リル・ベイビーの『マイ・ターン』が返り咲きの首位を獲得した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 『マイ・ターン』は、3月14日付チャートで初登場1位を記録し、以降TOP6にランクインし続けていたが、5月1日に6曲を追加したデラックス・エディションが再リリースされたことを受け、ユニット数が上昇。登場15週目にして、先週の3位から首位復帰を果たした。

 13週間のブランクを経て1位に復帰した『マイ・ターン』以前には、映画『アリー/スター誕生』が2018年11月7日~2019年3月9日付チャートで返り咲いた、17週という記録がある。本作は、2018年10月20日チャートから3週の1位をキープした後、翌年開催の【第91回アカデミー賞】受賞効果を受け1位に再浮上したが、 『マイ・ターン』はメディアの露出やシングルの大ヒットもなく、またデラックス・エディションのリリースからも1か月経過しての首位獲得ということになる。

 『マイ・ターン』が今週獲得したユニット数は65,000で、2020年度としては最も低いユニット数での首位獲得となる。昨年の6月8日付チャートでは、ビリーアイリッシュの『ホエン・ウィー・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥー・ウィー・ゴー?』が、62,000ユニットで2度目の首位復帰を果たしたが、この時と同じく、大型の新譜がリリースされなかったことが、低いユニット数で1位に復帰できた理由として挙げられる。なお、今週TOP40に初登場した作品はひとつもない。

 先週1位にデビューしたレディー・ガガの『クロマティカ』は、前週比77%減の64,000ユニットまで数字を落とし、2位に後退。セールスがユニットの多くを占めるアーティストの作品は、2週目で急落する傾向にある。一方、ストリーミングが強いラッパーは上位をキープできるため、今週のTOP10はレディー・ガガ以外、9作全てがヒップホップ/R&Bアルバムの独占となった。

 2週前に首位デビューを果たしたガンナの『ワンナ』は、ユニット数が前週から20%も減少しているものの、新作不在で4位から3位に上昇している。5位から4位にランクアップしたフューチャーの『ハイ・オフ・ライフ』は11%減、6位から5位にTOP5復帰したドレイクの『ダーク・レーン・デモ・テープス』もまた、6%ほど前週からユニット数を落としているが、順位はそれぞれ上げている。なお、この3作はいずれも39,000ユニットと、数字は僅差だった。

 ダベイビーの『ブレイム・イット・オン・ベイビー』は、38,500ユニットを獲得して先週の9位から6位に上昇。本作からは、「ロックスター feat.ロディ・リッチ」が先週のソング・チャート“Hot 100” で自身初の首位を獲得し、アルバムのユニット数に繋げた。12位から8位にTOP10復帰したポスト・マローンの『ハリウッズ・ブリーディング』(36,000ユニット)や、13位から9位に返り咲いたザ・ウィークエンドの『アフター・アワーズ』(35,000ユニット)も、シングル・ヒットによる効果が大きい。

 一方、7位をキープしたポロ・Gの『ザ・ゴート』(37,000ユニット)や、13位から9位に浮上したリル・ウージー・ヴァートの『エターナル・アテイク』(35,000ユニット)は、ヒット曲不在で安定したポイントを維持している。

 先週末~今週も、チャートを荒らしそうな新譜はリリースされておらず、次週のチャートも大きな変動はないかと思われる。


Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、6月19日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『マイ・ターン』リル・ベイビー
2位『クロマティカ』レディー・ガガ
3位『ワンナ』ガンナ
4位『ハイ・オフ・ライフ』フューチャー
5位『ダーク・レーン・デモ・テープス』ドレイク
6位『ブレイム・イット・オン・ベイビー』ダベイビー
7位『ザ・ゴート』ポロ・G
8位『ハリウッズ・ブリーディング』ポスト・マロー
9位『エターナル・アテイク』リル・ウージー・ヴァート
10位『アフター・アワーズ』ザ・ウィークエンド

【米ビルボード・アルバム・チャート】リル・ベイビー3か月ぶりに首位返り咲き、ガガ2位に後退