難民だったり、日本に家族がいるなどで帰国できない事情を持つ外国人たちを長期拘束(収容)している法務省・出入国在留管理庁(入管庁)の収容施設で、またしても被収容者に対する虐待疑惑が浮上している。

5月13日、有志の国会議員らによる法務省へのヒアリングがおこなわれた。

被収容者の代理人弁護士支援者は、複数の女性たちが入管職員から暴力を受けたり、肌を露出させられたり、そうした様子をビデオに撮られたりするなどのハラスメントがおこなわれたと告発した。(ジャーナリスト・志葉玲)

力づくで女性たちを「制圧」した

入管職員たちから、女性収容者たちに「虐待」「ハラスメント」があったのは、4月25日の夕方とされる。

そのころ、東京出入国在留管理局(東京入管)では、新型コロナウイルス感染防止のため、被収容者の仮放免(一定の条件下での解放)を許可するケースが増えていた。

しかし、仮放免許可の基準が明確でなく、収容施設内で「三密」状態にあったことから、コロナ感染に怯えていた被収容者たちの間には不満が高まっていた。

そのため、被収容者の女性たちはこの日、責任ある回答ができる役職者から説明を受けることを求めて、共用スペースから雑居房へ帰室することを拒否した。

これに対して、東京入管側はヘルメットや盾を装備した警備官らを大勢投入した。女性1人あたり、男性を含む何人もの警備官が飛びかかり、床に押さえつけたり、首を絞めたりするなどして、力づくで女性たちを「制圧」したのだという。

「下着姿を撮影された」

難民認定申請者の女性、Aさんも「制圧」された収容者の1人だ。

彼女の代理人である駒井知会弁護士によると、帰室拒否の際、Aさんたちは暴れるどころか、入管職員に危害を加えることもなく、「私たちを解放して」という要求を書いた紙を持って、大人しく立っているだけだった。

それにもかかわらず、大勢の警備官たちは、Aさんたちを力づくで「制圧」して、乱暴に雑居房に押し込んだ。

騒乱と動揺で、体中から大量の汗が吹き出したAさんが、着替えのため衣服を脱いでいると、入管の男性職員らがずっと見ていたという。

さらに、下着姿のままでAさんは男性職員らに雑居房から隔離部屋(懲罰房)に連行され、その様子をビデオ撮影されたのだという。

「とても恐ろしく、耐えられない屈辱だった。こんなことが日本でおこなわれるなんて信じられない」

駒井弁護士によると、Aさんはこう嘆いていたという。

ショックで自傷行為した女性も

収容者への面会や法務省・入管への働きかけなどをおこなっている市民団体「SYI」(収容者友人有志一同)のメンバー、織田朝日さんも13日のヒアリングで発言した。

女性たちの首や背中など体のあちこちにアザができるほど、入管の警備員らの「制圧」は乱暴なものだったという。

「SYIの聞き取りで、女性たちの中にはブラジャーをつけていなかったため、制圧の際に服がめくられ、裸の胸を露出させられた人もいた。制圧時にたまたまシャワーを浴びていた女性も、シャワー室に乱入してきた男性職員に衣服を着る猶予すら与られず、下着姿のまま雑居房への帰室を命じられたなどの証言を得ています」(織田さん)

SYIの聞き取りによれば、懲罰房に隔離された後、ショックから腕を自傷したり、頭を壁にうちつけた女性もいたという。

SYIは、女性たちへの「制圧」について、「保安上の理由では正当化できない過剰で違法な措置」だとして、森まさこ法務大臣、佐々木聖子入管庁長官、福山宏東京入管局長あての抗議文を今月8日付で提出している。

東京入管「当事者には聴取していない」

一方、入管庁側の言い分はどのようなものか。

ヒアリングに呼ばれた出入国在留管理庁の岡本章警備課長は、「繰り返し帰室を促したが、帰室しなかった」「帰室拒否は容認できない」として、制圧や隔離は「法務省法令である被収容者処遇規則第17条の2、第18条に基づく職務執行であった」との見解を示した。

ただ、ヒアリングに参加した議員たちからは「女性たちへの東京入管側の対応は、被収容者処遇規則第17条の2での『合理的に必要と判断される限度』と言えるものだったのか?」「制圧のまえに十分な話し合いを行ったのか?」との疑問が呈された。

4月25日の女性被収容者たちへの虐待疑惑の具体的な事実については、議員たちや参加した記者らから度重なる質問があったにもかかわらず、岡本警備課長は「保安上の理由から詳細は差し控えさせていただく」と説明を終始拒んだ。

また、「当事者の女性たちから、直接話を聞いたのか?」という議員からの質問に対しては「入管庁としては当事者には聴取していない」と、あくまで東京入管側の言い分しか聴取していないことを認めた。

徹底的な真相究明が必要だ

ヒアリングの呼びかけ人の1人である石橋通宏参院議員は「入管庁は制圧が規則に則って適切に行われたものか、立法府にきちんと説明する義務がある」として、「東京入管側だけではなく、必ず当事者の女性たちに聴き取りをした上で、書面で報告してほしい」と求めた。また「我々議員も収容施設での当事者への聴き取りをする」との意向を表明した。

収容施設での度重なる人権侵害については、入管庁は、筆者含めメディア関係者の取材に対して、毎回「個別の事案についてはお答えできない」と説明を拒否している。入管庁の秘密主義および収容や制圧の恣意的運用こそが、人権侵害の温床ではないか。

日本の収容施設の人権状況は、国連の人権関連の委員会から再三、是正勧告を受けている。今回の女性被収容者たちへの虐待疑惑も、徹底的な真相究明が必要だろう。

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