堀江貴文氏 今月中にも収監される見通しのホリエモンこと堀江貴文氏は2011年6月11日夜、ニコニコ生放送の番組に出演。一貫して「あまり金にこだわらない」とし主張ているものの、世間では「守銭奴」だと言われることが少なくないことについて、「多くの人が上場企業の仕組みすら知らない。そこは教育の問題」だと疑問を呈した。

ホリエモンのラストメッセージ(1) 「田原さん、10年後に僕らの宇宙船に乗ってください」
http://news.nicovideo.jp/watch/nw73921

 以下、番組での堀江氏と田原氏のやりとりを全文、書き起こして紹介する。

■書籍「私の履歴書」の初めに出てくる経済人は、みんな牢屋に入っている

田原総一朗氏(以下、田原): 2年半ばかり、どこか変な所(刑務所)に入らなければいけないというのは、堀江さんにとって損失はないのか。

堀江貴文氏(以下、堀江): そう。嫌は嫌です。

田原: それは嫌だろう。自由に出られない。女性とデートも出来ない。

堀江: まあまあ、それは別にいい。

田原: 佐藤優氏は、まさに(収監された)その2年半で猛勉強して、急にやたらに物を知っている男になった。前はそう思わなかったが、2年半で(の勉強が)凄かった。

堀江: 相当難しい本、いっぱい読んだみたいだ。

田原: (収監の)前の堀江氏と、(出所の)後の堀江氏は、何か大きく変わろうと思っているか。

堀江: 体重は(変わろうと思っている)。痩せようと思っているくらい。

田原: どんな本読もうと思っているか。

堀江: 漫画とかが最初は主かもしれない。漫画と、読みたかった小説とかが結構あって、それを読もうかと。後は基礎的な(本)。何か色々と科学系の本とか読みたかった本がいっぱいあったので、それ全部用意する。今日も昨日も本の整理をしていたら、壁一面くらいの本棚が埋まるぐらい(あった)。

田原: 何冊くらいか。

堀江: 300冊くらいあるんじゃないか。これからもっとセレクトしておこうかと思っている。それ以外にも漫画、1000冊分くらいはキープしているかもしれない。

田原: 下手すると出てきてもまだ読めてないと、まだ半分しか読めてないと・・・

堀江: (読めてい)ない確率は高い。例えば「私の履歴書」という日本経済新聞に連載されているコラムがある。それの経済人編を30冊セットで買った。こんな分厚いが、めちゃくちゃおもしろい。それを拘置所の中で読もうと思って買ったが、最初の1.5冊目くらいで(拘置所から)出ることになって、それからずっと読まずにキープしていた。1冊しか読めなかった。

田原: 入っている時間が短すぎた。場合によっては今度は、もうちょっと長く(刑務所に)置いておいてくれと言うかもしれない。

堀江: いやいや、それは嫌。「私の履歴書」を読むだけでも、多分大変だと思う。30冊あって、凄い量。でもおもしろかったのは、最初の頃の人たちはみんな牢屋に入っている。五島慶太さんとか。あの頃の経済人たちは、ダイナミックすぎておもしろい。五島慶太なんて、もともと鉄道省の役員だ。

田原: 五島慶太という人いなかった。みんな強盗慶太って(言っていた)。

■お金には「一貫してこだわっていない」

田原: しかし、堀江氏が今度(刑務所に)入るのは、やっぱり冤罪だ。

堀江: 僕はそうだと思っている。

田原: とんでもない話。こういうのに対する悔しさはあるのか。

堀江: 悔しさを持って入るとよくないみたい。悔しいとは思っていない。

田原: 多分この番組を見ている人の多くは堀江氏のことを理解していると思うけど、やっぱり理解していないのもずいぶん多い。そういうのに向かって何か言いたいことはあるか。

