F1の古豪チーム、ウィリアムズが身売りする見通しとなった。

5月29日にチームのタイトルスポンサーを務めていた携帯電話事業会社「ロキット」との契約を終了すると発表。新型コロナウイルス禍で活動資金が足りないことからこのままでは経営破綻する恐れもあり、チームの株式を売却する決断に至った。

身売りの見通しとなった名門ウィリアムズ(チーム提供)

・今すぐ読みたい→
ファンを楽しませるためのバーチャルレースでトップレーシングドライバーが人種差別発言をして解雇に! https://cocokara-next.com/athlete_celeb/racism-remarks-fired/


 チーム側は「正式な売却プロセスの開始を発表する」と公表。「検討されている選択肢としては、事業のための新たな資本調達、(持ち株会社WGPHの少数株主持ち分の売却、もしくは会社全体の売却の可能性を含む、WGPHの過半数の株式売却」との声明を出した。

 かつてはトップチームとしてF1を席巻した。コンストラクターズ(製造者)タイトル獲得は計9回。アランジョーンズケケ・ロズベルグネルソン・ピケナイジェル・マンセルアラン・プロストデーモン・ヒルジャック・ビルヌーブと7人のワールドチャンピオンを輩出した。日本メーカーのホンダトヨタのエンジンでF1を戦った唯一のチームでもある。

 地に落ちた一因として世代交代の失敗が挙げられる。車いすの闘将として知られるフランク・ウィリアムズ代表がカリスマ的存在としてチームをけん引してきたが、高齢を理由に2013年にチームの下駄を娘のクレア副代表に預けたあたりから、暗雲が垂れ込めた。チームの共同創設者で技術開発部門のトップだったパトリック・ヘッド氏が11年に経営から退いた影響も大きい。

ウィリアムズクレアウィリアムズ副代表(チーム提供)

 大口のスポンサーを次々と失い、有能な技術者もチームを離れた。その結果、自転車操業状態となり、昨季は部品の品質低下や調達遅延で四苦八苦。2015年には製造者部門3位を獲得したのを最後に低迷の一途をたどり、18、19年と2年連続で最下位の部門10位に甘んじた。

 過去に名門と呼ばれた独立系チームのブラバムロータスティレルも身売り後に姿を消した。マクラーレンは数度の経営陣変更で生き残ってはいるものの、自動車メーカーになったフェラーリを除けば、1960年代から同族で経営を続けているのはウィリアムズしかない。

 7月にずれる公算が大きいシーズン開幕戦には「ロキット」のスポンサー名を外したマシンで臨むが、活動がどこまで持ちこたえられるかは身売り交渉次第。身売りすれば、チーム名が変更される可能性もあり、再建に失敗すれば、チーム自体が消滅する恐れもある。

 仮にウィリアムズが撤退するとF1参戦チームは史上最低の「9」に。「パンテーラチームアジア」など新規参戦に名乗りを上げているチームはあるが、最悪の展開を迎えつつある。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

・今すぐ読みたい→
ファンを楽しませるためのバーチャルレースでトップレーシングドライバーが人種差別発言をして解雇に! https://cocokara-next.com/athlete_celeb/racism-remarks-fired/

かつてはトップチームとしてF1を席巻した古豪・ウィリアムズが身売りへ・・・その要因とは