7月26日幕張メッセで開催されたフィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル2013夏」。ステージ上では様々なライヴやイベントが行われたが、その中でも編集部が最も注目していたのが、ヤマカンこと山本寛監督の新作『Wake Up, Girls!』のスペシャルイベント。
謎に包まれた作品の全貌、そして気になる「Wake Up, Girls!」7人のキャストの初お披露目とあって、イベントステージの前は超満員の人だかりとなった。

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 『Wake Up, Girls!』は、ヒット作『らき☆すた』を手掛けた山本寛/待田堂子(代表作:THE IDOLM@STER)/神前暁MONACA)が再結集した新作アニメーションで、仙台を舞台にアイドルを目指す7人の女の子の青春を描いた群像劇。主演の7人はエイベックス主催の全国オーディションにより全くの新人が起用されるという、いまだかってない規模のプロジェクトだ。

 いよいよ待ちに待ったイベントがスタート!

 最初に登場したのは、今回司会を務める『Wake Up, Girls!』スペシャルサポーターの加藤英美里さん。続いて、山本寛監督、脚本の待田堂子さん、音楽を手掛ける神前暁さん。オーディション以来見守り続けたメインキャスト7名が初めて人前に立つとあって、まるで「娘の発表会に来た父親のよう」と、緊張のあまりいつも以上にハイテンションの山本監督に、場内も温かい空気に包まれる。

 まずは、山本監督から作品がスタートした経緯を。
「震災後の東北に対して自分なりになにか出来ないかという思いを強くしていた頃に、待田さんがやっておられた某アイドルアニメに接して『いいなあ、うらやましいなあ』と思って…。その二つが自分の中ですごくマッチして、東北発のアイドルを主人公にしたアニメをやるのが、僕にとっての応援になるんじゃないか、舞台となる仙台を中心に少しでも盛り上げる事が出来れば…というのがひとつのモチベーションです。」

 続いて待田さん曰く。
「震災直後に、アニメ関係者の方とチャリティーイベントをやった時に、監督も参加してくださって。その頃から、なにか一緒にというのはあったんですが、監督が当時アイドル物をやってる私に『アイドルやりたいやりたい』って言うんです(笑)。だからもう『そんなにやりたいんだったら、監督のやりたいアイドルをやればいいじゃん!』」と、後押しした事が、このプロジェクトの発火点になったのだとか。

 山本監督とは高校時代からの盟友であり、数々の作品でタッグを組んだ神前さんも…。
「僕の場合は、いつもの通り急に電話が来て(笑)。今回はヤマカンが遂にアイドルをやるのか! という事で、一丁やってやるか」と決意。以前、山本監督とタッグを組んだ『かんなぎ』以来、仙台の様子も気になっていたとのこと。

 また、主演の7人にまったくの新人を起用する事に関して監督は、
「既存の声優さんを起用する事ももちろん出来たんですが、僕自身アイドルファンだから、ゼロからファンと一緒に成長していく過程を見たかった。それがアイドルの醍醐味だと思うし。ゼロからスタートするキャラクターと、実際にゼロから始めるキャストがハイパーリンクしたら、凄い事になるんじゃないか。これはイチかバチかの賭けなんですが…。」と熱く語った。

 そして、いよいよ「Wake Up, Girls!」が壇上に。全国から集まった16歳からの22歳の7人。緊張しながらも、キラキラした瞳でひとりひとり自己紹介する姿に、これが監督の言っていたアイドルが生まれる瞬間に立ち会う喜びなのだ!と実感。3人の保護者(?)も我が子を見る目で見守る。

 ここでティーザーPVの上映とともに、スクリーンに「2014年新春、TV放送&劇場公開」との文字が! これまた前代未聞の大胆発表。ファンにとっては待ち遠しい、スタッフにとっては待った無しの日程。監督も「同時にやります!」と宣言。

 そして、最後はいよいよ「Wake Up, Girls!」7人の初ステージ。まだ持ち歌がない彼女たち、一体なにを歌うのか…と待ち構える中流れて来たのは、なんと「もってけ! セーラーふく」のイントロ。言わずと知れたヤマカンの大ヒット作『らき☆すた』のオープニングテーマ。もちろん作曲は、神前暁氏。まだぎこちないダンス&歌唱だが、元気よく歌い踊る7人。ピタリと決まったキメポーズに、舞台袖で聴いていた加藤さんも感動のあまり、思わずうっすら涙を浮かべていたほどだ!
 
 そしてダメ押しにもう一曲、同じく山本監督繋がりで『涼宮ハルヒの憂鬱』から「ハレ晴れユカイ」! 文字通り、これから羽ばたく7人にぴったりな晴れ晴れとしたナンバーとあって、会場の声援もボルテージアップ。オリジナルのキャラソンもこのカラーで行って欲しいと切に願う。

 まだまだ成長過程ながら、1年前のオーディションから立派に育ちつつある7人の晴れ姿を目に、感慨深げな山本監督。「今までも色々なアイドルアニメの名作がありましたが、挑戦者として胸を借りるつもりで頑張ります!」と抱負を語っていた。

 現実世界でも吹き荒れる熾烈なアイドル戦国時代の嵐の中、スタッフ、キャスト&キャラクターがひとつになってゼロから船出する『Wake Up, Girls!』。来年新春のTV放送&劇場公開に向けて、9月からは月イチのショーケースイベントもスタート。7人の少女たちの物語から目が離せない!

取材・文=柳井洋二
ダ・ヴィンチ電子ナビより)

7月26日、幕張メッセで開催されたフィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル2013夏」の様子