圧倒的な歌唱力とエモーショナルな楽曲を武器に人気上昇中の5人組ロックバンド、Novelbrightが5月27日に1stフルアルバム『WONDERLAND』をリリース。竹中雄大(Vo.)さんにアルバムに込めた思いや、さらなる飛躍を目指すバンドの新たな目標を伺いました。

「俺らはこういうことができるんだぜ」ということを証明した作品

―― 結成から7年。ついに1stフルアルバムをリリースする現在の心境を教えてください。

前作の『「EN.」』から8か月ぶりなんですけど、去年路上ライブを始めて、それがSNSで拡散されたこともあって、僕らのことを知ってくれる人がこの半年ぐらいで急に増えたんです。もちろん世間的に見たらまだまだですけど。Novelbrightを応援してくれる人たちがたくさんいる一方で、僕らのことをナメている人たちも結構いて(笑)。「路上ライブがバズって出てきたぽっと出の新人バンドなんでしょ」と思っている人も少なくないと思うんですよ。今回のアルバムは、そういう人たちにも「俺らはこういうことができるんだぜ」ということを全12曲で証明できる作品になったという手応えはあります。「俺らはしっかりバンドをやっているんだ」ってことを、このアルバムで表せたと思っています。


―― では、制作にもこれまで以上に力が入っていたわけですね。

毎回、いい作品を作ろうという気持ちで本気で取り組んでいます。そこは変わらないですけど、単純にメンバーのスキルが向上してバンドとして一回り成長できたと思います。活動を続けていればそれは当たり前のことですけどね。当然次に出す作品は今回の作品を超えると思っています。


―― 今回、成長するために何か意識的に行ったことはありましたか?

僕は常に「売れたい!売れたい!売れたい!」と思いながらバンドをやってきたので、今回も「売れろ!売れろ!売れろ!」と思いながら作りました(笑)。そういう部分では変わらないんですけど、年齢を重ねてきたからこそ「今だからこういう歌詞を書きたい」というのはありました。年を重ねるごとに書きたいことも変わってきたんです。再収録した3曲以外の新曲は、24歳になってから作ったものばかりなので、24歳になった僕が今思っていることや経験したこと、書きたいことをしっかりと考えながら書きました。


―― なぜ、『スタートライン』『Photo album』『夜空に舞う鷹のように』を再収録したのでしょうか?

その3曲は会場限定盤にしか収録されていないのですが、現在廃盤なので聞きたいと思っても入手が難しいんです。今でもライブでやっている大事な曲だし、今回フルアルバムでもあるから、会場限定盤からも選りすぐりのいい曲を入れたくてこの3曲を選びました。

それぞれの曲に思い入れがあるんです。『スタートライン』は僕が1回、Novelbrightを解散しようと思った時に、新しいメンバーと再び歩き出そうという思いを込めて書きました。『夜空に舞う鷹のように』はオーディションで負けて、悔しい思いをした時に書いた曲です。
その2曲は20歳~21歳に書いたんですけど、『Photo album』は18歳の時に書きました。その頃に書いた曲でいまだにライブでやっているのはこの曲ぐらいなのですごく思い入れがあります。

バンド編成だけにこだわらない音作り

―― 『Photo album』は曲ももちろんですが、歌詞も壮大で。地球の裏側にいる相手を思う気持ちが実体験なのかどうなのか、興味が湧きました(笑)。

ハハハ。それについては敢えてはっきり言わないようにしているんです(笑)。たとえば『スタートライン』や路上ライブをやっていた時のファンの方たちと僕らのことを歌った『時を刻む詩』という曲は明らかに実体験なんですけど、ラブソングは実体験もあれば、題材を元に書いたものもあるし、そこは聞く人にいろいろ想像してもらおうと思っているんです。


―― 雄大さんが作詞・作曲した『Photo album』以外の曲は、雄大さんと他のメンバーの共作です。Novelbrightはどんなふうに曲を作っているのですか?

