先日ようやく、全国的に新型コロナウイルス感染症により発出されていた緊急事態宣言が解除となった。昨年度から続いた長期休校により、学校再開に不安を感じていた子どもも少なくなかったようだ。


実際「教えて!goo」にも、「新型コロナのおかげでオンライン授業が受けられるので、学校なんて要らないのでは?」との投稿があった。「長期休校の影響」、「新しい生活様式」、「第二波への不安」を踏まえて、大人はどのように子どもたちをケアしサポートすべきなのか。今回はパーソナリティーコンサルタントの横山人美さんに話を聞いてみた。

■休校が子どもたちにもたらした影響

子どもたちの休校の受け取り方もさまざまだったようだが、オンライン授業を受けるうちに学校の必要性を感じなくなってしまう子も少なくなかったようだ。一方、不登校児童生徒にはどのような影響を与えたのだろうか。

不登校の理由もさまざまですが、一斉に休校になったことで、心の負担は軽減したのではないでしょうか。オンライン授業に関していうと、『学校には行けないけど勉強は遅れたくない』と思っている子どもや、対応を試行錯誤していた先生にとっては、新たな扉が開かれたような感触があったのではないでしょうか。とはいえ、家を心身の安らぎの場としていた不登校児童生徒にとっては、突然土足で踏み込まれたような不快感を覚えるケースもあるので表裏一体です」(横山さん)

そんな子どもたちから、ホッとできる居場所を奪うことになったら本末転倒である。個々に応じた対策の見極めが不可欠だろう。


新しい生活様式のために

横山さんは、子どもたちがゲームやネットに費やす時間が多いことについて最も懸念していた。

「子どもたちを取り巻くネット関連の問題は、近年多く取り上げられていますが、今回の外出自粛中には、昼夜逆転してネットに明け暮れてしまう子どもも見受けられました。緊急事態宣言解除と同時に心身を普段の生活に戻すには、多少の努力が必要です。一方で第二波に備え、これまで以上にオンライン授業の普及が進むでしょう。スマホやタブレットを禁止していた親御さんも、学習に必要となれば許可せざるを得ないですね」(横山さん)

緊急事態宣言解除、学校の再開を経て、政府が提唱する「新しい生活様式」を定着させるため、横山さんは具体的な留意点もあげてくれた。

「これまでと同様にインターネットの適切な使い方や、規則正しい生活習慣の重要性を子どもに伝え続け、大人も率先して見本を示すことが必要です。また、オンライン授業などに用いるツールの新たな常識やルール、トラブルなどについても、改めて家族や学校などで話し合う必要があります」(横山さん)

新しい生活様式」では、大人が子どもたちをリードしていかなければならないのだ。


■子どもたちが安心できる環境作りを

今回の事態では、子どもたちの学びや学校のあり方に、突如大きな転換期が訪れたといっても過言ではない。

「子どもたちの心は大人の何倍も柔軟ですから、さまざまな変化に馴染むのに時間はかからないでしょう。大切なのは、子どもの力ではどうにもならない休校や公共施設の閉鎖などのハード面です。各自治体による地域格差などの問題に大人が動揺することなく柔軟に対応し、いつどんな形でも安心して学べる環境を整備することだと考えます」(横山さん)

さらに「ソーシャルディスタンスの維持は必須ですが」と前置きしながら、「子どもたちがオンラインでは習得できないこと」について、大人が再認識すべきだと横山さんは続けてくれた。

「子どもたちの社会性を育むためには、人と人との触れ合いが欠かせません。直接、他の子どもや大人と関わることで、優しさや愛情、痛み、苦しみなど多くの感性が刺激され、他者を思う社会性が発達します。命は何よりも優先されるべきですが、新しい生活様式により、これまでの社会のよさを失わないよう大人の工夫や働きかけが必要です」(横山さん)

ウィズコロナ」の時代がはじまるが、日本の未来を担う子どもたちは、学習し成長し続ける必要があるだろう。そのためにまわりの大人は何をすべきか、何ができるかを模索し、全力でサポートしていくことが求められる。



●専門家プロフィール:横山 人美
Keep Smiling代表。パーソナリティーコンサルタント、講演・セミナー講師。各種メディア執筆やテレビ出演など多数。前向きな発達障害との関わり方を始め、子育てや人間関係の悩みが楽になる心理学を伝えている。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

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