私は、ファイナンシャルプランナーとして、つみたてNISAを利用した資産運用の必要性をお伝えすることが多いのですが、最近は、コロナウィルスの影響で相場が荒れているため、「資産運用をしても大丈夫なのでしょうか」という質問を受けることがあります。しかし、心配はいりません。つみたてNISAでは、相場の変動は関係なく運用して問題ないでしょう。

○積み立て投資の現状

2020年3月16日SBI証券は、3月15日時点の月間積み立て設定金額が200億円を突破したと発表しました。この約半分が、NISA口座での積み立て設定金額です。同時期に楽天証券は、投資信託の積み立て設定金額が約165億になったと発表しました。

2020年3月といえば、コロナウィルスの影響で相場が荒れていた頃です。日経平均株価3月19日に年初来安値をつけ、1月からたった2カ月で約30%もダウンしました。

このような市場環境にもかかわらず、積立金額が増えているのです。これは、今が資産運用を始めるチャンスであると考えている人が多いということでしょう。相場が荒れているにもかかわらず、チャンスであるとはどういうことでしょうか。それは積み立ての仕組みにポイントがあります。
○つみたてNISAの仕組み

つみたてNISAは、投資信託で積み立てをして、利益が出るとその利益に税金がかからない制度です。通常であれば、約20%の税金がかかりますから。税制優遇が非常に大きい制度です。

積み立てができる期間は最長20年で、一定基準をクリアした投資信託だけがつみたてNISAの対象商品となっているため、投資初心者でも比較的利用しやすい制度といえます。しかし、投資初心者にとって一番の利点は、つみたてNISAでは投資のタイミングを考えなくても良いという点でしょう。

そもそも、投資で利益を得られるのは安く買って高く売るからです。しかし、いつが安く、いつが高いか初心者にとって見極めることは難しいのではないでしょうか。プロですら、見極めるのは難しいといわれています。

ただし、積み立てであればタイミングは関係ありません。定期的に決まった金額を購入するだけです。積み立ては、購入金額は一定ですが、購入量は異なります。なぜなら投資信託の価格は日々変化するからです。1口あたり、1万円の時もあれば1,000円の時もあるということです。

それでも、毎月積み立てる金額は同じです。もし、毎月1万円を積み立てるなら、投資信託が1万円の時は1口購入することになります。翌月に1,000円に値下がりしたなら10口購入することになります。

そうすると、この時点で持っている投資信託の数は11口、合計2万円で購入したので、1口あたりの平均取得単価は2万円 ÷ 11口 = 約1,800円になります。

この後、この投資信託の金額が2,000円に値上がりしたらどうでしょう? 1口200円の利益ですから200円 × 11口 = 2,200円の利益を得られることになります。最初の購入単価1万円まで価格が戻らなくても、利益が出るということです。

次に、積立価格が値上がりした場合を考えてみましょう。初月は1万円だった投資信託が翌月は2万円に値上がりしたとします。積立金額は、1万円ですから、初月の購入口数は1口、翌月の購入口数は0.5口です。

平均取得単価は2万 ÷ 1.5口 = 約1万3,000円です。この平均取得単価を見てどう思いますか。値下がりしたら購入量が増えるので、平均取得単価を下げられます。逆に値上がりしたら購入量が減るので、大きくは平均取得単価が上がりません。

積み立ては安い時にたくさん買って、高い時は少ししか買いませんから、今回のように、コロナショックで大きく値下がりした時は、積み立てを行うことによって、平均取得単価を下げる効果があります。したがって、いつか値上がりした時に、大きな利益を得られる可能性が高いというわけです。
○株価下落時のNG

さて、ここまでお伝えしてきて株価下落時に、つみたてNISAでやってはいけないことは、おわかりでしょうか。それは、積み立てをやめることです。株価が下落すると自分が積み立ててきた資産も値下がりします。

一方で積み立てをすることで、安くなった投資信託をたくさん購入できます。いつか、価格は上昇すると信じるなら、下落時こそ割安になった投資信託をたくさん購入する最大のチャンスなのです。しかし、下落時がチャンスであれば、下落中は積み立てを止めて、株価が底を打った時から積み立てを再開した方が効率的だと考える方もいるかもしれません。

確かに、株価が底の時にたくさん購入できれば、その後、株価が回復した時に利益を大きくすることができます。しかし、今が底であると、いつわかるでしょうか。底だとわかるのは、過去を振り返って初めてわかることなのです

ですから、投資のタイミングは考えず積み立てを続けることが大切なのです。株価下落時でも積み立ては続けましょう。
○積み立てを続けるポイント

つみたてNISAを続けるポイントは、今までお伝えしてきた、下落時こそチャンスである積み立ての仕組みをしっかり理解することです。この仕組みを理解できていれば、下落局面でも不安になることはありません。また、狼狽して売却してしまうこともありません。不安にならなければ積み立ては続けられます。資金が必要になる時まで積み立てを続けると良いでしょう。
(前田菜緒)

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