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 日本では、1990年代後半から2000年初頭、肌を黒くメイクする「ガングロ」が一部局地的に大流行した。さかのぼること平安時代には、剃った眉の上に楕円形の眉をを墨で描く「麻呂眉(殿上眉)」が公家の間で主流だったようだ。

 このように、美容スタイルは時代とともに変化していき、一周回って帰ってきたりなんかもする。最近では多様化が進んでいるので、麻呂眉の波が戻ってくる可能性も否定できない?

 というわけで、ここでは、かつて流行した古今東西の女性の美容スタイルを見ていこう。一部は現在でも継承されている。

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1.マルチカラーの眉(2~3世紀の中国)


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 眉の形についての流行は、目まぐるしく変化するといっていいだろう。

 中国では2~3世紀にかけて多色眉が流行したようだ。その時の皇帝の1人は、妻に青緑色の眉にするよう命じたという。

 妻は夫の命令に従うため、自眉を剃って他国から輸入した高価なインクを使い、いわゆる眉タトゥーを施した。

 そのインクは、非常に裕福な人のみ入手することが可能だったことから、色のついた眉を持つことは、富の象徴としても知られていたようだ。

 しかし、このトレンドは長続きすることはなく、再び自眉が人気になった。しばらくは、長くて薄いものから、短く厚いものまで様々な眉の形状が流行っていたと言われている。

 また、所変わって古代ギリシャではユニブロウ(一本眉)が大流行した時期があった。当時、一本眉にするために女性たちは山羊の毛で作られた特別な眉毛を自眉につけて繋げていたそうだ。

 現在でも、一本眉は再び注目を浴びるようになり、一本眉を持つ女性がモデルとして活躍している。

2.突き出たおでこ(14世紀後半のフランス)


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 歴史家によると、14世紀の終わり頃、フランスの王妃イザボー・ド・バヴィエールがおでこを大きく見せ首が細く見える姿をしていたことから、そのスタイルが流行したという。

 美の基準に従うため、当時の女性たちは額や頭の後ろの髪を剃っただけでなく、眉毛や睫毛を上下とも抜いていたそうだ。

3.長い爪(清時代の中国)


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 今ではスカルプネイルで人工的に長くすることは可能だが、かつて中国では長く爪を伸ばすことが数世紀にわたって大流行していた。

 爪が長い人は、自分で何もする必要がなく使用人を雇う余裕がある人とされ、富の象徴となっていたようだ。

 1612~1912年、およそ3世紀続いた清時代に、この流行はピークになった。しかし、全ての爪を長くすることはあまり快適ではなかったため、裕福な身分の女性たちは薬指と小指のみ、伸ばす傾向になったという。

 長く伸びた爪が折れたり傷ついたりしないように、貴金属で作られた特別なケースを着用していたとも伝えられている。

4.青白い肌(18世紀のイギリス)


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 18世紀のイギリスでは、透き通るような薄く青白い肌がトレンドになった。

 女性の間ではできるだけ肌を青白く見せるため、馬の糞でできた肥料など非常に奇妙なものを使っていたという。

 しかし、最も危険だったのは顔に鉛を塗ることだった。

 当時、女性たちは皮膚の青白さを強調するために青鉛筆を使って静脈が浮いているように描いたり、赤く色を付けた鉛で唇や頬を塗ったりしていたと言われている。

5.白い歯(18世紀のイギリス)


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 白い歯は健康的に見えて清潔感溢れるため、今も多くの人、特に芸能人は歯を白くするためにケアしたり、ホワイトニングなどの施術を行っている。

 その昔、ジョージ王朝(1714年~1830年代)時代の人々は、肌を青白くすることに加えて歯を白くすることにも熱心だった。

 方法としては、硫酸を含む粉末を使っていたと伝えられている。しかし、歯そのものやエナメル質がダメージを受けてしまうことも多かったようだ。

 裕福な人は、インプラントをする余裕があったが、当時は19世紀のワーテルローの戦いで命を落とした兵士たちの歯が歯科医院に寄贈され、歯科医はそれをインプラント用に使用していたと言われている。

6.何日もかけて行うヘアカラー(15世紀のイタリア)


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 髪を染めるという行為は、トレンドに限らず多くの人がしていることかもしれないが、現在の染髪作業は個人でも簡単にできるし、数時間もあれば終わる。

 しかし、15世紀のイタリアで明るい色の髪が大流行した時には、多くの女性が何日もかけて染髪していたという。

 時を遡って12世紀に記された文書によると、毛染めには2段階のプロセスを必要としたそうだ。

 様々な成分を混合した毛染め液を作り、それを塗った髪を2日間葉で覆い隠し、その後洗い流して再び混合液を塗って4日間放置したのだとか。

7.細いウエスト(15~16世紀のヨーロッパ)


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 専門家によると、腰を細く見せるコルセットの原型は既に青銅器時代に存在していたが、それがヨーロッパで使用され始めたのは15~16世紀になってからだそうだ。

 流行のピークは、16世紀のカトリーヌ・ド・メディシス仏王妃時代とされている。

 コルセットは通常のウエストサイズを最大25cmカットしたものも作られていたが、それを装着した女性は内臓にひどい影響を及ぼしたということだ。

References:a href="https://brightside.me/wonder-curiosities/7-beauty-standards-of-the-past-that-seem-truly-bizarre-now-796894/" target="_blank" title="">Bright Sidewritten by Scarlet / edited by parumo

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