本人たちがはっきりと口にすることはないだろう。ただ客観的に見て、今回の新型コロナウイルス感染拡大の恩恵にあずかれる数少ないプロ野球選手たちが存在するのも確かだ。

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 その最たる例がエンゼルス大谷翔平投手。2018年10月に全治1年以上となる右肘のトミー・ジョン手術を受けた。2019年は打者に専念し、迎えた2020年は投打二刀流の復活が待たれている。

 ただし、リハビリ過程の難しさでよく知られるトミー・ジョン手術である。復帰を急いだことや、復帰後にすぐギアを上げることで、再手術に追い込まれてきた選手は数多い。


 大谷の投手復帰も、今季開幕からではなく、5月中旬以降を目標とされてきた。

 大リーグは現在、オーナー会議で7月上旬の開幕を決議。当面は無観客での開催となるため、大幅な収入源を賄うべく、球団や機構サイドと選手会が年俸交渉を行っている。球団側の主張は、収入を球団と選手側で折半するというもの。選手会側がこの案をのめば、7月上旬開幕がいよいよ現実的になってくる。

 すなわち、大谷の投手復帰は早くても7月上旬以降、というのが現在地だ。

 コロナ騒動がなく、5月中旬に復帰していた場合でも、投手としての起用には制限がかけられていた見込みだ。1試合あたりの投球数、登板間隔、またシーズン通しての投球イニングや投球数など。現時点でもシーズンは最大でも82試合前後と、従来の162試合から半減することが確定している。1試合あたりの投球数や登板間隔といった制限は引き続き残るが、シーズン通しての制限はほとんど引っかからないのではないか。

 個人的に最も危惧していたシナリオは、大谷が投手復帰した5月中旬時点で、エンゼルスア・リーグ西地区の上位に残っていることでもあった。チームの地区優勝が見えている状態では、投手大谷にフル回転が求められる。大谷自身もチームの勝利を第一に考え、試合ではアドレナリン全開で常に全力プレーを心掛ける選手。ゆえに故障が多い。メスを入れた2018年10月からは、5月だと1年7カ月という期間が空いた状態。トミー・ジョン手術からの復帰期間としては、よくあるスパンといえる。それが7月だと1年9カ月に伸び、より万全の状態でマウンドに帰ってくることになる。再手術を迫られる割合は、この復帰にかかった期間が短いほど上がることはよく知られている。

 トミー・ジョン手術から完全復活を果たした投手の中には、術前に比べて球速が増す選手さえいる。これも一時期、同手術が爆発的に増えた要因の一つ。メジャーで100マイル(約161km)を超す速球を投げていた大谷が、最高のステップを踏んで復帰した後に、どんなストレートを投げるのか、今からとても興味深い。

 日本プロ野球に目を移しても、キャンプオープン戦で故障した選手たちは、コロナ騒動のおかげでコンディションを整えて開幕へ臨むことができる。ソフトバンク千賀滉大投手や高橋礼投手。柳田悠岐外野手も右肘手術明けでスロー調整が続いていた。

 またロッテ佐々木朗希投手、ヤクルト奥川恭伸投手ら高卒新人1年目は、この時期は社会人としての生活に慣れ、体づくりに充てる時期。開幕が大幅に遅れたことで、無理を強いられることはなく、1年目のシーズンにのんびりしたペースで入っていくことができる。

 もっともそうした損得勘定は抜きにして、どの野球関係者も再び野球ができる日を待ちに待っていただろう。ようやく出口からの光りが差し込み始めてきた。ベースボールが世界に、もうすぐ帰ってくる。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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開幕延期の恩恵にあずかれる数少ないプロ野球選手たち