先月25日に米ミネソタ州で武器を持たない黒人男性が「息ができない」と訴えたにもかかわらず、警察官が8分以上も膝で首を地面に押しつけて死亡させてしまった事件が全米を揺るがせている。これに抗議するため、全米各地で街を破壊するほどの激しい抗議デモが発生した。しかしニューヨークでは命の危険を顧みず、抗議デモの群衆の前で無防備に地面にひざまずく警察官の姿があった。『New York Post』『FOX 4 Kansas City』などが伝えている。

ジョージ・フロイドさんが元ミネアポリス市警察署の警官だったデレク・ショービンに命を奪われてから、全米でアフリカ系アメリカ人に対する警察の不当行為に対しての怒りが噴出し、各地で暴動が起きて死者まで出ている。事件があったミネアポリスでは街に火が放たれ、窃盗なども発生し、警察と抗議デモの群衆との間に激しい衝突が起きている。

その暴動は全米に広がっており、ニューヨーク市もまた抗議者によるデモ行進が5月31日に行われた。同市内にあるジャマイカ・アベニューと165番ストリート交差点に大勢の抗議者が集結し、この情報を聞きつけていたニューヨーク市警の警察官が既に現場で待機していた。

他の都市と同様に抗議者と警察官との間で衝突し暴動が起きてもおかしくない状態の中、抗議者達がデモ行進の前に地面にひざまずき、これまで警察官によって不当に命を奪われた黒人の名前を読み上げようとした。するとその場にいた数人の警察官が、群衆の目の前で同様に地面にひざまずいたのだ。

抗議者からは歓声があがるとともに、指笛が鳴り響いた。そしてひざまずいた警察官らは頭を垂れて、亡くなった黒人の名前を読み上げる抗議者の声をじっと聞いていた。

その様子を抗議者の1人であるアレイア・アブラハムさん(Aleeia Abraham)が動画に撮影しているが、拍手が鳴り響く中で抗議者と警察官が握手してハグする姿があった。アレイアさんによると、この日のデモ行進は数百人が参加したが、特に問題もなく平和に行われたという。

アレイアさんは「それは素晴らしかった。本当に先行きの良いサインだと思いました。だけど私達が本当に求めているものは、(警察が)行動で示してくれることです。私達黒人が踏みつけられ撃たれることがなくなった時、私達はもっと感銘を受けるでしょう。私はその時が来るのを待っているのです」と話している。

実はニューヨーク市以外でも、フロリダ州マイアミにあるコーラルゲーブルズ市庁舎前で5月30日警察官が抗議者と一緒になってひざまずいている。またミシガン州ジェネシー郡の保安官が、抗議者から「我々と一緒に行進に加わってくれ」との呼びかけに対して「一晩中でも歩くよ」と一緒にデモ行進に参加していた。

画像は『Aleeia Abraham 2020年5月31日付Facebook「So far CNN, FOX 5, NY Post 1010 Wins, BBC, CBS and the Gothamist reposted my video of the police kneeling during the protests this morning.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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