今年は、例年以上に「五月病」が猛威を振るうかもしれないーー。緊急事態宣言5月25日に全面解除となった。「コロナ前」の生活にいきなり戻るわけではないとしても、今後は会社やバイト先へ出勤する機会が徐々に増えることが予想される。

仕事が減ったり、失ったりする人がいる一方、ネットでは在宅勤務をしていた人などを中心に、「ずっとテレワークがいい」、「満員電車もう乗りたくない…」といった声もある。

通常、五月病は新しい環境に慣れようと4月に頑張った分、大型連休(GW)で緊張の糸が切れて、連休明けに「仕事に行きたくない」状態になってしまうことだ。ところが、今年の春は新型コロナウイルス問題で多くの人の生活環境が変わった。

もし「ちょっと遅めの五月病」で仕事に行きたくなくなり、たとえば、退職届を出すのがわずらわしいと、何も言わずに「バックレ」退職した場合、どんな問題が生じるだろうか。原英彰弁護士に聞いた。

バックレ」退職で訴訟に発展する可能性も

「損害額がそれほど高額になるとは思えませんが、『バックレ退職』してしまうと、雇用主から損害賠償請求される可能性がありますし、無用の紛争を招くことになります」

弁護士はこのように答える。バックレ退職で訴えられる可能性はどのくらいあるのだろうか。

「実際には、損害額がそれほどの金額にならないであろうことや『バックレ』の合理的理由が争点になりうることから、訴訟になることは考えにくいと思います。しかし、見せしめに訴訟提起をしてこないとも限りません。

どうしても辞めたくなったときは、『辞めます』ときちんと意思を伝えてから、できれば証拠が残るように文書で、出勤を拒否しましょう。意思を伝えるだけでいいので、会社に行く必要もありませんし、退職代行を使うほどのことはありません」

法律的に正しい辞め方とは?

では、法律的にどういう辞め方が正しいのだろうか。

「まず、アルバイト契約社員など、期間の定めのある雇用契約ですが、期間満了前に『次の契約期限が来たら辞めます』と言えば、法的には問題なく退職することができます。

仮に期間中でも、法律上、『やむを得ない事由』があれば、退職することができます。無理なシフトや長時間勤務を『やむを得ない事由』と解する余地は十分にあります。

また、だいぶ緩和されてきていますが、休業要請の対象となっている業種であるにも関わらず、事業主が出勤を強く求めてくる場合などは「やむを得ない事由」が認められる可能性が高いでしょう。

アルバイトは、通常は1カ月から3カ月程度の期間を定めた雇用契約を締結し、期限がくると契約を更新しているというケースが多いと思います。

契約期間満了後も従業員が継続して働き、雇用主もこれに異議を述べない場合、同一の条件で雇用が継続することとなります。契約更新後は、辞めたい日の2週間前までに言えばいつでも退職できます」

では、正社員の場合はどうだろうか。

「こちらも辞めたい日の2週間前に、退職の意思表示をしてください。就業規則で2週間以上を設定している企業もありますが、2週間経過すれば、退職の効果は発生します」

【取材協力弁護士
原 英彰(はら・ひであき)弁護士
人事労務を中心に、企業法務を取扱う。外部労組との団体交渉の経験が豊富で、年間50回を超える出席をしている。
事務所名:JPS総合法律事務所
事務所URLhttp://jps-law.jp/

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