金融商品を販売するのか?

「1千万円預けっぱなしなら、その何倍も資産があるはず」
「しかも使わないから預けっぱなし、投資に回せる可能性がある」
「財産の一部なら、損したとしても、うまく勧誘していればトラブルの可能性は低い」

こうした論法で、常に銀行は顧客を探しています。

なぜでしょうか? それは、銀行は本業で儲からなくなったので手数料が欲しいからです。

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銀行が金融商品を販売したがる2つの理由

預金を預かって、そのお金を融資して、利息を付けて返してもらい、預金が満期になれば利息を付けて返す。これが銀行本来の業務で「金融仲介機能」と呼ばれます。

では、どうして銀行本来の仕事をそっちのけにして投信を売り込むのか。または「定期預金なんて利息がほとんど付きませんから」と言って預金を中途解約させてでも個人年金保険を勧誘するのか。

理由は2つあります。

1:金融商品を販売すれば手数料がもらえるから

金融商品は売れば売るほど手数料が入ります。たとえば、投資信託なら「購入手数料」、個人年金なら「契約費用」などです。

投信会社や保険会社は、自分たちの代わりに銀行が販売してくれるので、対価として手数料を払っているのです。一昔前ならライバルだった投信会社・保険会社、それが今では…。私が保険会社の下請けになってしまったと感じたのはこういった背景によるものです。

2:預金を預かっているだけで余計な経費がかかるから

余計な経費とは「預金保険料」のことです。預金保険制度とは、金融機関が預金保険を預金保険機構に支払い、万が一、金融機関が破綻した場合に、一定額の預金等を保護するための保険制度※です(※預金保険機構HPより抜粋)。

預金保険制度とは、要は保険なので保険料の支払いが必要になります。たとえば、定期預金などでは年0.033%を、銀行は預金額に応じて預金保険機構に支払っています。

銀行全体の預金量からすると、預金保険料も馬鹿になりません。バブル期のように、預金と貸出金の金利差、いわゆる利ざやで儲けられなくなった現在では、コストを考えれば預金を解約させてでも金融商品販売の手数料をもらったほうが良いというわけです。

銀行が一番勧誘したいのは「富裕層で高齢者」

こうして銀行の内情を知ると、なぜ銀行窓口で保険や投信を勧誘されるのか、その理由に合点がいったのではないでしょうか。

では、もしあなたが働き盛りの30~40代の人なら、銀行で投資信託などの金融商品を購入したいと思いますか?

そもそも用事でもなければ、忙しい合間を縫って銀行には行かないと思います。また、仮に銀行窓口で勧誘されたとしても聞いている時間などないでしょうし、本気で投資をしたいと考えているならば銀行より証券会社に行くでしょう。

このように、銀行が30代から40代、まして若年層に金融商品をセールスするのは、なかなか困難なのです。そこで、銀行のターゲットとなるのが「富裕層で高齢者」です。

銀行員が勧誘するのは、なにも数十億円の資産を持っているような、いわゆるお金持ちだけではないのです。もしかしたら、あなたのご両親かもしれません。

次回、最終回では高齢の親のお金をどのように守っていけばいいのかについて具体的に述べていきたいと思います。

【参考】「預金保険の実効料率据え置きへ 20年度 預保機構」(日本経済新聞