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387psへとパワーアップするGRスープラ

textMatt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
今回試乗したトヨタ GRスープラの室内は、筆者の記憶以上に広かった。ドライビングポジションの頭上、180cmくらい上にルーフがある。

日本のスポーツカーにしては珍しいほど、ウッドが多用された、質感の柔らかいインテリア。おっと、ここは自宅のリビングルームの一角だった。

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トヨタ GRスープラ2021年北米仕様グランツーリスモスポーツ

冗談はさておき、今回試乗したのは2021年モデルの北米向けトヨタ GRスープラ。まもなく彼の地では販売がスタートする。先代よりパワーアップも果たしている。

欧州仕様は北米仕様とは違う。排出規制が異なるためだ。直列6気筒ターボエンジンの最高出力は339psから387psへと増強されるが、英国も含めて、欧州へはこのスペックで導入されないだろう。

改良を受けたサスペンションのポイントは、どこにあるのだろうか。そもそも従来から、欧州と北米とではシャシーの設定も違う。

北米仕様となる2021年モデルスープラでは、ストラットレースが装備され、バンプストップも新しくなる。ダンパーチューニングも見直され、パワーステアリングやアダプティブダンパー、スタビリティコントロール、電子制御デフの設定にも手が入った。

すべては操縦性を引き上げ、よりハードコアスポーツカーに仕上げるため。ソフトグランドアラーから距離を置こうとしている。

グランツーリスモ・スポーツで比較試乗

どれだけ良くなったのか、レポートできればと思うのだが、あいにく最新のトヨタ GRスープラは英国にまだ上陸していない。もし到着していても、ロックダウン中で試乗には出かけられない。それでも気になる。

そこで筆者は、自宅のリビングルームにソニーゲーム機プレイステーションと、ステアリングホイールやペダル類を模したコントローラーを並べた。プレイするのは、グランツーリスモスポーツ

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トヨタ GRスープラ2021年北米仕様グランツーリスモスポーツ

このゲームなら、現行のスープラ2021年モデル北米仕様スープラとを、両方ダウンロードできる。レポートするのに充分な試乗は、できるのだろうか。

ご存知の読者も多いと思うが、ドライビング・シミュレーター自体は、すでに自動車開発で広く用いられている。本物に近い物理的な挙動を実現し、開発車両の迅速な評価と改良を可能にしている。

今回筆者は、現行のスープラと新しい北米仕様スープラとを、同じコースで交互に比較することにした。ゲームメニューからセットアップ画面へ進むと、グランツーリスモでは、新しいスープラの車高が3mm低く設定されている。

サスペンションのジオメトリーや、ダンパーのレートなどは変更されていない様子。実際には異なっているはずだ。リミテッドスリップデフの設定は、よりアグレッシブな数値が与えられている。

コントロール性に優れる2021年モデル

現行のGRスープラから2021年モデル乗り換えてすぐに気づくのは、エンジンの活発さ。レブカウンターをはね上がる、針のスピードが違う。

3.0Lエンジンが5800rpmで発生する最高出力は387psで、従来より14%の増強。レブリミッターは、5000rpmから6500rpmの間ではなく、6500rpmに設定されている。

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トヨタ GRスープラ2021年北米仕様グランツーリスモスポーツ

最大トルクもわずかに増えている。50.3kg-m/1600-4500rpmから、50.7kg-m/1800-5000rpmへと発生回転数も広がった。この違いは感じ取ることができるはず。

グランツーリスモスポーツで知った限り、サウンドは同じ。滑らかでワクワクさせてくれる。実際のスープラでも、似たようなサウンドを響かせる。オーバーラン時の破裂音は、実車では聞いたことがない。

路面の平滑さに欠けるサーキットでは、2021年モデルスープラの方が、先代よりコントロール性に優れている。ボディロールは小さく、路面の起伏や凹凸を越えても姿勢制御が良く、ライン取りしやすい。

姿勢制御がタイトということは、重心移動も小さく、ブレーキを引きずりながらコーナーへ入っていける。フロントタイヤへ過度に荷重を掛けてしまったり、アンダーステアへも陥りにくい。

現行のGRスープラではフロントタイヤを上手に使って、重心移動が適切でないと、オーバーステアが早めに出る傾向があった。

乗り心地やステア・フィールは分からない

一方でタイトなシャシー設定を得た2021年モデルスープラでは、初期のアンダーステアオーバーステアも、上手に抑え込まれているようだ。減速時のLSDロックアップ・レートが高く、安定性が増していることも影響しているだろう。

しかし、まだドリフトはする。400ps近いパワーを持った、ターボエンジン後輪駆動モデルだ。その時の、細かなコントロール性も良くなった。

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トヨタ GRスープラ2021年北米仕様グランツーリスモスポーツ

総合して現行のスープラより、スポーティ度が上がっている。一方で、同等のミドシップスポーツほど機敏ではない。

コーナー進入時の、ブレーキングやステアリングの操作も容易なようだ。オーバーステアの発生も穏やかで、コーナーの頂点手前からアクセルペダルを踏んでも、姿勢が崩れにくくなっている。

この変化が、乗り心地に及ぼす影響は未知数。筆者がテレビの前に据えた古いレーシングカートシートは、スープラ乗り換えても、快適性に一切の変化を及ぼさなかった。もちろん、他のモデル乗り換えても。

ステアリングフィールも、違いがわからなかった。たとえ最高のシミュレーターであっても、実際のクルマとはフィーリングが異なるのだから仕方ないだろう。

グランツーリスモスポーツで乗り比べた限り、ハンドリングの変化は感じ取ることができた。充分に価値のある体験だったと思う。このゲームが、正確に2021年モデルの北米向けGRスープラを再現していると願いたい。

番外編:ドライブ・シミュレーターのリアル

ドライビング・シミュレーターでも、ある程度はクルマテストができる。実際、自動車メーカーやレーシングチームは、シミュレーターを導入している。

仮に、走行可能なプロトタイプを作るのに1500万ポンド(19億8000万円)が必要でも、シミュレーターなら世界最高クラスでも200万ポンド(2億6400万円)。充分に魅力的なアイテムだ。

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自宅の一室でグランツーリスモスポーツをする筆者

フォードで開発ドライバーも務める、レーサービリージョンソンはこう話していた。「ニュルブルクリンクへ6名の技術者テスト車両を持ち込むのに、16万4000ポンド(2164万円)は必要です。社内のシミュレーターなら、世界に点在する6カ所のサーキットでのテスト走行を1日でできます」 

シミュレーターの大切な要素は2つ。1つはクルマの挙動を再現すること。物理の法則は決まっているから、モデル化ができる。難しいのは、ビジュアル以外の部分で、実際に運転していると実感させることだ。

アンシブル・モーション社とクランフィールドシミュレーション社のものは、筆者が体験した最高のドライビング・シミュレーターだった。それには、実際に上下左右へ動くモーションベースが付いていた。

筆者は、グランツーリスモスポーツクルマダイナミクス性能を良く再現していると考えている。でも、さらにシミュレーターとして重要な要素は、クルマの挙動を座った身体へ伝えることだと思う。

2021年北米仕様スープラは、パワーアップし、スポーティなシャシーを得ている。少なくとも、その違いは小さいながら知ることができた。

トヨタ GRスープラ(2021年北米仕様/グランツーリスモ・スポーツ)のスペック

価格:4万4000ポンド(580万円・予想)
全長:4380mm
全幅:1865mm
全高:1290mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:12.0km/L(予想)
CO2排出量:225g/km(予想)
乾燥重量:1580kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:387ps/5800-6500rpm
最大トルク:50.7kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック


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