外出自粛によるリモートワークリモート会議も随分浸透してきたが、メッセージの送り間違い、思わぬ映り込みや音声の筒抜けなど、使い慣れない人による思わぬ「誤爆」も増えている。

 笑って済むものならまだしも、時には人間関係にヒビがはいってしまいそうな重大な誤爆も……。

 実際にあった「リモート誤爆」の例を紹介していこう。

◆「課長の話マジで長げえww さっさと本題入れよw」……で、一気に場が凍り付く

 まずは「個人宛に送ったつもりのメッセージが全体に公開されてしまった」という初歩的な誤爆。

ビジネスチャットSlackスラック)の通話機能を使って職場の班会議をしていたときのことです。コロナの影響でなかなか人と会って話せないからか、その日はとくに課長の世間話が多くて。『最近スープから作る超本格的なラーメン作りにハマっている』とか、『子供の宿題を一緒にやっている』など、とにかく仕事とは関係ない話ばかりでまったく会議が進まなかったんです。
 
 それでつい、スラックの個人メッセージで同期とやり取りしていて、『〇〇(課長の名前)、マジでいい加減本題に入れよwww』『ヤバい、この長すぎる雑談、リアクションに困るw』と、愚痴を送り合っていたのですが……」

 何とその送り先は、まさかの全体スレッドだった。

「一瞬で場が静まり返るって本当に怖いですね。課長の『じゃあそろそろ本題に入ります』という言葉に背筋が凍りました」(35歳男性・メーカー営業)

 心の声がうっかり可視化されてしまうリスクがあるのも、リモート会議ならではかもしれない。

ビデオ会議不参加の社員に対して悪口を言ったつもりが、なぜか思いっきり聞かれていた!?

 また、リモートワークビデオ会議をしていても、中には「出社して、部署から参加する」というパターンもあるという。

「自宅作業の社員のほかに、どうしても社内じゃないと対応できない業務がある人は出勤しているのですが、すっかりそのことを忘れて『全員自宅でリモートワークしている』と勝手に思い込んでいたんです。ある日のリモート会議で、会議には出席していないAさんの話題がでてきて、つい『〇〇さんって、仕事しないくせにいつも無駄に会社来てますよね~。マジ迷惑』と毒を吐いてしまって。でも参加者の一人が部署内でスピーカー通話をしていたせいで、たまたま近くの席だったAさんがバッチリ聞いていたとか……。もう顔を合わせるのが気まずすぎて、永遠に自宅勤務したいです」(28歳男性・IT系)

 無駄出社している人にイラッとする気持ちはわかるが、スピーカーで自分の悪口を聞かされた相手も結構気の毒……。

クールな上司が母親を「ははたん」呼びしていたことが発覚!

 自宅から参加しているため「プライベートでしか見せない一面がもろにバレてしまった」というケースもある。

「僕の職場には真面目で冷静沈着、クールな印象の“デキる男”キャラの年の近い上司がいます。その上司を交えて同じ班の4~5人でビデオ会議をしていると、上司が『トイレのため離席します』と言って画面から消えたんです。そのまま会議を進めていると、遠くから『だぁーかーら! 母たん(ははたん)! 仕事中は話しかけないでっていったじゃん!』『終わったんじゃないの! 今トイレ! お菓子とかいらないからだまってお昼ご飯作っててよ!』と上司の怒鳴り声が聞こえてきて……。
 
 その話し方が物凄く子供っぽくて、しかも母親のことを“ははたん”って。全員がツボって会議が止まってしまい、上司には『Wi-Fiの調子が悪い』とか適当なことを言ってその場を逃れたのですが、もう今後その上司のあだ名はずっと『ははたん』です」(33歳男性・不動産会社営業)

 それまでクールイメージが強かっただけに、「ははたん」には相当の衝撃を受けたそうだ。ママたんじゃなくて、ははたん。呼び名の由来が気になるところだ。

◆背景の映り込みで女性社員のイメージが崩壊!?

 ビデオ会議を通して“見てはいけないものが映ってしまった”という報告も。そうは言っても、心霊系ではない。

「職場で『清楚でかわいい』『守ってあげたいタイプ』と男性陣に言われている、マドンナ的な女性社員がいるんです。外見は確かに女の子らしくてかわいらしいのですが、ある日ビデオ会議中にその女性社員の画面の端に別のモニター画面が映り込んでしまっていて。それがPS4プレイステーション4)の、銃や様々な武器を使いこなして戦場で敵を倒しまくるFPS主人公視点のガンシューティングゲーム)の『コール オブ デューテブラックオプス 4』というゲームで、男性陣が勝手にどん引き。

 しかもそのコは本格的にゲームをやっている“ガチ勢”だったようで、男性陣が興味を引こうと必死にゲームネタの話を振っても、付け焼刃はまったく通用せず鼻で笑われていました。さらにホラーが相当好きなようで、ホラーゲームDVDがズラリと並んでいる光景に、『見てはいけないものを見てしまった』『とんでもないものを誤爆された』と、一気に男性陣はトーンダウンしてしまったようで……」

 とはいえ、勝手なイメージキャラを押し付けられて誤爆扱いされるのも、相当迷惑なはず。

「そうなんです。その女性社員はそれまで勝手にイメージを押しつけられて困っていたようで、『私のこと勝手に想像して、勝手に落ち込まないでもらえますか(笑)』とズバッと男性陣を斬ったのがめちゃくちゃカッコ良かった! バツが悪そうに男性陣が小声で謝る光景は、ちょっとおもしろかったしスッキリしました」(25歳女性・食品メーカー

 リモート会議に慣れないうちはまだまだトラブルが続きそう。時には気まずい誤爆もあるが、画面越しについポロっと意外な一面が垣間見れるおもしろさもあるようだ。誤爆されたほうもあまり深刻に受け止めず、笑って受け流すくらいの度量が必要かもしれない。

(取材・文/青山ゆずこ)

【青山ゆずこ】
ライター漫画家。ニッチな世界やアングラな体当たり取材から、認知症の介護問題など幅広いジャンルで取材・執筆を行う。著書に、夫婦そろって認知症の祖父母との7年間に及ぶドタバタ在宅介護を描いた『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店

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