コロナ禍で番組収録が立ち行かない中、リモート中継で成功したバラエティ番組がある。「有吉の壁」(日本テレビ系)だ。15年から13回の特番、2回の予選会を経て、4月8日からゴールデンタイムレギュラー化された。有吉弘行と佐藤栞里が、商店街や公共施設などに潜んで即興ネタをするお笑い芸人をジャッジ。有吉の笑いの壁を、後輩芸人たちが体を張って越えようと奮闘するロケ番組だ。

 しかし、緊急事態宣言の発令によって、ネタのストックが切れた。そこで誕生したのが、新企画「なりきりの壁を越えろ! スターのおもしろ自宅公開選手権」だ。そして、まさかのスターが誕生した。とにかく明るい安村だ。

 安村といえば15年、ぽっちゃり体型でパンツ一丁、「安心してください。はいてますよ」のフレーズポーズで人気に火がついた。ところが翌16年、売れないコンビ芸人時代から支えてくれた愛妻、小学生の娘を裏切る形で不倫。収録済みの番組やCMはお蔵入り、30本以上の仕事がキャンセルになる代償を負った。
 そんな安村にとって、同番組は起死回生のチャンス。“なりきった”芸能人は、バスローブ姿の俳優・原田龍二。電話で温泉の仕事を受けるというシチュエーションから始まった。電話を切った後、「温泉のシミュレーションをする」ために、ボディシャンプーで体を洗った。そして、水が入った大きなバケツを、頭からバシャーン水とかぶってみせた。場所は、ガチの自宅のリビング。家族3人の巣である。

 その後も続けて、もう2回。フローリングは大洪水。有吉は、ほかの芸人の自宅に画面を切り替えた数分後、もう1度、安村宅をのぞいた。映し出されたのは、たまりにたまった水を巨大モップでベランダに追いやる後ろ姿だった。
 この姿に泣き、ホレ直したのがマツコ・デラックスだ。テレビ朝日系「マツコ&有吉 かりそめ天国」で、「安村さんて、なんでもっと人気出ないの? ほんとにハマってんだけど、もっと評価すべきよ。私も号泣してたんだよね」と大絶賛。ステイホームで、安村の悲哀に心を奪われたようだ。

 安村は、今月27日に放映された同企画の第2弾に再登場。水道会社「クラシアン」のCMに出ている元体操選手の森末慎二をマネて、例のリビングで再び撮影。またもや、水浸しにした。部屋を汚すことに味を覚えたのか、パンサー・尾形貴弘は菅良太郎に自宅リビングの壁に落書きされ、さらば青春の光・森田哲矢は自ら自室のじゅうたんを墨汁で汚した。

 ある意味、有吉の壁を越えることができた安村。マツコというお墨付きをもらったことで、今後、第3波が押し寄せるかもしれない。

(伊藤由華)

マツコ・デラックス