葬儀

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身内の死とともに突然やってくる葬儀の手配。葬儀社選びに失敗すると大きな出費になります。こうした事態を避けるため、近年では「PIP認証」という制度も生まれました。

葬儀社の選び方や気を付けるべき最新のポイントは?今までに1万5000件近い相続相談に対処してきたという、相続実務士の曽根恵子さんに伺いました。

葬式の費用、目安は?遺体の搬送費用は10km単位で計算

今知っておくべき葬儀に関すること

葬儀にかかる費用は、ふたを開けてみるまで分からないことが多く、支払いの段階になって初めて、その請求額に驚いてしまうことも少なくありません。

葬儀費用というと、お葬式だけの費用というふうに考えがち。しかし、ご遺体の搬送や安置、お布施など、お葬式以外の場面でかかる費用も多く、トータルにすると予想以上に大きな額になってしまいます。

また、最近では、一般葬や家族葬、一日葬、自由葬など、葬儀の規模やスタイルが多様化しています。

どんな葬儀にしたいのか事前にある程度考えておかないと、いざ葬儀が必要になってからではゆっくり考える時間もありません。

故人らしさが伝わる葬儀や、家族の人数に合わせたプランを選べるように、今のうちから葬儀に関する知識を増やしておきましょう。

数珠

makaron* / PIXTA(ピクスタ)

一般的な葬儀でかかる費用はどれくらい?

葬儀にかかる費用の相場を知っておくと、いざというときに安心です。葬儀の見積もりを見て、自分の目で内容をチェックすることができるので、納得いく葬儀社選びができます。一般的な葬儀ではどんなことに費用がかかるのでしょうか。金額の目安をまとめてみました。

1.搬送(1万5000円/10Km)

葬儀を行うに当たって、ご遺体を病院や自宅などの場所から、葬儀会場、火葬場へ運ばなくてはなりません。その際、利用するのが寝台車や霊柩車です。費用は基本料金と移動距離で決まることが多いです。

2.安置(1〜2万円/1泊)

葬儀が行われるまでの間、葬儀社で遺体を安置しておくための費用です。料金は1泊または利用時間で計算されます。

3.通夜〜お葬式(36万9000円〜)

通夜や葬式で必要なものを合算した金額です。棺、遺影、位牌、仏壇具、祭壇、会葬のお礼状、接待用のお茶や食事代など、さまざまなものに費用がかかります。

4.お布施(30万円〜)

お経を読んでもらったり、戒名を付けてもらったりしたときには、お寺へのお布施が必要です。

5.香典返し(2000円程度/人)

お葬式に集まってくれた人へのお礼として用意する品です。出席者の人数に比例して費用が増えます。葬儀の規模にもよりますが、上記の項目をすべて足すと、葬儀費用はトータルで70万円以上になります。

通夜や葬式を行わない直葬の火葬式(11万5000円〜)、お墓を持たず海や山などに散骨する自然葬(5万円〜)など、葬儀スタイルによっても費用は大きく異なります。故人や家族の意向に沿った式ができるように、機会をみて話し合ってみるのもいいかもしれません。

香典

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葬儀社選びのポイントは「PIP認証」

最近では、インターネットで葬儀社を見つけることも簡単になりました。でも、いくらネット上の口コミが良くても、本当に安心して任せられる葬儀社かどうかは分かりません。信頼できる葬儀社選びのポイントとして知っておきたいのが、「PIP認証」です。

PIPとは「プライベート・インフォメーション・プロテクト」のこと。一般社団法人日本葬祭情報管理協議会が行っている葬儀社の認証制度のことであり、この認証を受けている葬儀社は一定水準を満たしていることが証明されています。

このほか、葬儀社を選ぶときのチェック項目がこちら。

・説明がわかりやすい
個人情報厳守
・情報を公開している
・事前の相談、見学に応じている
・担当者がコロコロ変わらない
不自然な値引きをしない

葬儀社を決めるときは、複数の業者から見積もりを取り、比較しながら検討することが大事です。見積りで分からないことがあればうやむやにせず、問い合わせをしてみましょう。やりとりを重ねると、さらにどんな葬儀社なのかを具体的に知ることができます。

お墓参り

HIME&HINA / PIXTA(ピクスタ)

納得のいく葬儀ができるように、葬儀社選びは妥協せず、しっかり確認しながら進めていきたいものです。

曽根さんが監修した『新相続法対応 図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』では、葬儀社選びのほかに、身内が亡くなった後に行うべき手続きについても、わかりやすく解説をしています。

葬儀をあげるまでの手順や、あげた後に何をすべきかについても一目で分かるように書かれてありますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考/『新相続法対応 図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本』(扶桑社刊)

身内が亡くなった後