西成の住民はこの町の特殊性をよく理解している。だが、そのためか犯罪に対して麻痺しているのでは、と思わせることが多々あった。西成周辺の取材ではいつも感じる違和感だ。

 今も昔も西成特有のシノギといえば「人身売買」だ。ヤクザや手配師がホームレスを騙して隔離されたタコ部屋に売り飛ばすといったことはよくある話で、それ以降は消息不明という人間は腐るほどいる。

 そして最近、不況を背景にこの「人身売買」がさらに悪化しているようなのだ。

 なんと、そのターゲットは10代の少女女子高生も多く含まれている。堂々とワゴンで強引に引き込む単純な手口で、なんの罪もない少女たちを監禁してしまうというのだ。これは全な犯罪行為だが、彼らは3人でチームを組んで、日、「人さらい」に勤しんでいる。

「(さらったのは)今までで20人は越えるやろな。先から始めてるから」

 接触した関係者はまったく違法行為に手を染めている自覚はない。終始こんな軽い口調で西成の闇ビジネスった。

――女子高生ターゲットにする理由は。

「カネになるからやろ。ピンきりやけど、いい子で40万にはなる。普通2030万くらいの値打ちや。それでレンタカー代とか経費引いて一人10万以上にはなるで。一回レンタカー借りたら自分たちでノルマを決めるんや」

――クルマが手配するのか。

仲間で免許持ってるがいて、そいつがレンタカーを借りてナンバープレートをぱくってくる。少し離れたとかから」

――そんな簡単にいくものなのか。

「そら、女を選んでるからや。そうな女はよう選ばん。LINEで援助交際を持ちかけて来た女とか、深夜路上で座り込んでる女に絞って有をいわせずクルマに乗せるんや。結構簡単やで。後ろと助手席から一人ずつ降りて口をふさいで手を思いっきり引っるだけ。もちろん、人は気にするけどな」

――捜索願いも出ていると思うが。

「出てる女もいるんやないかな。だけど女も多少のにはなるから。そんなオオゴトにはならへん。女はまとめて全部町のある事務所に送って終わり。デリヘル系が多いとちゃうんかな」 

――彼女たちは自分に付いた客に助けをめそうなものだが。

「店から逃げたら家族にも迷惑が掛かる、覚悟しておけと脅されてるとちゃうんかな。裸の写真も、いろんなこと撮影したビデオも持っとるやろ。若いヤクザシノギやからな。そいつらはLINEとかでも客を見つけてると言うてたな」

――逃げた子もいるはず。表に出そうなものだが。

「そりゃおるやろ。だけどミナミ辺りをぶらぶらしてる女やで。そんな人君子みたいな生活送ってないわ。そやけど、府警が動いてるいう話もあるしな。カネも稼いだし、もう潮時だと思ってな」

 大阪ではかつて、家出少女が8かに渡って軟禁され、売を強制させられた事件が明るみになっている。

家出少女を8か間軟禁、売させた古物商ら逮捕

読売](2002年11月8日

 家出少女を約8か間、マンションに軟禁したうえ、ホテルで売させていたとして、大阪府警は7日までに、大阪市区東中島、古物商M容疑者(44)と同内の無職少年(17)を児童福法違反容疑で逮捕した。客は約800人にのぼり、府警はこのうち身元を特定できた大阪府総務部課長補佐(48)ら33人を児童買児童ポルノ禁止法違反容疑で書類送検した。

 調べによると、M容疑者は昨年11月、知人が出会い系サイトで誘い出した出中の徳島県内の少女(17)少年のマンションに軟禁。テレホンクラブを通じて誘った客を相手に、1人1万5000円でみだらな行為をさせた疑い。少年が監視役として一緒に生活し、「8時起床、9時始業」「客は1日6人以上」などとノルマを強要。少女には1日500円の食事代以外は与えず、ホテルに行く際も常に見っていた。

 覚醒剤の売人ががもの顔で闊歩し、監視カメラの下でも遠慮なしに販売しているのが西成という町だ。何が起きても驚かないが、10代の少女突然拉致されるなんて尋常ではない。また許されるものではない。日本では未だにこのような形で「人身売買」が行われている。これはまだまだ氷山の一角なのだ。

 


【注記事】極左、暴力団が蠢く「貧困ビジネス」の闇...西成マザーテレサ不審死事件【短期連載1】



Written Photo by 西郷

「JKは40万」ワゴン車で近づいて...西成の人さらい集団