知的生命体が存在する惑星

知的生命体が存在する可能性を統計学で検証 /iStock

 原始の生命は、地球が誕生してから3億年後に登場したと考えられている。そして私たちの直接の祖先である新人類が登場したのは20万年前のことだ。

 さて、もしも地球の歴史をもう一度最初から始めてみたとしたら、私たちは同じように誕生したのだろうか?進化の速度も同じなのか?さらには、地球とまったく同じ環境の惑星があるとしたら、そこでも知的生命体は誕生したのか?

 アメリカ・コロンビア大学の天文学助教授デービッド・キッピング氏は、統計学の手法を使って知的生命体誕生を4つのパターン分類し、これらを検証した。

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知的生命誕生の条件に関する4つのパターン

 かつて、イギリス天文学フレッド・ホイル博士は、生命が誕生する確率について、「廃材置き場の上を竜巻が通過したら、飛行機が出来上がっているような確率」と述べている。それだけあり得ない現象であるということだ。

 だがその反対に、地球誕生からまもなく生命が誕生していることから、それほど特異なことではなく、ありふれた現象なのだと考える説もある。

 では、進化の速度についてはどうだろう。

 生命の進化がごくゆっくりとしたものであるならば、私たちのような知的生命が誕生するためにはかなり早い時期に生命が誕生していなければならない。そうでなければ、進化を通じて知性が獲得される以前に地球が滅びてしまうからだ。

 このようなことを考えると、地球のような惑星における知的生命の誕生を4つのパターンに整理することができる。

・生命は一般的な現象だが、進化はゆっくりとしており、知的生命は稀少である

・生命は稀少な現象だが、進化は急速であるため、一般に知的生物に進化する

・生命は一般的で、しかも大抵は知的生命に進化する

・生命は稀少で、知的生命はさらに稀少である


 どれが正解かは分からない。だがコロンビア大学(アメリカ)のデビッド・キッピング氏らは、それを「ベイズ推定」という統計学的な手法で、どのパターンがありそうなのか調べてみることにした。

生命体のいる惑星の確率

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過去の経験と新しいデータから不確かな事象を予測


 ベイズ推定とは、過去の経験と新しいデータから不確かな事象を予測する方法だ。

 たとえばキャンディが入った箱が2つあるとする。箱1にはチョコ味10個とミント味30個、箱2にはそれぞれ20個ずつ入っていることが分かっている(過去の経験)。

 ここで適当に箱を選び、適当にキャンディを取り出すとミント味が出てきた(新しいデータ)。このとき箱1からキャンディを取り出した確率を割り出すのがベイズ推定だ。

 キッピング氏らは、この箱を知的生命誕生のパターン、キャンディを地球の化石記録に置き換えて、どのパターンと思われるか調べてみたのである。

アナザープラネット

iStock

統計学的には「生命の誕生する」確率の方が高い


 ここから得られた結果は、生命の誕生が一般的であるケースと生命の誕生が稀少であるケースを比較してみると、前者である確率は、後者に比べて9倍高いというものだった。

 この分析によると、仮に地球の環境に似た地球外惑星が宇宙にありふれているのだとすれば、生命はかなり簡単に誕生できるはずであるという。

 知的生命に進化する確率はもっと不確かだが、生命が進化によって知性を獲得する確率は3:2で、知的生命誕生に分のいい数字が得られている。

 もちろん、これは確かさを保証するものではなく、ただ地球という唯一の事例に基づく統計学的な計算結果に過ぎない。

 それでもどちらかに賭けるとするなら、宇宙に生命が満ち溢れている可能性に賭けた方が勝率は上がるようだ。地球外生命の捜索を諦める理由はないとキッピング氏は語っている。

この研究は『PNAS』(5月18日付)に掲載された。

An objective Bayesian analysis of life’s early start and our late arrival | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2020/05/12/1921655117
References:sci-news / sciencedailyなど/ written by hiroching / edited by parumo 全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52291092.html
 

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