ソウルに40年以上住んでいる筆者が、ビギナー向けにお送りしている美味しい韓国料理作法。

【写真11枚】種類豊富!「韓国おいしい鍋物」

【韓国】知っとくと、よりうまい!「韓国料理の美味しい作法」1【焼肉編】、【韓国】知っとくと、よりうまい!「韓国料理の美味しい作法」2【冷麺編】に続く、3回目の話題は鍋物だ。

肉をキムチや葉野菜といっしょに食べることからもわかるように、韓国料理は「複合味」が大きな特徴といえるが、その最たるものが鍋料理(○○チゲ、○○ジョンゴル、○○タン)だろう。

鍋物といえば、家族や仲間でつつく姿を想像すると思うが、韓国ではひとり用の鍋も一般的だ。ランチの定番メニューであるキムチチゲやスントゥブチゲなどは、小さな鍋を厨房で火にかけ、グラグラと煮立った状態で出てくる。

ここではみんなでつつくタイプの鍋物のなかから、ビギナーがとっつきやすいもの紹介しよう。

キムチチゲ

韓国人に「好きな食べ物は?」と尋ねたら、多くの人がキムチチゲと答えるだろう。ベスト3に入ってもおかしくないソウルフードだ。

発酵の進んだ白菜キムチを豚肉やネギといっしょに煮ただけのものなのだが、キムチ自体に塩、唐辛子ニンニク、魚介の塩辛などが使われているので、深い旨味がある。

また、発酵によってさわやかな(韓国人はそう感じる)酸味が生まれるので、ごはんが進むし、酒のつまみにもなる。

日本で売られているキムチにはよく「浅漬け→食べごろ→鍋や炒め物用」のように、発酵段階ごとの特徴が表示されているが、韓国人の舌では、日本の人が酸っぱいと感じる「鍋や炒め物用」の段階こそが食べごろである。

韓国でキムチキムチチゲを食べることに慣れれば、「さわやかな酸味」が楽しめるようになるはずだ。

プデチゲ

コチュジャン系のスープキムチやネギ、ポークランチョンミートSPAM)やソーセージインスタントラーメンの乾麺などを煮こんだもの。

専門店もあり、ランチタイム会社員数名がひとつの鍋をつつく姿が見られる。具が多彩なので、酒のつまみにもいい。

筆者はそれ自体濃厚な旨味があるポークランチョンミートに辛い味がしみたものが好きで、追加のトッピングを頼んだりする。

プデは部隊の韓国語読みで、朝鮮戦争後、在韓米軍から流れて来た食材を使って作られたことから、こう呼ばれる。

鍋の締めには……

海鮮鍋

イカ、タコ、カニ、エビ、貝類などがごった煮のようになっているものをへムルタンと呼ぶ。へムルは海物(海産物)の韓国語読み、タンは湯(スープ)の韓国語読み。地域や時期によって材料はさまざまだ。

また、タラやアンコウなどメインの具が決まっている、へムルタンよりシンプルな鍋も多彩だ。

はずれが少なく、日本からの旅行者のウケがいいのはタラの鍋だ。冷凍していない生のタラ(センテ=生太)の身を、大根や春菊、豆もやしやセリなどの野菜といっしょに煮た鍋をセンテタンという。

シラコやタラコが入る場合もある。汁は唐辛子ニンニクショウガがきいていてかなり辛く、身体があたたまる。ピリッとくるスープと淡白なタラの身は相性抜群だ。

センテタンと似たものにテグタンがある。こちらはマダラ(テグ=大口)の身やアラなどを使うのが特徴。マダラは冷凍物の場合もある。

共同の取り箸は水臭い

マナーというほどのことではないのだが、韓国と日本ではグループで鍋をつつくときの習慣の違いがある。

日本では衛生面での配慮から、自分の箸を鍋に突っ込むことをマナー違反と見る人が多いが、韓国人と鍋を囲むときに日本式をそのまま持ち込むと、「神経質過ぎる」とか、「よそよそしい」と思われるかもしれない。

日本にも「同じ釜の飯を食った仲」という言葉があるように、韓国人はともに食事をすること=共同体意識を高めるこという意識が日本人以上に強いので、なおさらだ。

食卓に共有のおたまと個別の取り皿が用意されている場合は、おたまで自分の食べる分を取り皿によそってもいいが、基本的には直箸や直スプーンで自分の口に運んでもかまわない。

ただ、最近は韓国でも個人主義が発達し、衛生意識も高まっているので、同席する人の雰囲気を見て、韓国人に合わせるのが無難だろう。

鍋の締めには……

韓国の鍋は、具を食べ終わったら残ったスープに麺を入れたり、ごはんを投入してチャーハン(ポックムパプ)にしたりする。これで具から出た旨味をすべて味わい尽くすのだ。

お店の人に「ミョンサリ ジュセヨ」(乾麺ください)とか「ポックムパプロ ヘジュセヨ」(チャーハンにしてください)と言えば、準備してくれる。

豆腐(トゥブ)入りのキムチチゲ。キムチトゥブジョンゴルともいう