オーストラリア、タスマニア島で絶滅したとされる、タスマニアタイガー(フクロオオカミ)が描かれた粘土製のパイプがボトルコレクターにより発見された。少なくとも190~200年ほど前のものとみられている。
白粘土を素焼きした状態の良いこのパイプは、タスマニア考古学を興奮させた。彼らにとっては"聖杯"のようなものなのだという。『ABC News』などが伝えている。
―あわせて読みたい―
カリブ海に沈む財宝船サンホセ号の「難破船の聖杯」を正式に発見。そのお宝は1700億円相当と見積もられる(コロンビア)
聖杯伝説!?鎧の騎士が持つ剣を抜いて別の場所に差し込むと..ロシアの彫刻師が手掛けた仕掛けコインがすごい!
古代ヨーロッパ、ケルト戦士の墓から発見された見事な青銅の盾(約2200年前)
中に釘の入った「魔女の瓶」が発見される。悪霊を追い払うために北軍の兵士が使用していた可能性(アメリカ)
興奮を隠しきれないタスマニア考古学者たち
Southern Archaeologyの首席考古学者ダレン・ワットンは、非常にエキサイティングな発見だと言う。「この興奮を隠せません。これは、タスマニア考古学における聖杯のようなものだからです」
粘土製のパイプは、紙巻きタバコが登場する以前に使われていたもの。使い捨てなので、型から大量に作られた。
たいていは、イギリスやその他のヨーロッパ諸国で作られ、植民地へ輸出していた。だが、発見されたこのパイプは川の泥でできていて、現地で手作りされたものだった。
あまり見られない特性があります。タスマニア現地の人がおそらくは自分たちが使うために作ったものでしょう。ひょっとしたら、囚人が作ったものかもしれません
このパイプは、タスマニア島ローンセストン近くのビンの捨て場で見つかった。捨てられていたビンは1830年頃のものなので、パイプも少なくとも190年前のものと思われる。
壊れやすいため、状態のいいクレイパイプが見つかることはめったいにない。これまでは現地でパイプが作られたという記録はなかった
発見したボトルコレクターがオークションに出品し考古学界がどよめく
発見者は、アマチュアのボトルコレクターで、2016年にローンセストン近くの私有地の穴の底で、ふたつの大きなビンの間にはさまれていたこのパイプを見つけたと語った。自分の収集品外の品なので、オークションに出品することに決めたという。
オークションで手に入れたのは、国際フクロオオカミデータベースのスティーブン・スレイソルム氏である。その後、どこで、誰がこのパイプを作ったのか、といったことがさかんに議論され、考古学界や学術界が大騒ぎになった。
パイプの火皿に、特徴的な縞模様がはっきりわかるタスマニアタイガーの姿が描かれています。19世紀にヨーロッパで型で大量に作られたのものの絵柄とは、かなり違うようで、素朴な絵柄は、現地オリジナルのように思えます。タスマニアタイガーの絵柄が描かれたもののごく初期の作品のひとつといっていいでしょう
パイプに描かれたワライカワセミの謎
さらに謎が深まるのは、このパイプの柄の部分に大型の鳥「ワライカワセミ」の絵柄が描かれていたことだ。実はこの鳥、1902年までタスマニアでは見つかっていない。
仮説を立てるとすれば、このパイプを製作者は、オーストラリア本土で過ごしたことがあり、それからタスマニアに渡ったというもの、描かれている鳥はワライカワセミではなく、タスマニア島固有のカワセミではないか、などだ。
この発見は『archaeology journal』で発表される予定だという。
References:mysteriousuniverse/ written by konohazuku / edited by parumo
全文をカラパイアで読む:http://karapaia.com/archives/52291095.html
こちらもオススメ!
―歴史・文化についての記事―
パンデミックによる不況の最中、雇用を守るため実施されているドイツの政策
聖水を水鉄砲で噴射する聖職者。社会的距離を保ちながらの祝福行事が話題となりコラ職人がんばる(アメリカ)
50年前に 「2020年に地球規模の大惨事が起きる」と予言した研究があった
中世の弓矢の殺傷力はえげつなかった。銃弾と同等の威力があった可能性(英研究)
シリアルキラーの心の闇に迫る、 伝説のFBI特別捜査官が使った10のプロファイリング・テクニック
―知るの紹介記事―
コロナで売り上げが激減したレストラン、マッチョ男性を配達員にすることで売り上げアップに成功(タイ)
男性のヒゲはパンチの衝撃を吸収するために発達した可能性が示唆される(米研究)
サウロンの目かな。520光年の彼方で惑星が誕生する瞬間をとらえた写真(ヨーロッパ南天天文台)
生きるために酸素を必要としない多細胞生物が初めて発見される(イスラエル研究)
コロナ禍の中で生まれた新しい性格タイプ「コビヴァート」とは?
カラパイアの公式アプリがついにリリース!サクサク見やすい、使いやすいよ! https://t.co/0PBhJB1jK7 pic.twitter.com/M1QblHgKJ7
— カラパイア (@karapaia) 2017年12月9日
コメント