近頃、ネット証券では新規口座を開設する個人が急増しているようです。2020年4月に、楽天証券は前月の新規口座開設数が16万口座超となり、2カ月連続で歴代最多数を更新したと発表しました。

また特筆すべきことは、投資初心者の口座開設が増えていることです。前述の楽天証券のプレスリリースによると、2020年3月に口座を開設した人の7割以上が投資初心者となっており、2016年に比べると初心者比率は1割以上も上昇しています。

なかには、税制が優遇されている「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA」のような制度を利用して、資産をコツコツ増やそうと考える方もいるかもしれません。そこで本記事では、現役証券マンである筆者が投資・貯蓄初心者の方に向けて、iDeCoやつみたてNISAの運用商品の概要と選び方についてやさしく解説していきます。

運用商品は2種類

まず、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAでは、運用商品を自分で選ばなければなりません。選択肢は大きく分けて2つあります。

1つ目は、元本確保型の運用商品です。元本確保型とは私たちが拠出したお金(元本)が確保されるタイプをいい、iDeCoの場合は定期預金がそれに当たります。なお、つみたてNISAでは元本確保型の運用商品はありません。

2つ目は、元本変動型の運用商品です。元本変動型とは、私たちが拠出したお金(元本)が運用によって変動するタイプのことをいいます。つまり、運用が上手くいけば高い収益が期待できますが、運用が上手くいかないと元本割れのリスクがあり、こちらは主に投資信託で運用されています。

“元本割れのリスク”と聞くと途端に、「元本が減るのは嫌だから、定期預金だけでいいや…」と弱気になってしまう方もいますが、ご存じのように円定期預金の利率は長らく低水準で横ばいとなっています。長期の資産形成という面で考えたときには、もう少し挑戦してみても良いかもしれません。

それでは、投資信託について確認していきましょう。

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投資信託も2種類

投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめて専門家が運用し、その運用成果を投資家それぞれに分配する仕組みの金融商品です。投資信託も、運用方針によって大きく2種類に分けることができます。

1つ目はインデックス(パッシブ)型です。これは、市場の動きを示す指数と同じ値動きを目指して運用している投資信託のことです。たとえば、日経平均株価インデックス型投資信託を見てみると、日経平均株価と同じような値動きをしていることが分かります

2つ目はアクティブ型です。こちらは、市場の動きを示す指数を上回るリターンを目指して運用している投資信託のことをいいます。日経平均株価のアクティブ型投資信託を買ったとすると、日経平均株価の値動きを上回るリターンが望める反面、その分リスクも高めになります。

iDeCoやつみたてNISAでは、これらの投資信託の中から複数本を選択して保有することが可能です。iDeCoの場合は、定期預金も選択できるので、慎重にいきたいという方は「定期預金+投資信託」という組み合わせを検討してはどうでしょうか。

iDeCoやつみたてNISAを始めるときのポイント

それでは、実際にiDeCoやつみたてNISAを始めるときのポイントを見ていきましょう。

① 手数料が安い金融機関の口座を選ぶ

まずは、iDeCoやつみたてNISAを始める口座は、手数料が安い金融機関を選ぶようにしましょう。私たちのお金が投資信託の運用会社に託される際には、銀行や証券会社のような金融機関が仲介するため手数料を徴収されます。

1つ1つの手数料はそれほど高いものではないのですが、中長期にわたり積み立てていくことを考えると、手数料は安いに越したことはありません。ネット系金融機関をはじめ、お得な手数料を設定している金融機関も多くあるので調べてみましょう。

② 信託報酬が低いのはインデックス型

信託報酬とは、投資信託の運用会社に支払う手数料のようなもので、投資信託を保有している間はずっと自分の純資産総額から自動的に差し引かれることになります。

「信託報酬率」などと記載されていることが多く、年0.5~2%程度が一般的ですが、アクティブ型はハイパフォーマンスを目指しているため、インデックス型に比べて信託報酬が高くなってしまいがちです。

iDeCoやつみたてNISAは、中長期の投資になりますので、運用商品を選ぶ際には必ず信託報酬を確認するようにしましょう。

まとめ

運用商品を選ぶときには選択肢が多く、みなさんも迷うことが多いかと思います。まずは、本記事を参考に「無駄なコストは抑える」というポイントに着目して運用商品を絞り込んでみてはいかがでしょうか。

なお、iDeCoやつみたてNISAの概要については、『知っておきたい!iDeCo、つみたてNISAのメリット・デメリット』をご参考にしてください。

【参考資料】
ネット証券 口座開設急増」(日本経済新聞
歴代業界最多更新!3月の月間口座開設数16万超に」(楽天証券プレリリース)
知るぽると」(金融広報中央委員会)
投資信託を学ぼう」(一般社団法人 投資信託協会)
信託報酬」(SMBC日興証券