◆ 工場への温水供給を蒸気ボイラーに代わって担い、環境負荷低減に貢献
◆ GWPは既存冷媒の約10分の1で、外気温度マイナス20℃でも75℃の温水を供給
三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ株式会社(社長:楠本 馨、本社:東京都千代田区)は、中部電力株式会社と共同開発した循環加温ヒートポンプ「Q-ton Circulation(キュートン サーキュレーション)」で、公益社団法人 日本冷凍空調学会による第47回(2019年)の「技術賞」を受賞しました。日本で初めて地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が従来の約10分の1となる冷媒R454C(GWP146)を採用し、環境負荷を大幅に低減するとともに、業界初となる外気温度マイナス20℃の環境下でも75℃の温水を取り出せるようにしたことなどが、技術的に高く評価されたものです。今般、賞状および盾が贈呈されました。


今回受賞した「低GWP冷媒を用いた空気熱源循環加温ヒートポンプ“Q-ton Circulation” 」は、2018年に発売され、好評を博しています。従来国内で用いられるヒートポンプにはGWPが1,430から2,090の冷媒が主に使用されていましたが、今回初めてR454C冷媒を採用したことにより、大幅な環境負荷低減をはかりました。欧州では冷凍機などの製品ですでにGWPの規制値150を下回る冷媒の導入が進んでおり、本製品はこうした動きを先取りしたものといえます。また、高いエネルギー効率を確保するため、二段圧縮冷凍サイクルを採用し、配管径の最適化などといった冷凍サイクルの最適設計を実施したことで、COP(注)3.3の高効率運転も実現しました。さらに、迅速なアフターサービスを提供するため、IoT技術を活用し、遠隔での機器の状態監視も可能としています。

工場で脱脂や部品洗浄などに用いる温水をつくり出すため、これまで化石燃料を使う蒸気ボイラーが普及してきましたが、最近では優れた効率により省エネに貢献するヒートポンプが注目されるようになってきました。加えて、国内における法規制が強化されたことを背景に冷媒の低GWP化が課題となりつつあります。本製品はこうしたニーズに応えて開発したものです。

日本冷凍空調学会の技術賞は、第1回から第7回までは「日本冷凍協会賞」とされ、第8回以降は「学術賞」と技術賞に分かれて今日に至っています。技術賞の対象は、冷凍・空調分野ならびに食品冷凍・低温生物分野・医療分野における新技術です。

三菱重工サーマルシステムズは今回の受賞を励みとして、さらなる環境負荷低減と省エネに役立つ技術・製品開発に取り組み、また幅広い産業分野の各種プラントの高効率化をはかるサーマルエンジニアリング事業、地域冷暖房など大空間空調を実現する大型冷凍機事業、家庭やオフィスビルなど多様な快適空間をつくり出す空調事業、コールドチェーンに欠かせない輸送冷凍機事業、グローバルモータリゼーションに対応したカーエアコン事業など、低温から高温、定置用から移動用、小型から大型まで社会に必要とされる幅広い事業領域に対応する製品と技術のシナジーで、お客様の多種多様なニーズに応じた最適なサーマルソリューションの実現に力を注いでいきます。

COP(Coefficient Of Performanceの略)は、熱源機のエネルギー消費効率を示す成績係数のことで、値が大きいほど省エネ性能は高まります。COP=加熱熱量(kW)÷消費電力(kW)で、消費電力は熱源機本体の消費電力です。外部に設ける循環ポンプの電力は含みません。本開発機のCOP3.3とは、外気温25℃(相対湿度は70%)にて、温水入口温度60℃、出口温度65℃の条件における値です。

配信元企業:三菱重工業株式会社

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