ギターの聡次郎と海斗が作ったトラックに僕がメロディを加えて、最後に歌詞をはめるんです。ただ、アレンジはメンバー全員で話し合いながら考えていますね。


―― 基本編成にないピアノやストリングス音もふんだんに入っています。

バンドだから、ギター、ベース、ドラムじゃないとダメという考えは元々ないんです。その時に作りたいものを作っているので、どんな音が入っていても構わないと考えています。むしろいろいろな音を取り入れていきたいです。今後もっと他にもこういう音を入れたいというアイデアは出てくると思うし、その時代時代にふさわしい音もあると思うし。逆に敢えて昔のトレンドの音を入れてみたいと思うかもしれないし。そういうことには貪欲にトライしていきたいです。


―― 今回、新たな挑戦はありましたか?

挑戦と言うか、新しい試みとしては『おはようワールド』の2番に異世界みたいになるパートがあって、そこに女の人の叫び声や猫の鳴き声など、いろいろな声が入っているんですが、全部僕がやりました(笑)。イントロに入っている口笛もそうですね。『おはようワールド』は曲の中でめっちゃ遊びました。


―― 歌詞もユーモラスですね。

朝が本当に苦手な僕の歌です(笑)。作品を作る時は毎回必ず1曲、笑える曲を入れているんですけど、今回その枠がこの曲だったんです。

今だからこそ書けた『時を刻む詩』

―― 年齢を重ねるごとに書きたい歌詞も変わるとおっしゃっていましたが、今回、今だからこそ書けた曲は?

リアルタイムなのは『時を刻む詩』。この半年で起きた出来事と、そこでファンの方たちに対して思ったことを書いたので、今だからこそ書けたんだと思います。あと『ENVY』は割と攻撃的な曲ですけど、今ネット中毒みたいな人たちが多いなと思って書きました。ネットで見たものだけを信じている人やSNSの口コミだけがすべてだと思っている人に対して、「答えは誰かから聞いたものでもネットで見たものでもなくて、実際に自分の目で確かめたものなんだよ。それが真実なんだよ」ということを言いたかったんです。それはここ最近思っていたことだったので、ちょっと物申してやろうと書いてみました。


―― 歌詞のアイデアは、普段からメモしているのですか?

いえ。「よし、歌詞を書こう。何を書こうかな」って考えています(笑)。歌詞はいつも苦労しますね。書いては消して、書いては消してをくり返すんですよ。ある程度書き上げても時間が経ってから読み返すと、全然だめだ、と書き直すこともあります。今回は特にそれが多かったです。それこそ12時間ぐらいかけて1曲も書けない時もあったんですよ。


―― なぜ、今回はそんなに大変だったのでしょうか?

僕が少しずつ成長しているからかもしれないです。「昔だったらOKにしていたけど、今はこれを超える何かが欲しい」と、葛藤しながら書いているんだと思います。もっといい歌詞が出るんじゃないか、まだしっくり来ていないみたいなものが感覚的にあるんです。


―― 今後のNovelbrightの抱負を聞かせてください。

いつもは、スーパースターになりたい!と昔から変わらない、ばかでかい夢を語るんですけど(笑)。とにかく今は6月16日から始まる「『WONDERLAND』RELEASE TOUR~観客1人路上ライブから10,000人動員ツアーへの挑戦~」を成功させたいです。全公演ちゃんとソールドアウトさせて、その次のステップになるであろう日本武道館大阪城ホールといった大きな会場で演奏している僕らの姿を、お客さんに想像してもらえるようなパフォーマンスをしたいと思っています。



アルバムの聞きどころを、たっぷりと語ってくださった雄大さん。周囲の期待に応える手応えを感じながら、「次に出す作品は今回の作品をしっかり超える」と言っているところが頼もしいですね。新たな目標を目指し始めたNovelbright、ぜひ注目してください。

【リリース情報】
1st full album『WONDERLAND
2020年5月27日 発売
https://novelbright.jp

profile】Novelbright
心を震わす圧倒的な歌声、一度聴いたら忘れられない確かなメロディワーク、 細部まで練りこまれた楽曲アレンジに定評がある大阪出身のロックバンド。メンバーは竹中雄大(Vo.)、沖聡次郎(Gt.)、山田海斗(Gt.)、圭吾(Ba.)、ねぎ(Dr.)の5人。2013年にオリジナルメンバーで結成。2019年1月に現体制となり、同年7月に開催した「どチクショー路上ライブTOUR」がSNS、口コミで大拡散、瞬く間にその名を全国へと広める。2020年ブレイク必至と、さまざまなメディアから期待されている。