(前略)…混宿が39件にものぼったが、ソウル桃洞1街の某旅館では、男女学生6人が一つの部屋で共に過ごしていたところを捕まった。彼らは酒に酔い、持参したトランジスタラジオに合わせて下着姿でツイストを踊り、踊り疲れたら抱き合ってゴロゴロしていた。彼らは夜通し、相手を変えて遊んだという。

また、アヒョン洞の松林旅館では朴君(19歳)と鄭さん(19歳)が同じ部屋で寝ていて見つかった。妹だと嘘をついたがバレてしまった。不純異性交遊437件は、ほとんどが喫茶店、菓子店などの部屋を借りて遊んでいたところを捕まったケースだった。

これは、クリスマスを前にして韓国・ソウル市内で警察官と教師が合同で行った風紀取り締まりの結果を報じた1966年12月23日の京郷新聞の記事だ。

「混宿」とは、結婚前の男女が旅館やホテルの同じ部屋で寝泊まりすることを指す。軍事政権時代の韓国では、青少年や社会を健全な方向に「啓導する」と称して、プライバシーに立ち入ることが当たり前のように行われていた。今の韓国でも青少年保護法の条文に残ってはいるが、一般的に耳にすることはほとんどない言葉だ。

21世紀の現在においても、そんな風紀委員が現役で大活躍しているのが北朝鮮だ。「混宿」を含む性びん乱は、社会主義にそぐわない不道徳なものだとして、取り締まりが行われている。

米政府系のラジオフリーアジアRFA)は、平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋の話として、中央党(朝鮮労働党中央委員会)が、高級中学校(高校)の男女の生徒の間で非道徳的な性的逸脱を行う者が増えているとして、強力な対策を立てるように指示したと報じた。

指示のきっかけは、新義州(シニジュ)市の金日成金正日主義青年同盟が、市内の高級中学校を対象に行なった検閲(監査)だ。一部の学校で、男女生徒が不良青少年とつるんで、同じ部屋で混宿したり、性売買を行ったりしていたことが判明したというのだ。

資本主義生活様式に染まった学生青少年たちの間で、このような非道徳的な性びん乱行為が起きている」
「学生青少年たちのこのような性びん乱行為は、わが社会を瓦解させようとする敵どもの策動を助ける逆賊行為だ」

北朝鮮当局は、社会主義にそぐわないと考える行為を「非社会主義」と呼ぶが、「資本主義的生活様式」というのも非社会主義と同義に使われているのだろう。

生徒たちが資本主義的生活様式とやらにハマった理由として中央党は、携帯電話などデジタルデバイスの普及にあると見ているようだ。そして、学校に対して、生徒を対象に持ち物検査を行い、携帯電話などのデジタルデバイスの所持を確認し、組織生活をきちんと行っているか、家庭でのしつけはどうなっているか、不健全な性行為を行っていないかを確認するための対策を立てるよう指示した。

これを受けて、青年同盟と学校は、問題を起こした生徒を個別に呼び出して教育を行うとのことだ。しかし、生徒たちを「啓導」する立場の大人が、サウナや民泊を利用して、売春や不倫を行っているのに、そんな話をしたところで何の説得力があるだろうか。

むしろ取り締まるべきは、立場を利用して、昇進、朝鮮労働党への入党と引き換えに性上納を強いる、パワハラを伴った形の性暴力だろう。

一方、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、現地の学校では同様の問題を協議するために、校長、学校の党書記、青年同盟の幹部が参加して毎月1回以上、対策会議を開くことが求められ、問題が起きた場合には、担任の教師まで含めて処罰される。

このような現象は、新型コロナウイルス感染防止のため、休校が続いていることとも関係があると情報筋は見ている。ずっと家にいると、「よからぬ映像」などを見てしまい、それを友人間で交換することで性行為が増えているのだとか。ちなみに北朝鮮の小中高校は、6月1日より授業を再開することが決まっている。

金正恩夫妻とモランボン楽団(右から2人目が李雪主氏)