ヒゲメン

男性のヒゲが発達した理由 /iStock

 もちろん個人差はあるが、男性は女性に比べてヒゲが発達している。イスラム圏では、男性のヒゲは一人前の男性の象徴であるとされており、ほとんどの男性がヒゲを伸ばす文化や慣習がある。

 ではなぜ男性の顔にはヒゲが発達していったのだろう?

 ヒゲの生えた男性は猫にモテるという「猫ヒゲメン好き説」も局地的にあるにはあるが、ヒゲは雄ライオンのたてがみにも例えられることがある。

 ライオンのたてがみはただの象徴であるばかりでなく、ライバルが繰り出す危険なツメや牙の一撃から喉を守る効果もある。

 人間のヒゲもこれと同様に、戦いで食らうパンチの衝撃を吸収し、アゴの骨を守るためのものかもしれないという可能性を示唆した研究結果が発表された。

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ヒゲは女性を魅了するための飾りにあらず?

 かのチャールズ・ダーウィンは、男性のヒゲは女性を魅惑する飾りとして進化したものだと考えていた。

 だがユタ大学(アメリカ)の研究チームの見解はそれとは違う。彼らによると、男性同士の戦いに勝利するために進化した可能性があるという。

 男性の骨格と筋肉が男同士の争いを有利にするために進化したことを示唆する科学的証拠は増えている。たとえば、男性の顔の形自体が、戦いの怪我から顔面を守るように進化しているという説がある。

 ならばヒゲもまた同じであってもおかしくはないというのが、今回の研究チームの主張だ。

 この研究は『Integrative Organismal Biology』に掲載された。

Impact Protection Potential of Mammalian Hair: Testing the Pugilism Hypothesis for the Evolution of Human Facial Hair | Integrative Organismal Biology | Oxford Academic
https://academic.oup.com/iob/article/2/1/obaa005/5799080

3種類のヒゲモデルで衝撃を吸収する実験

 この仮説を検証するために、研究チームは人間の頭蓋骨の構造を模したブロック状のモデルを作り、それを毛の生えた羊の皮膚で包んだ。そして、その上でモデルに衝撃を加えて、その様子を観察してみる。

 実験で使われた羊の皮膚は3種類あった。1つは、普通に羊毛が生えたもので、これはふさふさにヒゲを生やした男性を模している(ヒゲ有りモデル)。

 残りは、毛包自体にクッション効果があるかどうかを確かめるために羊毛を刈り込んだのもの(ヒゲ剃りモデル)と、ヒゲのないアゴを再現するために毛を抜いたもの(脱毛モデル)だ。

 なお、羊の皮膚が使われた理由は、毛包の量が人間と同じくらいであるからだ。

ヒゲメン

Pixabay

ヒゲは衝撃エネルギーを吸収することが判明


 実験結果は予想通りで、衝撃に一番強かったのはヒゲ有りモデルだった。ヒゲ剃りモデルと脱毛モデルに比べて3割ほど多く衝撃を吸収したという。

 後者2つがひび割れたり砕けたりしてしまう衝撃でも、ヒゲ有りモデルで壊れたのは45%だけ。さらに衝撃を加えられてから壊れるまでの時間も長かったそうだ。

毛は鈍器の衝撃エネルギーを大幅に吸収し、それによって骨折を防いでくれること示しています。

人間のヒゲも同じなら、びっしり生えたヒゲは、アゴのような顔の骨折しやすい部分を衝撃から守ってくれるでしょう。また皮膚や筋肉の裂傷や打撲といった怪我も防いでくれるはずです


と、研究者らは説明している。

顔面パンチ

Pixabay

毛質による衝撃吸収性能の違いは?


 ちなみにパンチエネルギーを吸収するのは1本1本の毛の繊維だが、それらはより大きな面となって衝撃を分散させてもいるようだ。

 また一口にヒゲといっても、太さや木目の細かさ、密度や縮れ具合など、人によって毛質にはかなり差がある。そうした違いによっても衝撃吸収性能が異なってくるかもしれないとのことだ。

 ということで、ヒゲは防御力をアップさせる可能性があることはわかったが、果たして本当にヒゲメンは猫に好かれるのかどうかを検証してもらう研究をお願いしたいところだ。カラパイア的にはこの結果同様3割増しくらいで好かれるとにらんでいるわけだが。

References:mysteriousuniverse / psychologytodayなど/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52291091.html
 

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