「まさか、こんなに自分が叩かれるとはあの子も思ってもみなかったんじゃないでしょうか。騒動のときは私たちもどうしていいものか、娘にメールでも送ったほうがいいのかなと思ったんですけど、あの子も27歳になって、自分の考えでSNSに載せたと思うんです。だから炎上しているときは敢えて、しばらく黙っていました」(きゃりーぱみゅぱみゅの母・郁子さん)

 SNSによる誹謗中傷社会問題となっている。先日、22歳の若さでこの世を去った女子プロレスラーの木村花さん。彼女は恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中だったが、番組内での言動に対して1日100件もの誹謗中傷SNSに悩まされていた。事態を重く見た高市早苗総務相はインターネット上の発信者の特定を容易にするため、制度改正を含めて検討することを表明している。

 そして、若年層に人気のアーティストきゃりーぱみゅぱみゅ(27)もまた、SNSツイートが原因で大バッシングに遭っていた。母親の郁子さんに話を聞いたところ、きゃりーは騒動後、傷心を癒やすために一時里帰りをしていたという——。

『勘違いババア』『歌手は歌うだけでいい』

《♯検察庁法改正案に抗議します》

 すべての発端は5月10日にきゃりーがこのハッシュタグを付けて発信した1通の投稿だった。同法改正案については、小泉今日子や「いきものがかり」の水野良樹浅野忠信らが声を上げ、きゃりーも同様に抗議の輪に加わっていた。

 しかし、ツイッターで抗議した有名人の中でもバッシングの標的となったのは、きゃりーなど若い女性有名人たちだった。

「524万人のフォロワーを抱えるきゃりーぱみゅぱみゅの影響力は大きく、彼女の投稿に賛同する意見も多くありました。しかし、『歌手やってて、知らないかも知れないけど』『勘違いババア』『歌手は歌うだけでいい』といった批判や誹謗中傷が殺到し、彼女のツイッターコメント欄は大荒れでした。彼女も『歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、』と反論していましたが、騒動が大きくなり、結局翌日に問題のツイートを削除するまで追い込まれました」(スポーツ紙記者)

 ツイートを削除した理由について、きゃりーはこう説明した。

ファンの人同士での私の意見が割れて、コメント欄で激論が繰り広げられていて悲しくなり消去させて頂きました。いろんな意見があって良いとは思います。私に対してのイメージ、理想それぞれあるとは思いますがファン同士で喧嘩するのは嫌だなぁ。逃げるな!とか消すなら最初から書くんじゃねー! とかいろいろ言われるだろうな思ったので理由を書かせていただきました。今後は発信に責任感を持って投稿していきます。失礼致しました》

うちのお父さんは「世の中はそんなに甘くない」

 炎上騒動中、母の郁子さんは冒頭のコメントの通り、娘と「あえて距離を置いていた」と話す。

SNSは怖いです。すごく怖いです。うちのお父さんは、『一度載せたんだったら、消したりしないで責任を持たないといけない。世の中はそんなに甘くない』っていう考え方なんです。でも、あの子ネットで皆からいろいろ言われていて、あの時に私たちがそれを本人に言ってしまうと娘をもっと追い込んでしまいます。ですから何も言わずにずっと辛抱して見守っていました」

 東京・西東京市で生まれ育ったきゃりーは2011年に奇抜なファッションと個性的な歌詞でデビュー

 そのド派手な印象から自由奔放に育てられたように思われがちだが、人一倍“しつけ”に厳しい家で育てられた。

ビンタに木刀、門限厳守、人の悪口は言わない

「普通の家庭と一緒だと思うのですが、一人娘でしたので、しつけに関しては少し厳しかったかもしれません。言葉で通じなければ(ビンタの手ぶりを見せ)ビシッビシッっていうのは日常でしたね。携帯を買ってあげたのは中学を卒業してからで、高校3年間は夜8時から朝までは充電器に置かせて使わせませんでした。門限も夜8時で、あの子が原宿とかで写真を撮っていて5分遅れて帰ってきたりしたときがありましたが、私は玄関に鍵をかけて入れませんでした。

 玄関には木刀もあって、『門限は守らなきゃだめ。1秒遅刻してもそれは世の中ではダメなんだから。私は待ち合わせ時間の1時間前には到着するようにしている』と話した記憶があります。特に『人の悪口は言わない』ってことはいつも言っていました。外で話してしまうと、あなたが言った一言が人に伝わったときに、その人を傷つけてしまうかもしれないから、どうしても言いたいときは家の中で意見として私が聞くから、と」

 高校生まで親子3人“川の字”で寝ていたきゃりー。コロナ禍スケジュールが白紙となり、炎上騒動後に訪れたのは慣れ親しんだ実家だった。

「自分で言った以上は自分に責任があるからね」

「実は先日、こっちに帰ってきたんですよ。娘が『お父さんとお母さんが(炎上騒動のときに)何も言ってこなかったけど、知ってたんでしょ?』と言うから、『知っていたけど、それはあなたの考えで、自分で言った以上は自分に責任があるからね。ただ、今の世の中は皆がピリピリしているから、言葉には気をつけてね』って話しました。一緒に愛犬(マルチーズトイプードルミックスのメス)の“あめちゃん”と来ていたので、久しぶりにゆっくり近所を一緒に散歩しました」

 一方で、恋多き女性でもあるきゃりーは、過去に俳優でモデルの小谷昌太郎、「SEKAI NO OWARI」のFukase、「バニラズ」の牧達弥らとの熱愛が報じられてきた。娘の結婚観について、郁子さんはこう話した。

きゃりーが口にした「子供が生まれたら……」

「最近は『お父さんとお母さんが元気なうちに子供が生まれたら、面倒を見てもらって、抱っこしてもらいたい』ってあの子が言うから、『わかった。でもね、あなたの人生だから、私たちのことは気にしないで自分がここで卒業っていうところまで仕事をしていいんだよ。好きなだけ仕事をして辞めたくなったら、いつでも帰っておいで』って話しています。

 手紙もくれて、『育ててくれてありがとう。お父さんとお母さん子どもで本当によかった。私もお母さんのような母親になりたい』って書いてありました。本当に優しい子なんですよ。実家に来たときは元気がないように見えて、1泊だけして帰りましたけど、少しは気晴らしになったんじゃないですかね」

「いつかあの子の心が折れてしまわないか心配」

 改めて、今回のSNS炎上について母の郁子さんは、「いつかあの子の心が折れてしまわないか心配です」と不安を募らせた。

「私は人の粗探しとかは苦手でSNSなんかも見ません。あの子SNSに反響があるっていうのはお父さんからよく聞くんです。世界の人やたくさんの方が見ているみたいで、『テラスハウス』の出来事もあり、毅然とした気持ちでいないと、心が折れてしまわないかと心配です。もう少し一歩足を止めて考えてくれればいいんだけど、載せちゃったことは取り返しがつかないですからね。

 27歳になってくると10代の子たちから見れば『ババア』みたいに言われてもおかしくない時代ですから、強い精神力で接していかなきゃいけないし、正直、こんなの載せなければいいのにって思うときもあります。でも、あの炎上で若い人たちが今度の新しい検事長の方や世の中のことに興味を持ってくれるかもしれないですよね。あの子にはまだ夢があるし、落ち込まないように一番のファンである私が応援してあげたいと思っています」

 SNSで人気を集めると同時に、心無い言葉に晒されてもいる現代のタレントたち。母の心配は尽きることがない。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

きゃりーぱみゅぱみゅと母親の郁子さん