中国で新型コロナウイルスが猛威を振るっていたころ、日本の自治体や団体は中国に防護服やマスクを寄付した。中国での感染拡大が収まり、日本で感染が拡大するにつれ、その流れは逆転し、中国から日本への防護服やマスクの寄贈が相次いだ。

そんな防護服は、いかにして作られているのだろうか。中国のデイリーNK情報筋が、その現場を探った。

防護服の生産拠点のひとつに、遼寧省丹東にあるアパレル工場がある。コロナの影響で稼働できずにいたが、防護服の注文が殺到し、久々に活気を取り戻している。

働いているのは北朝鮮から来た人々だ。1日の労働時間はなんと18時間に及ぶ。

「1日に基本12時間労働で、夜勤まですると終業が午前2〜3時になる。鼻血を流したり、つらそうにしたりする労働者が少なくない」(遼寧省の丹東で活動する北朝鮮の貿易関係者)

そんな思いをして得られる月給は1700元(約2万5700円)から2000元(約3万300円)。労働時間、給与ともに中国の法律に反している。

まず、中国の労働法では、労働時間は原則として1日8時間、週40時間を超えてはならないと定められている。もし残業させるなら、平日は1.5倍、休日は3倍の給料の割り増しが必要となる。

また、昨年11月に引き上げられた丹東市の最低賃金は、地域によって異なるが1ヶ月1300元(約19700円)から1810元(約2万7400円)。時給の場合は13.2元(約200円)から18.3元(約277円)だ。郊外の工場で1日18時間、月に25日働いているとすると、規定通りになら6000元(約9万800円)ほどになるはずだ。

しかし、彼らは「労働者」ではないことから、労働法や最低賃金の適用を受けない。北朝鮮当局は、中国に派遣される労働者を「技能実習生」の扱いにしたり、ノービザ制度を悪用したりして、あくまでも労働者ではないと取り繕っているのだ。

国連安全保障理事会は2017年の制裁決議で、国連加盟国に対して、自国内の北朝鮮の労働者を2019年末までに送り返すことを義務付けているが、中国ではこのような形で制裁破りが行われている。少なくとも中国の地方政府の黙認なしではできないことだ。

丹東をはじめ、中国東北の各都市に多数存在する北朝鮮レストランでは多くの北朝鮮女性が働いているが、営業不振から廃業の危機に瀕している。管理者は、従業員を別の職場に派遣しているが、マスク、防護服景気に沸くアパレル工場は格好の再派遣先となっている可能性がある。

平壌駅での消毒作業(2020年2月5日付労働新聞)