これまで数多くのクルマが世に送り出されてきたが、その1台1台に様々な苦労や葛藤があったはず。今回は「ニューモデル速報 第50弾 新型プレリュードのすべて」から、開発時の苦労を振り返ってみよう。 REPORT:ニューモデル速報編集部

 昭和53年の秋に登場したプレリュードは、ホンダにとって初めてのスペシャルティカーへの挑戦であり、しっかりした足回りをテーマに、走る楽しみを思い切って表現された。その後、昭和57年11月には、初代の狙いを引き継ぎつつ、マシンとしてのベストバランスを目標に開発された二代目が登場し、発売から2年以上が経過しても売れ行きは堅調だった。

 そんな状況で進んでいた三代目の開発を率いていた三好建臣(LPL)は、メカニズムを堅実に改良し、良いハードウェアとするだけでは魅力に乏しいと考え、新型の開発では新たに「感動」を与えることを模索していた。

2.0LのB20A型エンジン。エンジンマウントなどを工夫することで、コンパクトなボディに収めることに成功した。
ハンドル操作量に応じて前後輪を操舵し、ハンドリングに好影響をもたらす4輪操舵システム

 また、エンジンの搭載方法や薄くてシャープなデザインのため、音や振動に対する対策には苦心したポイントとして挙げた。ボディ剛性は従来の曲げ剛性で40%ほど向上しているにもかかわらず、乗ってみるとNVHの向上につながっていない。同じく開発が進められていた「レジェンド」と同等の遮音材を使うことも検討したが、コスト的な制約があったため、ウレタンにチル系の材料を含浸させた「ビスコフォーム」を採用。床と隔壁の立ち上がり部分を一体成型させて、音の侵入をシャットアウトする構造とし、100km/h走行時で66dB(従来は69dB)を実現した。