公益財団法人 旭硝子財団(理事長 島村琢哉、所在地 東京都千代田区)は、今年で29回目を迎える、
ブループラネット賞(地球環境国際賞)の2020年の受賞者を決定いたしました。
本賞は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年平成4年)に設立され、地球環境問題の解決に関して社会科学自然科学/技術、応用の面で著しい貢献をされた個人、または組織に対して、その業績を称える国際的な賞です。本年度の受賞者は以下のお二人に決定いたしました。
1. デイビッド・ティルマン教授(米国) 1949年7月22日生まれ
ミネソタ大学 教授 大学理事
カリフォルニア大学サンタバーバラ校 卓越教授

農業と食習慣が健康と環境に与える影響について精査し、植物ベースの食物は人間の健康と環境の両方に利があるのに対し、赤身の肉類は人間の健康にも環境にも悪影響を与えることを示した。密接に関連している食習慣・環境・健康のトリレンマ(※)を地球規模の問題ととらえ、人間の健康にも、地球環境にもよい農業の実践と食習慣への移行を唱道している。
※トリレンマとは、三つの選択肢の間ですべてを同時には満足できない状態。


2. サイモン・スチュアート博士(英国)1956年7月14日生まれ
シンクロニシティアース戦略的保全部長
元 国際自然保護連合(IUCN) 種の保存委員会議長
IUCN 絶滅危惧種レッドリストのためのカテゴリーと定量的な基準の開発を主導し、評価対象種の拡大に顕著な貢献があった。この堅固な科学的基盤により、レッドリストは、最も信頼性が高く、広く利用される種の絶滅リスクに関する情報源となった。また、世界両生類アセスメントを立ち上げ、統括し、両生類の減少はその生息場所だけでなく、自然環境が損なわれつつあることを示していると警鐘を鳴らした。


●毎年原則として2件を選定し、受賞業績1件に対して、賞状、トロフィーおよび賞金5千万円が贈られます。
●表彰式典は 10月7日(水)に東京會舘(東京都千代田区)で行う予定です。受賞者による記念講演会は、10月8日(木)に国際連合大学(東京都渋谷区)、10月10日(土)に京都大学で開催を予定しています。式典、講演会とも、コロナウイルス感染症拡大のための対策を講じた上で行う予定ですが、例年より規模を縮小しての開催となる場合もあります。


<受賞の辞>
デイビッド・ティルマン教授(米国)
ブループラネット賞という、将来の人類のために地球環境を持続する重要性を訴える他に類を見ない役割を持つ賞をいただけることを非常に名誉に思います。この賞を過去に受けた方々に対して私が大きな敬意を払っているということもあり二重の名誉です。その先達らは私たちの地球を脅かすものを予見し、私たちに警告を発し、そして解決策を見出しました。私はその偉人たちに追随したに過ぎません。私が歩んだ道は、ひとえに、私を叱咤激励し導いてくださった恩師、ともに仕事をする機会に恵まれた同僚や学生諸君の存在があってのものであり、これらの方々にはたいへん恩義を感じております。
世界の人口は110億人にならんとしており、私たちの住む地球は満員になってしまいました。この満員の地球の長期的な居住適性、あまたの種の命運と私たちの健康は、私たちがいかに生きるか、とりわけどのようなものを食べることを選択するのか、どのように農業を行うかにかかっています。私たちの生活、そして私たちのあとに続くすべての人たちの生活は、地上のすべての生き物が相互依存していると認識し、これまで以上に素晴らしい持続可能性を達成するための道を見つけ、たどり続けることで非常に豊かなものとなるでしょう。

サイモン・スチュアート博士(英国)
2020年のブループラネット賞を受賞することは、私の人生において最高の栄誉です。1993年以来、私は旭硝子財団の活動は存じ上げており、私たちのかけがえのない地球に持続可能な未来を実現するために役立つ厳密な科学の発展に対し、揺るぐことなく献身的に活動していることに大きな敬意を抱いています。私は、自然保全を推進しようという自分の熱い思いを貫き、これまで稀有で恵まれ仕事人生を全うしてきました。
私は、博士課程で、タンザニアの絶滅が非常に危惧される鳥の群れについての仕事を始め、生物多様性における科学と政策の橋渡しが最後の仕事となりました。私は、とくに「IUCN 絶滅危惧種レッドリスト」や「生物多様性保全のための重点地域」のような保全を進める上で重要な情報源に、最新の科学的知見を取り込むお手伝いをしました。しかし、私の家族、恩師、共同研究者、長年の友人たちからの今も続いているお力添えなくしては何も成し遂げられませんでした。私たちは今、歴史的瞬間に立っています。 ― 私たちは事実が示す声に耳を傾け、自然が定める限界を超えない生活を始めるでしょうか?
私はブループラネット賞をいただくことで得られる知名度を、人間と自然のための調和のとれた持続可能な未来を実現するために使わせていただく所存です。


<本年度(第 29 回)の選考経過>
国内488名、海外795名のノミネーターに推薦書を送り、127件の受賞候補者が推薦されました。候補者の分野は、多い順に環境経済・政策が33件、生態系25件、気候、地球科学18件などでした。候補者は34ヶ国にわたり、途上国からの候補者は21件あり、全体の17%に相当します。選考委員会による数次の審査をもとに顕彰委員会に諮った後、理事会で、1件はデイビッド・ティルマン教授が、もう1件はサイモン・スチュアート博士が受賞者として正式に決定されました。


<ブループラネット賞について>
人類が解決を必要としているグローバルな諸問題の中で、最も重要な課題の一つが地球環境の保全です。地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、河川・海洋汚染などの地球環境の悪化は、いずれも私達人間の生活や経済活動が大自然に影響を及ぼした結果です。旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年平成4年)に、地球環境問題の解決に向けて著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞として「ブループラネット賞」を創設いたしました。
賞の名称の「ブループラネット」は人類として初めて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリン氏の言葉「地球は青かった」にちなんで名付けました。この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在しつづけるようにとの祈りがこめられています。

<歴代受賞者>

配信元企業:公益財団法人旭硝子財団

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