新型コロナによる航空需要減が続くなか、4月にその影響で過去最低旅客者数となった成田空港、3つある旅客ターミナルを見てきました。緊急事態宣言が解除されたあとの様子は、それぞれどのようになっているのでしょうか。

国際線、そしてLCCの一大拠点の成田空港だけど…

新型コロナの影響で東京都、そして千葉県などで発出されていた緊急事態宣言は2020年5月25日(月)に解除されたものの、依然、多くの航空路線で減便や運休が続くなど、その需要回復には、まだ時間がかかると見られます。

そのようななか、日本の国際線、そしてLCC格安航空会社)の一大拠点である成田空港はどういった状況なのでしょうか。2020年6月3日(水)、実際に成田空港へ行き、その様子を見てきました。

この状況下、おもに国際線などが運航されている第1、第2ターミナルの人通りは非常に少ない状況で、特に掲示板上に並ぶ航空便のほぼすべてが「欠航」と示される第2ターミナルを訪れた際には、上階にあるショップやレストランエリアから出発フロアを見渡すと、そこにいる人の数を数えることができたほどです。

これらのターミナルでは、マクドナルドやコンビニ、一部の店舗を除いて、空港内の多くのテナントが営業を休止しています。第1ターミナルは、発着便があることからか第2ターミナルほどではないものの、それでも営業店舗は少なく、一部で営業中のフードコートやレストランで食事をとる人は、ほとんどが空港のスタッフらしき制服を着用しています。

多くのLCCが乗り入れる第3ターミナルは、店舗も薬局とフードコートが営業しているのみで、食事をとる人もまばらです。施設内のコンビニも休業中でした。

ただ、施設自体の大きさが第1、第2ほど大きくないこともあり、また同ターミナルは国内線が多いことから、一般利用者はほかのエリアと比べると比較的、多く目にすることができ、わずかながら客足は戻りつつあるといえるでしょう。

利用者大幅減のウラで 大幅に増加した便もあった

もちろん成田空港も利用者同士の間隔を確保するなど、各所で衛生策を講じています。出発フロアの各航空会社カウンターや保安検査場へ進むゲートには、ビニールカーテンが設置されているほか、第2ターミナルにあるベンチの一部には、席ひとつおきの使用を促す貼り紙が見られ、利用者同士が近くに座らないように配慮されていました。このほか第3ターミナルには、国内線保安検査場入口に体温を測るサーモグラフィーが設置されています。

なお、成田空港では2020年6月現在、展望デッキが封鎖されており、第1、第2ターミナルの一部エリアも稼働を休止中で、エリアを絞って旅客便の対応をしています。

同空港を運営するNAA成田国際空港)は、2020年4月の月間利用状況を5月28日(木)に発表していますが、この期間、同空港の発着回数は前年4月と比べて67%減り、利用者数は前年同月比96%減の1日あたり約4700人となりました。特に各国が出入国制限や検疫強化するなど対新型コロナ体制を強めている国際線への影響は大きく、国際線旅客者数は、単月として過去最低の1日あたり2328人となっています。

6月の時点では、たとえばJAL(日本鵜空)国際線が96%減便、ANA(全日空国際線6月1日から15日までの期間、90%近くまで減便を発表済みで、LCCジェットスター国内線が49%減、国際線66%減、月内に国内全路線を再開する方針を明らかにしているピーチも、6月の運航便数は計画時の3割程度に留まるとのことです。

ただし、旅客便は減少している一方で、貨物便の需要は増えており、これが成田空港の発着数を支えています。先述した4月の利用状況によると、国際線貨物便の発着回数は前年4月と比べて35%増え、単月として過去最高を記録し1日あたり約93便を数えました。航空各社は臨時貨物便の運航や旅客便を貨物専用便として運航するなどの取り組みを、6月現在も行っています。

成田空港第1ターミナルからの眺め。減便の影響からか、日本の航空会社の飛行機が多く駐機中(2020年6月3日、乗りものニュース編集部撮影)。