堀江: いや、理解できない人は、直接会って話さないとダメなのではないか。もう本当に宗教みたいなものもあるから。思い込みというか。例えば今日もウェブのコラムか何かで読んだのだが、「日本人は中国化している」みたいな(ことが書いてあった)。

田原: 中国化とは、どういうことか。

堀江: つまり、日本人というのは古来、天皇を抱いていて、下々の者はみんな天皇にはなれない。せいぜい将軍になったり殿様になるくらいで、その上には必ず天皇がいる。民はそういう安定した体制の中で、争いもせず、お金なんか二の次で仲良くやっていくのが日本人というものなんだと。しかしながら最近は、中国人みたいな考え方のやつが増えていて・・・みたいなことが書いてあって。

田原: 中国人みたいな考えとは。

堀江: つまり中国には天皇にあたる絶対的権力みたいのがないと。

田原: いや、あったんだけど、どんどん変わってきた。

堀江: 変わるというのは、彼(コラムの筆者)にとっては絶対的権力ではない。つまり、皇帝というのは常に代わってきて、だから中国人は政府を信用しない、信用するのは金だけだ、殺伐としていると。どっちかなんだみたいなことを、極端に考える人たちが多い。僕が例えばやってきたことを、そういう人たちはどう思っているかというと、僕のことを守銭奴だと思っている。守銭奴じゃないって言っても、もう思いこんでしまった人たちはなかなか変わらない。

田原: 堀江氏は守銭奴か。

堀江: いや、守銭奴じゃないと思う。

田原: あまり、金にこだわらない。

堀江: それは一貫してこだわっていない。

田原: だけど、堀江氏の(これまでに出版した)本のタイトルが悪すぎだ。

堀江: 僕がつけた訳じゃない。

田原: いかにも守銭奴風のタイトルが多い。

■「多くの人が上場企業の仕組みすら知らない」

堀江: 僕としては、会社と個人は基本的に違う(と思っている)。でも多くの人たちは、例えば僕が社長をしている会社があったら、あれはすべて堀江のものなのだと思っている。上場企業の仕組みすらみんな知らない。だから僕が「株主のために頑張っている」と言っても、「どうせ自分のためにがんばっているのだろう」と、「自分の金をどれだけ増やそうかということを頑張っているのだろう」という風に思われる。丁寧に一人一人説明すれば、それは変わってくるかもしれないが、そこは教育の問題。そういう誤解を受けている部分が僕の件に限らずいっぱいある。

田原: だけど株主のために働いているんだと、株価を高くするんだと(言っても)、その株は堀江さんもたくさん持っているから、自分が儲かるのでは・・・

堀江: そこが大きな誤解を受けるポイントだが、株式交換を多用して――実はライブドア事件に絡んでいることだが、株式交換をするということは、オーナーのシェア(持株比率)はどんどん下がっていく。

 例えば(自分の会社の)時価総額1000億だとして100億の会社を買うとする。10%株式を増やさないといけないので、分母が110になる。僕が30%持っていたら、110分の30になってしまう。だから、実質的には20何%ぐらいに下がって、実はライブドア事件後に僕が持っていたのは18%弱だった。18%弱なんてオーナーでもなんでもない。1株主の1人。

 そうやって株式交換すると、自分のシェア(持株比率)とか支配権がどんどん薄まっていく。その代わり会社は成長して、大きくなっていく。たくさんの株主の人たちに投資をしてもらう。そうやって会社を大きくしていって、世の中で金が少ないと出来なかったようなこと、規模が大きくなったら出来るようなことをどんどんやっていこう、みんなのお金を集めてっていのがライブドアの会社の方針。

 大きな事業は大きな会社でしかできないから、株式市場を最大限に利用して大きな会社をつくるということが僕らのミッションだった。

田原: とても健全で、健康な狙いだと思う。

ホリエモンのラストメッセージ(3) 「テレビ局には『特命係長 只野仁』のような人がいる」
http://news.nicovideo.jp/watch/nw74098

(協力・書き起こし.com、編集・丹羽一臣

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