4年連続得点王の田中美南が加入してFW陣の競争は激化「正直ビックリしました」

 なでしこリーグ日本女子サッカーリーグ)1部のINAC神戸レオネッサは、ゲルト・エンゲルス新監督を迎え、2013年以来となるリーグ優勝を目指す。ダイナミックな攻撃的サッカーを目指すなかで、さらなる飛躍が期待されるのがFW京川舞だ。

 ライバル日テレ東京ヴェルディベレーザ(総得点59/平均3.28点)と浦和レッズレディース(総得点37/平均2.06点)に比べて得点力不足が否めなかった昨季(INACは総得点28/平均1.56点)、京川はリーグ5位の7ゴールを挙げ、2年連続でチーム得点王として攻撃を牽引した。目に見える結果を残した一方で、出場時間はチーム内10位(計921分)と不動のレギュラーとなるには一歩届かなかった。試合ごとに変わる起用法に、少なからず葛藤があったという。

スピードを生かして、裏に抜けて縦に早い攻撃から得点を取るのが自分の特徴だと思います。ゴール、勢い、前線からの守備でひたむきにアピールしましたが、最初から早いだけじゃなく、自分たちの時間を作りながらゲームを進めるというところでは、チームの戦い方と合わなかった部分があったかもしれません。でも、自分がブレたくないという気持ちもあって、そのバランスを取るのは正直難しかったです」

 3年連続で無冠に終わったINACはオフに、史上初の4年連続得点王に輝いたFW田中美南を女王ベレーザから電撃獲得。なでしこジャパン(日本女子代表)のエースも担うFW岩渕真奈、昨季チーム2位の6ゴールを挙げたFW増矢理花を含め、前線のポジション争いはこれまで以上に激しさを増した。「正直ビックリしました」と話す京川だが、真価を問われる状況に闘志を燃やす。

「美南はなでしこリーグで一番得点を取っている選手。動き出しとかすごく勉強になるところがあって、これまでも美南の動きを見ていました。ブチさん(岩渕)がいて、美南がいて、INACの中でFWの競争は激しいと思います。でも、去年、一昨年と自分の立てた目標のなかでコツコツと積み重ねて得点面で自信を得たので、結果を残せたらいいなと思います」

「海外のクラブチームと対戦しても勝てるくらいのレベルに持っていきたい」

 エンゲルス新監督の下でチーム作りを進める最中、新型コロナウイルスの影響で活動休止となったが、京川にとってはなでしこリーグ入り当初のような“ガムシャラさ”を思い出サッカースタイルだという。

ゲルト監督には、最初に『もっと遠くを見ろ』と言われました。ポゼッションの練習で、去年、一昨年までの感じで手前からワンツーで剥がしに行った時に、(目の)前しか見ていないから視野を広げるように、と。クロスの練習も増えて、ポゼッションだけじゃなくて、行けるところではスピードを上げて自分で行ってもいいんだなという印象です。INAC加入1年目はワンタッチゴールを決めるシーンも多かったんですけど、緩急でゴール前に飛び込むプレー思い出したので、自分がFWで出られたらチャンスも多いと考えています」

 常盤木学園高や年代別代表で活躍し、2012年にINACに加入した京川も9年目を迎えた。開幕4試合5ゴールと好スタートを切ったルーキーシーズン2012年、左膝内側靱帯および半月板損傷、前十字靭帯断裂の大怪我を負うなど、これまでのキャリアは決して順風満帆ではなかった。「最初にイメージしていたものとは全然違うものになっている」と明かす一方で、「刺激的で楽しい」と言い切れるだけの精神的な強さが今の彼女にはある。

「この9年間は早かったですね。怪我をしたことで自分との対話が増えたし、日々の繰り返しもマンネリと思わないくらいたくさんの出来事があって、毎日ワクワクがある。ブチさん、鮫さん(鮫島彩)、美南らなでしこジャパンの選手が入ってきて、代表に近い環境になったことがすごく刺激的で、世界を見据えてプレーできるのが楽しいし、何よりINACという素晴らしい環境に身を置けているので本当に充実しています」

 今後の目標を聞くと、「もっともっと上手くなりたいとしか思ってないです!」と少女のような笑顔で即答する京川。「練習したいので、今のステイホームがこしょばいですね」と本音を覗かせる。

「INACが優勝することがなでしこリーグ、女子サッカー界の活性化につながると思います。ただ、それを日本だけに終わらせるんじゃなくて、海外のクラブチームと対戦しても勝てるくらいのレベルに持っていきたい。攻守にわたって献身的なプレーで戦い続けながら、先頭に立ってチームを引っ張るような気持ちでやっていきたいです」

 円熟味を増し、心身ともに充実の時を過ごす京川は、さらなる高みを目指して静かに牙を研ぐ。

※取材はビデオ会議アプリZoom」を使用して実施。(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda

INAC神戸レオネッサFW京川舞 【写真:INAC神戸レオネッサ】