2050年までに、サッカーW杯優勝チームに勝てる、ロボットチームをつくる」

しかも、ラジコンのように人が操作して動くロボットではなく、ロボットが自分で考えて動く「自律移動型ロボット」のチームで―――。

そんな夢のような目標を掲げ、毎年、世界各地で開催されているロボットやAIの研究者の競技大会が、「RoboCup」(ロボカップ)。

その始まりは1997年名古屋での第1回世界大会を皮切りに、アメリカ、ドイツスウェーデンオーストラリアメキシコ、ブラジルなど世界各国で開かれ、つい先日、今年開催予定のフランスボルドー大会は昨今の新型コロナの影響で1年延期に。

人工知能・ロボット工学研究の最先端が競い合うロボカップは、日本のロボット研究者たちが1990年代に立ち上げた競技会がルーツ。

そのロボカップを立ち上げから発展に取り組んできた研究者のひとりが、玉川大学 工学部 情報通信工学科 岡田浩之 教授。

岡田教授がいる玉川大学もロボカップ@ホームリーグの常勝軍団で、岡田教授は現在、ロボカップ日本委員会の会長に昨年から就任している。

しかも、ロボカップ日本委員会の事務局は、玉川大学 工学部 の岡田先生の研究室内に置かれているともあり、いま玉川大学には学部・学科の垣根を超えたロボット好きが集結。岡田教授率いる玉川ロボットチャレンジプロジェクトのチームがロボカップ優勝むけて日々開発に取り組んでいる。

その新たなラボが、意外や意外、自宅のリビングのような空間。そう。こここそが、玉川大学に新設された異分野融合フロア「STREAM Hall 2019」内のロボティクスラボ。

このロボティクスラボで研究・開発に取り組む玉川大学 ロボットチームの名が「eR@sers(イレイサーズ)」。いまなぜ、eR@sers の学生たちは、リビングのようなロボティクスラボで活動しているかというと……。

人といっしょに暮らすロボットの最先端をめざせ

そう。玉川大学 学生チーム「eR@sers」がめざすロボカップの種目は、キッチンやリビングといった日常生活の場での人間との共同作業を追求する「ロボカップ@ホーム」。

@ホームは、サッカー、人命救助(レスキュー)、キッズリーグジュニア)の4リーグのうちのひとつで、玉川大学 eR@sers はこのリビングやキッチンでいっしょに過ごすロボットの最先端を突っ走っている。

買い物、留守番、お手伝いといった10種目を1週間で競う@ホーム種目は、人工知能(AI)をどう活用するかに重点をおき、高度なプログラミング技術が求められる競技。

玉川大学 eR@sers は、トヨタ自動車と共同開発した高性能ロボット「eR@ser」をベースに、トライ・アンド・エラーを繰り返し、学年・学部・学科などを問わず、チーム全員でロボットを日々バージョンアップさせている。

「ロボットのプログラミングの8割は、失敗(エラー)処理に費やされる。新しい動作が増えるのにあわせて膨大なエラーを想定しなければならない」と岡田教授。

チームに入ったばかりの1年生も、先輩学生と共にロボットのプログラミングPython)を触り、自分たちで打ち込んだプログラムによって動くロボットのモーションを確認。そして再びプログラミング……と、地道な作業を自発的に繰り返しながら、小さな進歩にうれしさをかみしめて楽しみながらフランクに活動している。

――― ことしもロボット開発の最先端に果敢に飛び込む新入生の姿があった玉川大学 ロボティクスラボ キッチン現場。ロボカップ学生チーム「eR@sers」を率いる岡田教授は、この春から加速化させる教育プログラムやビジョンについてこう語っていた。

「ロボットAI技術を採り入れた料理を、この最新のロボティクスラボにつくったキッチンで追求していきたい。リビングやキッチンで家族みんなが楽しめるようなロボットをこのキッチンでつくっていく」

「たとえば、カレーライスひとつつくるのも、レシピからスパイスの調合、調理の楽しさといった人工知能(AI)を搭載したロボットが入り込むとどんな“ごはん時間”が育まれるかといった、世界に先駆けた新たな研究に新1年生も歓迎していっしょに取り組んでいきたい」

「そして幼稚園から大学まで(K-16)、16年間を一気通貫させたロボット開発・AI教育プログラムを構築していきたい」(岡田教授)
 
 
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<玉川大学 工学部
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