ロンドンブーツ1号2号田村淳が、オンラインをベースに、さまざまな価値観を持つ人たちの交流を目的とした「田村淳の大人の小学校」を開校することを発表した。

【写真を見る】「いつも『政治家には絶対ならない』って言ってますけど…きっと、なりたいんだと思います、ここだけの話(笑)」。意外な本音を明かす田村淳

これまでも「淳の休日」と銘打ち、ツイッターを通じて参加者を募り「大人の運動会」などの交流会イベントを次々と展開してきた淳だが、この「大人の小学校」は、その発展形にして集大成とも言うべきプロジェクトとなるようだ。

この発表に際して、6月12日には、淳本人の発案による“zoom質問会”を開催。校長を務める淳自身が、「大人の小学校」について解説してくれた。

テレビジョンでは、この取材会の質疑応答を、重複する発言を割愛、読みやすく順序を入れ替えるなどの調整を施した“ほぼ全文”の形で、全2回にわたって掲載。

後編となる今回は、「大人の小学校」とオンラインサロンとの違い、そして学校が目指す最終目標などについて語ってもらった。

■ 「ルールを作ることって、たぶん楽しいんですよ」

――今回、生徒の募集人数を50名に限定した理由は?

田村淳:最初はひとまず50名から始めようってことなんですけど、これは、学校のシステムがまだ整っていないので、「じゃあ、この整っていない状況を50人で遊んじゃおうよ」っていうことなんです。ルールを作ることって、たぶん楽しいんですよね。テレビ番組なんかも…まぁテレビに限らず、ラジオも雑誌もそうだと思うんですけど、僕は“制作過程”が一番面白いと思ってるんですよね。世の中的にも、制作過程というのが面白いコンテンツになってきてるような気もするし。

――では、なぜ今このタイミングで開校を発表したのでしょうか。

淳:実はもっと早い段階で動き始めてはいたんです。スタッフも、ものすごいスピード感で運営のシステムまで作ってくれてたんですけど、去年(2019年)は、相方の田村亮の問題がね、僕の活動の中では一番比重が大きくて。プラス、大学院に通っていて、授業に出たり、レポートを書いたりしながら仕事をしていたので、その中で、新しく小学校を立ち上げるっていうところまでは気持ちの余裕がなかった。そんなわけで、遅れに遅れて、ようやく今年(2020年)の4月くらいに開校できるかなと思ったら、今度は新型コロナウィルスの感染拡大が始まって。で、そろそろコロナが落ち着きそうだなっていうところを見計らっての今なんです。

■ 「僕の代わりに政治をしてくれる人が『大人の小学校』から出てくる、というのが理想かもしれない」

――「大人の小学校」の授業では、校長の淳さんからテーマを投げ掛けるとのことですが、生徒のほうからテーマを提案することもできるんでしょうか。

田村淳:もちろん、もちろん。自分たちから問題提起をしてもいいし、僕もできるだけその議論に参加しますけど、僕がいないところでその問題が解決されたっていいし。

右派と左派がこの小学校の中にいて、両者で意見交換をするっていうのも面白いんじゃないですかね。お互いどこまでだったら譲歩し合えるのか、どこで折り合いがつけられるのか、どうしたらこの問題を前に進めていくことができるのか…そういう社会実験もできたらいいなと思います。

だからね、僕はいつも「政治家には絶対ならない」って言ってるんですけど…きっと、なりたいんだと思います、ここだけの話(笑)。いや、全然記事にしてもらって構わないんですけど。

ただ、政治家にはなりたいけど、僕はやっぱり、面白い番組を作りたいとか、自己表現をしたいっていう欲求のほうが強いんですよね。だから、僕の代わりに政治をしてくれる人が、この「大人の小学校」から出てくる、というのが理想かもしれない。そうなったら、僕が間接的に政治を行っているようなものですから(笑)。

――ただ、学校である以上、“不良”や“落ちこぼれ”が出てくる可能性もあると思うんですが、そこへの対策は? 例えば、議論を無駄にかき乱す人とか…。

淳:ドロップアウトしちゃう学生っていうのは、学校側が、校則というひとつの型に押し込めようとするから、型にはまりたくない人間が飛び出ていくんだと思うんですね。僕もその一人で、「その型はイヤなんだ」っていう気持ちを理解してくれる大人が周りにいなかったから、ボーンと飛び出ちゃった。でも本当は、いろんな考え方があっていいんですよ。どんな発言も行動も尊重すべきだと思います。ただし、発言と行動には責任が伴うので、そこまでセットで考えないといけないのかなと。「あなたが発言したこと、あなたが行動したこと、すべて自己責任ですよ」と理解してもらった上で、「なんでそういうことしたの?」って、みんなで話し合えたらいいんじゃないですかね。

僕はとにかく、たくさんの意見を聞きたいので、いろんな人に来てほしいです。そういえば、僕のツイッターに「僕は障害者なんですけど、大人の小学校に入っちゃダメですか?」っていうメッセージが来たんです。「なんでそんなことを思っちゃうんだ」って、すぐにDMを送りました。「僕は障害者の友達がいないし、むしろ障害者の人たちは、今の世の中をどう見ているのかを僕は知りたい。だから、ぜひ入ってください」って。

――例えば、現職の政治家は入学可能ですか?

