ミネアポリス市で5月25日、黒人男性が白人警察官に拘束された際、窒息死したことをきっかけに、警察に対する大規模な抗議デモが全米各地で広がっている。

瞬く間に全米に広がった抗議デモや暴動

全米各地で勃発した数百人から数千人規模のデモでは、一部が暴徒化。商店が略奪、放火されるなどして、州兵が出動する事態に発展している。

ニューヨークワシントンDCボストンフィラルフィア、マイアミなど各地では、治安部隊が暴徒化するデモ隊に対してペッパー弾や閃光弾などを撃ち込むなどして強制排除した。

ミネアポリス市では数日間続くデモで窓ガラスが割られるなど、建物や商店など数百棟が破壊され、隣接するセント・ポール市でも商店170店舗以上が略奪された。

またそれに伴い、ダラスやミネアポリス、インディアナポリス、デトロイトなどでは、商店の店主がデモ隊に暴行され負傷するなど身体的な被害も拡大し、ニューヨークでは一晩で350人以上が、フィラルフィアでは200人以上が逮捕されている。

トランプ大統領は31日、ツイッターで「民主党の市長や知事は、無政府主義者らにもっと断固とした姿勢を示せ」、「暴力行為を扇動している極左勢力“ANTIFA”をテロ組織に指定する」などと発信している。

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コロナの経済的打撃でトランプ再選に黄信号?

一連の抗議デモや暴動の根底には、新型コロナウイルス感染症COVID-19)の拡大に伴う雇用悪化と広がる経済格差に対する市民の不満・怒りがあると言われるが、それは11月の米大統領選にも大きく影響しそうだ。

アメリカファーストを掲げて当選したトランプ大統領の4年間は、順調な米経済に支えられてきた。しかし、再選に向けた“ショー”を開始しようとしたトランプ大統領を、新型コロナウイルスが襲う形となった。

米国は新型コロナウイルスの最大被害国となり、その悪影響はリーマンチョックを凌ぎ、長期化することは間違いない。

秋までの間にどれだけ米経済を立て直せるかがポイントと言われてきたが、現在、トランプ大統領は4年間の実績、そして今後の政策ビジョンも魅力的にアピールできる状況にはない。

そうなってくると、バイデン候補がどう出てくるか気になるところだ。既に一部のメディアや専門家は、「バイデン勝利?」との見方を挙げているが、同候補は、コロナからの経済立て直しを打ち出せないトランプ大統領を今後の選挙戦で追求してくることだろう。

トランプ大統領は中国批判を強めるか

そうなると、コロナによる経済危機の矛先を逸らしたいトランプ大統領は、今後いっそう中国批判というカードを使ってくる。

4月下旬、米国のピュー・リサーチ・センターが発表した調査結果によると、中国に対して好意的ではないと答えた米市民は前年比6パーセント増の66%に達し、2005年の調査開始以来最高を記録した。

しかし、これがトランプ大統領の中国批判と今後どれだけマッチするかは全くの不透明だ。新型コロナウイルスと今回の抗議デモは、トランプ再選にとっては大きな壁となっている。