日本には創業100年を超える老舗企業が約3万社もあると言われているが、老舗企業が多いことと「匠の精神」は切っても切れない関係にあるようだ。中国メディアの今日頭条はこのほど、「なぜ日本では匠の精神が余すところなく体現されているのか」と題する記事を掲載した。

 記事はまず、日本には1つの専門職に一生を捧げる職人が多く存在すると伝え、「日本は匠の国」だと称賛。古本を修理する職人、竹細工、金属を編む技術、染め物、鉄器など、実に多岐の分野に及ぶと紹介した。中国人の間では、絶対に緩まない設計のねじや、納棺師といった日本の専門職が有名で、その技術の高さが称賛されている。

 では、なぜ日本では多くの分野で「匠の精神」が見られるのだろうか。記事は、それぞれの職人が自分の仕事を「極める」姿勢を称賛している。自分の仕事に誇りを持っているので、「質が悪いのは恥」という感覚があると紹介。記事の中国人筆者は、9回も日本を訪問するうちに、日本と中国の製造業は「技術の問題ではなく精神面」に根本的な差があると気がつくようになったそうだ。

 例えば、ある小さな企業は100万分の1グラムという小さな歯車を作る技術を持っているが、良い製品を作るためには投資を惜しまず、億円単位の設備を投入して製品開発を進めたと紹介。筆者は、日本の会社には、隅々にまで匠の精神が行き渡っており、「一種の文化」になっていると感心している。

 中国では、日本の職人の技術力がとかく称賛される傾向にあるが、その背景にある職人としての「精神」がなければ真似できないと言えるだろう。記事に対して、ユーザーからは「中国では、真似したくても真似できない」という意見が多く寄せられた。ある人は、本当は職人になりたかったが、中国で職人になったら家も車も買えず、成果は上司に横取りされるのであきらめたとコメントしている。別の人は、「匠の精神は中国では伝説」で、非現実的な話だと主張している。

 現在の日本では、新型コロナウイルスの影響で多くの中小企業が資金繰りに追われているが、日本銀行は今月22日、資金繰りに苦しむ中小企業を支えるため、金融機関に対して最大で約30兆円の新たな資金供給策を決めたと発表した。中国人にも称賛される日本の「匠の精神」を受け続く中小企業がこの危機を乗り越えられるよう願うばかりだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

そういうことか!日本と中国の製造業の根本的な差は「精神」にあり=中国報道