MM総研は、2019年度通期(2019年4月~2020年3月)のブロードバンド回線事業者の加入件数を調査した。

画像付きの記事はこちら



 調査によれば、NTT光回線フレッツ光およびコラボ光)は堅調に増加し、3月末の東西合計の契約数が2165.8万件となっている。19年度の純増は前年度を上回り、FTTH市場における同社のシェアが合わせて65.5%と、19年3月末から約1ポイント減少した。

 コラボ光の23月末の総契約数は1388.8万件。FTTH市場全体に占める割合が42.0%、NTT光回線に占める割合が64.1%で、契約数のシェアではNTTドコモが首位を維持している。NTTドコモは、スマートフォンとのセット提案によってシェアを継続的に拡大し、NTTドコモソフトバンクを合わせた携帯2キャリアのシェアが、依然として7割超を占める。

 アルテリア・ネットワークスは、年間9.6%の伸びと好調に推移し、3月末に58.1万件となった。主力の「UCOM光レジデンス」によって、分譲・賃貸ともに集合住宅向け全戸一括型の導入が進み、マンション管理組合向けの支援サービスや賃貸向けサービスの拡充で、引き続き積極的に顧客を獲得する。法人向けとしては、「ARTERIA光」の新規エリア展開や、高速化ニーズ対応などで成長を目指す。

 KDDIグループの「auひかり」「コミュファ光」、オプテージの「eo光」など、10Gbpsサービスが先行して提供される中で、4月にNTT東西および一部の光コラボ事業者が10Gbpsサービスの提供を開始した。また、ソニーネットワークコミュニケーションズの「NURO 光」が夏以降に20Gbpsサービスの提供を開始するなど、FTTH市場では超高速化対応が徐々に広がっている。

 3月末時点のISPインターネットサービスプロバイダ)事業者のFTTH契約数シェアは、NTTコミュニケーションズ(OCN)が首位を維持したが、2位のソフトバンクとの差が縮まりつつある。また、「NURO 光」が好調なソニーネットワークコミュニケーションズ、NTTぷららビッグローブニフティが顧客を増やしている。

 

 固定ブロードバンド(FTTH、ADSLCATV、ワイヤレスの合計)市場では、ソフトバンクがモバイルとのセット訴求を行う「SoftBank光」と、手軽に利用できる宅内据え置き型の無線インターネット「SoftBank Air」の両方で顧客獲得が進み、シェア首位を維持した。なお、2位以下のシェア順位も19年9月末時点から変動していない。

 同社は、固定ブロードバンド市場が23年以降にサービス終了予定のADSLや、光化が進むCATVの減少が続く一方で、FTTHおよびワイヤレスの増加が期待できることから、20年度~25年度で1.9%の年平均成長率で継続的に拡大すると予測している。

 FTTH市場は、新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークや遠隔学習、動画視聴などの需要増を受け、通信インフラとして再評価されており、2020年度は前年度(134万件)を上回る142万件の純増となり、2021年3月末の契約数が3449万件、2020年度以降の5年間の年平均成長率が2.9%と予測する。

 ワイヤレス市場は、3月末時点で369万件と前年度よりも成長ペースがやや緩やかであり、2021年3月末には420万件、固定ブロードバンドに占める割合が9.1%まで拡大するとともに、2023年3月末には500万件を超え、2025年3月末にはCATVインターネットを超える規模まで拡大するとの予測を示した。

光回線はNTT東西がシェア6割超、プロバイダはOCNが首位もソフトバンクが迫る