晴れて社会人となり未来に期待が膨らむなか、会社のしきたりやとんでもルールですでに疲れた。なんて人もいるかもしれません。

仕事 不満
イメージです(以下同じ)
 今回はそんな新入社員時代に、苦しい経験を強いられた人に話を聞いてきました。賢人さん(仮名・28歳)は、新入社員として某製造メーカーに就職をして今に至ります

雑用は全て新人の仕事だけど…

「体質がかなり古い会社だったので、新人の頃は苦労しました」と語りますが、実際にどのようなことがあったのでしょうか。

「当然といえば当然なのですが、雑用は全て新人の仕事でした。それ自体になんの問題もないのですが、わからないことは新人だけで解決しろというスタンスで先輩や上司に相談はできなかったんです。社内でのちょっとした催しや引越し業務も新人がゼロから考えて手配をしていました」

 通常の仕事を覚えるだけでも大変なのに、引越し業務までやるとはなかなかハードそうです。

チームで出張に行くことがあったのですが、新人が全員分の新幹線チケットとホテルを手配していました。出張にも慣れていない中で、知らない土地でみんなが満足するホテルを、決められた金額内で予約するのは本当に大変でした

ツアーコンダクター化する新人

旅行 ガイド

 出張時の新幹線のチケットは、法人カードなどを使って各自で手配するものなのではないでしょうか。

「普通はそうかもしれませんが、当時の課長がチームワークを大事にしたいという人だったんです。

 みんなで一緒に新幹線に乗り、同じホテルで宿泊し、夜にはこれまた新人が手配したお店で夕食兼飲み会をするというのがお決まりでした。地元のおいしいお酒が飲みたい、と言われたこともあります。俺はツアコンじゃねぇと言いたかったです

 聞けば聞くほど、なかなかの地獄ですね。

めぼしいホテルが全部埋まったことも

 もちろん支払ったお金は仮払い扱いで、翌月には会社から支給されます。しかし苦労はそれだけでありませんでした。

「新人なので手持ちの情報も経験も少なく、もちろん土地勘もないので、どのお店を選ぶのかわからず困りました。

 一度、ある都市に出張に行った時は、某人気アイドルグループの全国ツアーの日程とかぶっていて、めぼしいホテルが全部埋まっていてとれなかったんです。なんとか取れた宿は、駅からも得意先からもかなり離れていて、ボロボロかつ周辺に何もなく怒られました

 それは怒られても、賢人さんにはどうしようもないですよね。

「一人だったらなんとか空きのある宿も、大人数で同日に宿泊となると、難易度が一気にあがります……。さすがに無理でした」

親に借金までするハメに

借金

 グチを続ける賢人さんから、衝撃の事実が続々と出てきます。

「一番ツラかったのは、新人時代に親にかなりの額を借金していたことです。新幹線チケット・宿・夜の宴会代は、他の社員分の立て替えで僕が払っていたので、集金がうまくいかないとすぐに金欠になるんです」

 たしかに数人分の新幹線・宿・飲み代を立て替えるともなると、新人には大きな負担になります。

「ルーズな人がたくさんいて、何ヶ月たっても一向にお金を返してくれない人もいました。そんなことが何回も続いて生活に困るようになり、親に借金をしていたんです」

集金に失敗し、自腹を切るハメに

 賢人さんはさらに続けます。

「親に借金をしていることを同期に相談したら、何人かの同期も親に借金をしていることがわかりました。だから、新人とはそういうものだと思ってしばらく耐えていました……」

 いやいや違います、とつい言いたくなってしまいます。

「先輩に『お金を返してください』と言いにくいので、ずるずると立替えたままになっていたのですが、親にお金を借り続けるわけにもいかず、僕は1年かけてなんとか回収をしました。でも、集金がうまくいかずそのまま闇に葬られて自腹をきった同期もいました」

 なぜ他人の出張の手配をした挙句、お金まで払わなくてはならないのか聞いていると腹立たしい気持ちになります。

先輩がぶちぎれて目が覚めた

怒る

 賢人さんは、どうやって立替えたお金を回収したのでしょうか。

「別のチームの先輩に『実は親に借金をしてて』と話したら、『なんで!?』となり、おおごとになりました。その先輩が『新人に多額のお金の負担をさせるなんておかしい』と怒り、うちの課長に訴えてくれたんです」

 なんとも頼もしい先輩です。

「それで、出張の手配を新人がするという風習はなくなりました。飲み会の幹事を新人がするときは、事前にお金を徴収することも決まり、それでもお金を払わない人がいたら『打ち上げ代の〇〇〇〇円を払ってください』と、一斉メールで本人に督促するというルールができたんです」

おかしいことはおかしいと言わないと

ビジネス 交渉

 新人の負担が減り、とても助かったと賢人さんは言います。

「それまでは、『新人ってそういうものなんだ』と思っていました。でも、おかしいことはおかしいと言わないと状況は変わらないと、その先輩から学びました」

 賢人さんは両親への借金も無事返済し、今では新人に何かを立替えてもらう機会があるときは、誰よりも早く返すようにしているとのことです。

― 特集・新入社員がおどろいた「入社後ギャップ」 ―

<取材・文/瀧戸詠未>

【瀧戸詠未】

フリーライター。教育、ビジネスを中心に記事を執筆中。お酒と食べ歩きとひとり旅が趣味。Twitterは@eieieiko2