2018年から「演技を学ぶ」と宣言してイギリスに留学し、2020年3月の「火曜サプライズ」(日本テレビ系)で芸能界への復帰を果たしたウエンツ瑛士。移り変わりの早い芸能界において、1年半のブランクは決して短くはない。このレベルの休業で、以前のように活躍できなくなったタレントは山ほどいる。しかしウエンツはまるでブランクなどなかったかのように、元のポジションにすんなりと戻っているのだ。なぜ彼は、特別だったのだろうか。

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■ 高いバラエティ力で「いるのが当たり前」に

もともと4歳のときにモデルを始め、「天才てれびくん」(NHK教育)などで子役として活動し、小池徹平と結成した音楽ユニット“WaT”では「NHK紅白歌合戦」に3年連続出場。役者としてもドラマや映画に多数出演し、マルチな才能を発揮してきたウエンツ

中でもやはり突出しているのは、バラエティタレントとしての才能だ。ネプチューンとのレギュラー番組「力の限りゴーゴゴー!!」(フジテレビ系)で頭角を現したのが、どんな芸人とも違和感なく絡み、そつなくトークを繰り広げる技術。

もともとは“イケメン枠”で出演していたにも関わらず、バラエティでの力量を高く評価され、その後もさらりとバラエティ界に溶け込み「いるのが当たり前」に。一大ムーブメントを巻き起こした「あいのり」(フジテレビ系)では加藤晴彦の後任としてMCを務め上げた。

そんな彼が、突然イギリスに留学したのが2018年。「火曜サプライズ」(日本テレビ系)や「世界が驚いたニッポン!スゴ〜イデスネ!!視察団」(テレビ朝日系)などレギュラー番組を持った安定を捨てての挑戦だった。

1年半後の2020年3月に復帰すると、「前よりテレビでめっちゃ見る」「毎日、ウエンツの顔を見てる気がする」とSNSで言われるほど、バラエティに引っぱりだこ。

あまりに出ずっぱりなだけに芸人からもネタにされる始末だが、「スッキリ」(日本テレビ系)でMCの加藤浩次が「それだけ、ウエンツがバラエティで待ち望まれてるってこと」と語るほど、制作サイドからは復帰を期待されていたようだ。

「結局この1年半、ウエンツが空けた椅子に座れたタレントはいませんでした。もちろん“お笑い第7世代”などの台頭はありますが、彼ほどバランス感覚に優れた人はなかなかいない。“毒”と“フォロー”、“抜けっぷり”と“抜け目のなさ”、それぞれを両立させているんです。言わば、芸人がコンビでやる仕事を1人でやりきってしまう、というか。しかも30歳を超えたとは言え、まだまだイケメン。替えの効かない存在なんです」(バラエティ番組スタッフ)

■ 当時は斬新だった“イジられ系イケメン”

彼のバラエティ力は、プライベートでも培われている。芸人界への人脈の広さだ。

「ダウンタウンの松本(人志)さんやヒロミさんとの交流は有名ですが、他にも「あいのり」で共演していた今田(耕司)さん、さらには爆笑問題の田中(裕二)さんやオリエンラルラジオの藤森(慎吾)さんなど、いろんな芸人とプライベートで遊んでいる。ボケ・ツッコミ問わず付き合いがあるので、意識せずともトーク術が鍛えられているようですね」(同・スタッフ)

「番組内外問わず、たくさんの人から説教をされている」と「ダウンタウンなう」(フジテレビ系)でこぼしたウエンツ。それでも最強のメンタルで、一切引きずらないのだとか。

結果、松本に「コイツ、腹立つわ〜!」と何度も言われても、視聴者からは「ウエンツ、愛されてるなぁ」「ダウンタウン、めっちゃウエンツのこと好きだね」という反応になる。

そしてウエンツと言えば“イジられ系イケメンキャラ”だが、JOYや満島真之介など現在は数多くいるこのジャンルのパイオニアでもある。

「今では、イジられキャラのイケメンはジャニーズにもいますよね。たとえば大野智(嵐)や中島健人(Sexy Zone)、平野紫耀(King & Prince)など。でも20年前は珍しかったんですよ。イケメンなのに、“こんなにハーフ顔なのに英語をしゃべれない”など天然なところを見せて、芸人にツッコまれるような存在は。ウエンツが現れたとき、すごく斬新だったと記憶しています」(アイドル誌編集)

「力の限りゴーゴゴー!!」でレギュラーとなった2001年から現在まで約20年、彼はずっとイジられ続けている。この間に、ひな壇クラスからMC格へと上がった芸人も多い。しかしウエンツは変わらずイジることができるので、芸人としてもゲストに呼びやすい。そこが、今も重宝されている理由のひとつなのだろう。

どれだけイジられてもこたえないメンタルの強さは、ウエンツの大きな個性だ。周りに「コイツ、おかしい!」と言われても笑える彼は、家にこもり続けてメンタルが弱くなってしまいがちな現在、ちょっと憧れる存在になっているのかもしれない。(文=高崎美紀)(ザテレビジョン

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