2018年9月、アメリカニュージャージー州在住の男性が、バカンスで訪れたプールに入った後、通称「人食いアメーバ」に感染したことにより死亡しました。

 今回紹介する、さんしょううおさんが投稿した『ゆっくり感染症奇譚#3 「人食いアメーバ」』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム東方Project』の霧雨魔理沙(きりさめ まりさ博麗霊夢(はくれい れいむのふたりのキャラクターが、この男性の症例について紹介し、感染経路や対策についても解説していきます。


バカンスでサーフィンを楽しんだ後日、謎の激しい頭痛が襲う

左から霧雨魔理沙(きりさめ まりさ博麗霊夢(はくれい れいむ

魔理沙
 今回はアメーバの引き起こす病気について解説していく。アメーバは、あらゆるところに生息する微生物の仲間だ。これらの一部の種が、ヒトの体内に入ると いろいろと悪さをして、目が見えなくなったり、脳が食べられたりする。

霊夢:
 それは文字どおりってこと……?

魔理沙
 そのとおりだ。通称「人食いアメーバなんて呼ばれている。

霊夢:
 ただ、あまり身近では聞いたことがないわね。日本にはいないのかしら。

魔理沙
 残念ながら最近の温暖化に伴い、日本でも見られはじめているんだ。じゃ、具体的なエピソードから紹介していく。2018年アメリカのテキサス州。そこへ旅行に来ていた29歳の男性が登場人物だ。彼はテキサス州ウェイコの「BSRケーブルパーク・アンド・サーフリゾート」を訪れていた。

霊夢:
 なるほどサーフィンをしに来ていたのね。

魔理沙
 だが、ただのサーフィンではない。この施設はサーフィン用のとても巨大な造波プールがあって、彼はそこを利用しに来たんだ。ここのプール水道水だけではなく、自然の水も使うことで、莫大な水量のプールを維持していたんだ。

霊夢:
 つまり、淡水サーフィンができるっていうことね。

魔理沙
 この施設はまだできて間もなかったため、多くの来場者で賑わっていたみたいだ。バカンスを楽しんだあと、ニュージャージー州の自宅への帰路につく。それが悲劇のはじまりだとは、まだ誰も気づいていなかった。

 9月16日日曜日の午後、自宅の庭で芝生を刈っていたときに異変は起こる。彼は身に覚えのない、突然の激しい頭痛に襲われた。彼は屋外での作業をやめ、しばらく横になっていた。ただ夜になっても頭痛がおさまることがなく、彼は頭痛薬を飲み、早めの就寝を取ることにした。

 けれど次の日の月曜の朝、まだ頭痛は治らなかった。彼は母親に頭痛薬を持ってきれくれるように頼み、また眠りにつく。そして正午、彼の母親が様子を見に行くと、彼はベッドから動くことができず、さらに言葉も喋られない状態だった。

霊夢:
 さっきまで、ただ頭痛がするだけだったのに、いきなりそんなことに……。

魔理沙
 母親はすぐさま救急車に連絡して病院へと向かった。病院での早急な検査により、彼の脳内に腫脹があることが判明。

霊夢:
 脳腫脹は、脳が炎症を起こして腫れちゃっている状態よね。

魔理沙
 同時に高い発熱もあったため、病院の医師たちは症状を細菌性髄膜炎と考えた。細菌性髄膜炎菌とは、飛沫感染でうつる細菌が喉から血液に入り、そこからひどい場合は脊髄、脳にまで到達して炎症を起こす病気のこと。

 彼はすぐに大きな治療室に運ばれ、細菌性髄膜炎のための最適な気を受けた。それでも一向に回復せず、さらに病態は悪化の一歩を辿った。その後、様々な細菌、ウイルスの検査を行ったが、どれも陽性反応は出なかった。9月の20日木曜日、ようやくひとつの病原体に特異的な陽性の反応が出る。

霊夢:
 病院に来てから3日かかって分かったのね。

魔理沙
 彼の脳脊髄液から見つかったもの、それこそネグレリア・フォーレ。人食いアメーバだった。しかしこの翌日、彼の容態は急変、家族に見守られる中、亡くなったんだ。

霊夢:
 そんな……。

魔理沙
 病気が判明したとき、もうすでに体は限界だった。

感染力が強く、世界中の淡水や土壌に生息

魔理沙
 ここからは人食いアメーバについて詳しく解説していく。人食いアメーバと呼ばれるアメーバは複数存在するが、どれもが多少病態は異なるが、目、脳、脊髄に寄生するという特徴がある。特にネグレリアの起こす病気は「ネグレリア症」とも呼称される。他のアメーバ症との違いは、免疫力の弱くない人にも感染するケースが多いことだ。

霊夢:
 つまり、感染力が強いってことね。

魔理沙
 ネグレリアはおもに世界中の温かい淡水や、まれに土の中からも確認されている。

霊夢:
 彼はプールで感染したのかしら。

魔理沙
 その可能性が高いと考えられている。実はテキサス州は他にもアメーバによる症例が他にもいくつか見られている。また彼が訪れたプールは自然の淡水を用いていたことからも、可能性が高いとされている。

霊夢:
 こうなっちゃうとプールの営業はもう難しそうね。

魔理沙
 実際この騒動のあと、BSRプールは一時閉業。そのあと検査や施設の見直しを行い、再営業をはじめたそうだ。

感染経路は鼻から

霊夢:
 今回はアメリカだったけど、日本にもいるって話だったわよね。

魔理沙
 日本だと、佐賀県の25歳女性への感染が確認されているほか、国立感染症の検査によると、全国の温泉等の施設の約0.5%ほどからネグレリアが確認されたそうだ。感染は鼻から水やエアロゾルの吸入による。

霊夢:
 エアロゾル?

魔理沙
 簡単に言うと、空気中の物質が少し大きな塊になったものだ。大きさは人の飛沫よりも小さいサイズ。この中に病原体が存在したものが鼻に入って、感染することがある。鼻から入ったネグレリアは、鼻腔に存在する嗅神経に付着、そこから嗅神経をたどり脳へと進んでいく。

 脳へ到達したネグレリアは、独自の酵素を分泌。それにより脳の組織を溶かし、栄養源とする。酵素の働きにより、脳が異常に軟化、どろどろになるのが特徴だ。

霊夢:
 それはやばいわね……。

魔理沙
 潜伏期間はだいたい1~2週間ほど。症状はまず嗅覚、味覚に異常が出はじめるケースが多い。このあと、病原体感染による頭痛や発熱といった感染症状や、嗅神経の壊死が見られる症状もある。そしてそのような症状が出はじめてから数日としないうちに、脳脊髄炎を発症する。

霊夢:
 ちなみに死亡率はどのくらいなの?

魔理沙
 死亡率は97%だ。

霊夢:
 ほぼ助からないってことなのね。

魔理沙
 ここまで死亡率が高いのは、診断の難しさ、症状の悪化の早さがあると思う。

 感染の確率は非常に低いものですが、こういった病気があるということを知っておくだけでも早期治療に繋がるかもしれません。二人の解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画をご視聴ください。


▼動画をノーカットで楽しみたい方は
こちらから視聴できます

ゆっくり感染症奇譚#3 「人食いアメーバ」

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