―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―


カウンタックは今いくら?

 ランボルギーニといえば0.5秒でカウンタック! と答えるのは、中高年のカーマニアのたしなみであります中学生の時、青森から東京に修学旅行に来た際、ホテルで見たカウンタックに狂喜した担当Kは、後年当欄担当になり、カウンタックを運転させてもらったことがカーマニア人生のクライマックスだったそうです。そんなカウンタックは、今いくらで買えるのか?

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi

◆やっぱり日本人カウンタックが好き! 世界でも特殊な日本のランボルギーニ事情

 新型コロナウイルス自動車業界は大打撃。GWは渋滞ゼロで、クルマの出番はスーパーへの買い出しくらい! みたいな状態でしたが、そんなときだからこそ、日常ではまったく無縁のクルマを取り上げて、一時の憂さを晴らしましょうか。

 私儀、10年前に1500万円でカウンタックアニバーサリーを購入し、半年後に1400万円で売却いたしましたが、今になってなぜかカウンタックが恋しい。また欲しい! という思いがフツフツと沸いております。ああ、カウンタックはよかった。ただ走ってるだけで狂気だった。走ってると狂ったように追いかけてくるクルマもいたし、SAに止めると自動的にチビッ子やジジババがわらわら集まってきたし、そこに置いてあるだけでメガトン級の破壊力があったなあ……。

 私が買ったのは、カウンタックのなかで一番安かった「アニバーサリー」という最終モデルカウンタックは新しいほど安いのです。最終モデルが一番数多く売れたので、そのぶん希少価値が低いからであります

 で、カウンタックが今いくらくらいかと申しますと、ネットで検索しても、出てくる中古車はたったの7台。しかも、値段が表示されているクルマは1台もない! すべて「応談」となっております。中古車で応談と出ている場合は、基本的には売り手市場。「値段によっては売ってあげますよ」ってことですね。

 じゃ実際はいくらくらいなのかというと、私が乗ってたあのカウンタックを今買い戻すとしたら、ズバリ3000万円だそうです! ああ、カウンタックは遠くに行ってしまった……。

 じゃ、もっと古いカウンタックはどうなのか? 流通台数があまりにも少なく個体差も大きいので一概には言えないが、最初期型のLP400だと8000万円くらいではないかとのことでありまする。

 とまあこのように、カウンタックは希少で高価な文化財となりましたが、ランボルギーニの業績もうなぎ上り。今年はコロナ禍で1か月半生産が止まったけど、昨年の世界販売台数は8205台で前年比43%増という凄まじい伸び! スーパーカーの女王フェラーリが1万131台でなんとか首位は守ったものの、こちらは前年比9.5%増にとどまり、このままなら逆転の日も近い! という状況です。

 その原動力となったのが、ランボルギーニ初のSUVウルスです。昨年売れたランボルギーニのうち、なんと6割がウルス! カウンタック譲りのシザースドアを持つアヴェンタドールはたったの14%! その下のウラカンが26%。もうランボルギーニと言えばSUVポルシェも7割近くがSUVカイエンとマカン)になってるけど、高級スポーツカーメーカーにとってSUVは打ち出の小槌! フェラーリも早くSUVを出さないとヤバイ! というのが、スーパーカー業界の現在なのでございました。

 ただ、日本ではまったく状況が異なる。世界中で日本だけは、ウルスがあんまり売れてない。断然人気があるのは、カウンタックの血脈を継ぐアヴェンタドールモデルごとの国内販売台数は非公開ながら、どうやらアヴェンタドールが一番売れているらしい。そんな国は世界中で日本だけ! 日本のコアなランボルギーニファンは、ウルスやウラカンを「あれはアウディだ」と言って相手にしていない! すげえっ! ちなみにランボルギーニの親会社はアウディです、念のため。

 ただ、日本ではアヴェンタドールが売れすぎたため、現在なんと150台以上が中古車市場に流通しておりまする。新車価格は4100万円~でしたが、3000万円を切る個体も出ておりまして、実態としては値崩れ状態。もはや現金で買い取ってくれるところを見つけるのも難しく、多くが委託販売とか。

 経済というものは、急激な上昇も低下も、ともにひずみを生んでしまうのですね、しみじみ。

Lamborghini カウンタック<中古>2400万円~8000万円

カウンタックにはLP400とか5000QVとかいくつかモデルがありますが、もっとも安いのがランボルギーニ25周年記念モデルの通称アニバーサリー。このアニバーサリーを買った永福ランプは、教習車以外MT車の運転経験がなかった当時の担当Kに運転させました。アクセルを空吹かししたらメチャクチャ怒られたけど、一生の思い出です。カウンタックリバースやりたかったなあ(担当K)

Lamborghini ウルス<中古>2800万円~

ウルスはアウディQ7、フォルクスワーゲン・トゥアレグ、ポルシェカイエンベントレー・ベンテイガの兄弟車。日本ではあまり売れていないみたいですが、港区では月に数回は見かけます。

Lamborghini アヴェンタドール<中古>2700万円~

アヴェンタドールカウンタック同様ガルウイング20代女子にアンケートをとると「恥ずかしいからイヤだ!」と言いますが、ガルウイングか否かはオジサンには重要なポイントなのです。

Lamborghini ウラカン<中古>1800万円~

ウラカンはアウディR8の兄弟車。この4台のなかでウラカンとウルスが「アウディだ」と言われるのは、そういう理由です。アヴェンタドールとの違いを一言で言えば「ガルウイングではない」

【結論!】
ランボルギーニのようなスーパーカーは、希少であるがゆえに値段が下がらなかったのですが、希少でなくなると自動的に下がります。ランボルギーニの業績アップぶりは、さすがに急激すぎるようであります

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

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