淳:はい、もう、ぜひぜひ。なんだったら、自民党の人がいて、共産党の人がいて、この「大人の小学校」の中で議論し合って、他の生徒が「もうちょっと建設的な議論をしてください」とか、「結局どこが落としどころなんですか?」とか、そういうやりとりができたら楽しいなと思いますね。あと実際、僕のツテを使って、授業のゲストスピーカーとして政治家の人に来てもらうっていうこともあるかもしれないです。

■ 「この人の方が向いているという人材が現れたら、喜んで校長の座を譲ります(笑)」

――お話をうかがっていると、この学校は、オンラインサロンのようなものなのかなと…。

田村淳:うちの場合は「学校」ということで、あくまでも学びがベースになっているので、参加する人が全員、“何かを教える人”になればいいと思ってるんです。言ってしまえば、生徒という気持ちで入って来てほしくない。みんなそれぞれが、自分が今まで生きてきて学んだことを発表する場所になったらいいなって思います。

オンラインサロンって、主導者がいて、「こんなことやろうぜ、あんなことやろうぜ」って旗を振って、それにみんながついていく、みたいな形が多い気がするんですよ。僕は、それはやりたくない。なんなら、すごい生徒会長みたいな人が現れて、学校内で大きな派閥を作って、「校長も手に負えないくらいの大きな組織になってるんだよね」って僕がグチをこぼしてる、みたいなことになったら面白いなって(笑)。その大きな組織と向き合ってる自分を想像すると、ものすごく楽しいですね。

だから、システムだけ見たらオンラインサロンと同じかもしれませんけど、中身は全然違ってて。生徒として入ってきた人でも、「この人すごい」ってなったら、教師になってもらうことも全然あるし、極論を言えば、校長先生も、この人の方が向いているという人材が現れたら、僕は喜んで校長の座を譲ります(笑)。

あとは、「Slack」(※ビジネス向けのチャットツール)を利用するっていうのが、他のオンラインサロンにはない特長かなと思いますね。Slackを使うと、いろいろ興味のある部屋がパパパッと出てくるので。

■ 「子どもたちからはもう、教わることだらけです」

――本来、小学校というのは「ドキドキワクワク」できる場所だったと思うのですが、淳さんもまた、常に「ドキドキワクワク」を求めて活動されているようにお見受けします。「ドキドキワクワク」を保つために、大事にされていることはありますか?

田村淳:今までやったことがないことを、まずやるっていうことですね。やったことがないことをやるのって、僕も怖いんですよ。大人になればなるほど、ある程度予測が立てられるようになるから。でも、その予測が、人間にとって一番大切な「ドキドキワクワク」への第一歩を止めてしまう。だから要は、予測を立てないってことですかね。脳みそで考えず、まずは感じて、それを実行に移す。ただその代わり、イヤだったらすぐにやめる。イヤなことをずっと続けるっていうのは、僕は絶対にしないです。考えてみると、僕の人生って、何か新しいことを始めて、イヤだったらやめる、興味を持ったら続ける…っていう繰り返しなんですよね。でもそのおかげで、自分の人生がすごく豊かになってるなって感じがします。

今おっしゃった通り、僕も小学校まではドキドキワクワクしながら学校に通ってましたけど、中学に上がったら、急に憂鬱になっちゃったんですよね。勉強の内容が、自分が興味を持っているのとは別のことになってしまったから。で、そうすると、どんどん理解できなくなって、より難しく感じるから、ますます興味が持てなくなっていくっていう。そういう意味では、この「大人の小学校」は、自分が興味を持ってることしかやらなくていい学校にしたいと思います。

――ちなみに、6月11日に第二子となるお子さんが生まれたばかりですが、お子さんの存在から学ぶことはありますか?

淳:もう、教わることだらけですね。まず思うのは、いかに自分が固定観念にとらわれているかってこと。固定観念なんか取り払おうって常々思ってる僕みたいな人間でも、結局とらわれているんだなと。で、それをぶち壊してくれる存在が、子どもなんですよね。

上の娘はまだ3歳で、「これやってみれば」「あれやってみれば」って、いろんなものを与えてるんですけど、興味を持ったことはすごい勢いで吸収するのに、興味のないことは本当に見向きもしないんですよ。興味がないことを無理やりやらせても、伸び率はたかが知れてるので、やっぱり、まずは興味があることを見つけてあげて、そこからどうやって興味の幅を広げてあげるか、新しいことへ興味をつなげていくのかが大事なのかなと。そこは、大人でも子どもでも変わらないのかもしれませんね。

■ 「1000人集まれば、世の中を変えることができる団体になっていけるのかなと」

――「大人の小学校」開校後、直近の目標は?

淳:まずは定員50名という生徒数がきちんと集まって、この50名で、小学校の仕組みを作ること。コロナが落ち着かないと無理なんでしょうけど、この人たちに僕は早く会いたいです。「なんで入ってくれたんですか?」「そもそも何を求めてこの学校にやってきたんですか?」っていう話を、一人一人から聞きたい。それを想像すると、それこそドキドキワクワクが止まらないですね。

最初の授業はやっぱり、自己紹介みたいなところから始まると思うんですけど、僕は他己紹介を採り入れたいと思っていて。隣にいる人と5分間くらいディスカッションしてもらって、そこで感じた印象を基にして「この人はこういう人です」って紹介する、という。そうすると、相手をリサーチする力もつくし、自分を表現する力もつく。他己紹介は「大人の小学校」の定番にしたいなって思ってるんですけど。

――では、最終的な目標は?

淳:マンモス校と呼ばれる学校にしていきたいので、生徒数は1000人くらいを目標にしています。1000人集まれば、世の中を変えることができる団体になっていけるのかなと。逆に生徒数を少なくして、濃密に学校を運営していくっていうのも、それはそれで楽しいんでしょうけど、やっぱり社会的にインパクトを与えながら、世の中の問題を実際に解決していく、というところまで発展させていきたいんですよね。

※現在「田村淳の大人の小学校」では、公式サイトにて第1期生を募集中。6月19日(金)夜11:59まで。(ザテレビジョン

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