新型コロナの対策を担う加藤勝信厚生労働相(64)の評判が悪い。「37・5度以上の発熱が4日以上続いた場合」としていたPCR検査相談目安の変更を厚労省が発表したのは5月8日。それまで検査拒否が続出し、怒りが広がっていたことを指摘された加藤氏は「相談や受診の際の基準のように思われてきた。我々からみると誤解だ」と発言した。

「とんでもない責任転嫁だ!」と国民の怒りの火に油を注いだが、当の加藤氏は反省の色なし。11日の衆院予算委員会では立憲民主党枝野幸男代表から「責任転嫁をやめて欲しい」と批判されると、「いや、まず責任転嫁してないんですよ」。追及を続ける枝野氏に「ですから」と長々と言い訳を続けた。

 質問をわざとはぐらかし、「ご飯論法」と揶揄される加藤氏。「ですから」も彼の特徴的な話法で、ツイッターでは「ですから加藤」とのあだ名も。厚労省担当記者は「野党に対して『お前は分かっていない』とばかりに、『ですから』とだらだら説明する。上から目線の性格が透けて見える」と話す。

「加藤氏は後に事務次官3人を輩出することになる“花の54年組”として大蔵省に入省。エリート官僚臭は今も抜けず、インタビューでは脱線発言は一切なし。そのつまらなさは岸田文雄政調会長と一、二を争う」(政治部デスク

首相官邸の評価が高い理由

 だが一方で、首相官邸の評価は高い。官僚トップの杉田和博官房副長官は最近、茂木敏充外相や西村康稔経済再生相と比べつつ「天才の茂木、努力の西村、人柄の加藤」と漏らした。政治部記者は「安倍政権発足時から一緒に副長官を務めた加藤氏への杉田氏の愛があふれている。一方で、国民や野党には上から目線なのに官邸には媚びへつらっている実態がよく分かる」と笑う。厚労省の評価も散々だ。「いつも官邸目線で我々を責め立てる。省のトップとして官邸に物を言ってくれない。単なる官邸のイエスマンだ」(元幹部)。

 所属する自民党竹下派での人望もいまひとつだ。官房副長官時代に、菅義偉官房長官から「後輩議員と飲み食いしたりして仲間を増やした方がいい」と助言を受けた加藤氏。だが同席したある議員は「とにかく話がつまらなくて、盛り上がらない。結局会食も1回きり」とぼやく。同じ竹下派でも「一緒に飲むと楽しい。二次会のカラオケまで行って盛り上がる」と評される小渕優子元経産相とは天地の差だ。

 危機は政治家の本質をあぶり出す。このまま沈むか。それとも、今後のコロナ対策でリーダーシップを発揮できるか。一時は「ポスト安倍」にも名が上がった加藤氏の正念場は続く。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年5月28日号)

竹下派の跡目争いも茂木氏に軍配?