ヤマハ株式会社が開発する自動演奏機能付きピアノ「Disklavier(ディスクラビア)(TM)」を用いた「リモート入学試験」が2020年6月10日(日本時間)、フライブルク音楽大学(ドイツ・フライブルク)にて行われた。ドイツと日本、中国をインターネットで接続し、遠隔地からでもピアノ演奏の実技試験を受けることができる「リモート入学試験」。「Disklavier」は、これまでにライブコンサートのピアノ演奏を多拠点に同時生中継するイベント「リモートライブ」や遠隔地を繋いでレッスンをおこなう「リモートレッスン」で活用された例があるが、生中継での国際間の「リモート入試」にて活用されるのは今回が初めて。

フライブルク音楽大学は、さまざまな国・地域の学生が学び、1946年の開校以来、著名な音楽家を数多く輩出する国際色豊かな名門音楽大学。例年6月に行われる同校の入学試験には、世界各地から受験者が訪れ器楽演奏等の実技を含む試験に挑むが、今年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ドイツ以外からの入学希望者が現地で受験することが難しくなっている。この問題を解決するため、初の「リモート入学試験」導入に至ったという。

受験会場の様子(日本)

受験会場の様子(日本)

受験会場の様子(中国)

受験会場の様子(中国)

今回の取り組みでは、日本で2名、中国で1名が遠隔地からの受験に参加。 隔地に設置した複数の「Disklavier」をインターネット経由で接続することで、それぞれの「Disklavier」で演奏したデータをお互いに送受信し、演奏したとおりの鍵盤やペダルの繊細な動きを、離れた場所にあるピアノで正確にかつほぼリアルタイムに再現することができるという。 今回の実技試験は、 日本のヤマハホール(東京都中央区銀座)、 中国のヤマハ現地法人オフィス(上海)とドイツのフライブルク音楽大学に設置した「Disklavier」をそれぞれネットワークで接続して、 日本と中国での受験者による演奏を、 遠く離れたドイツのピアノで忠実に再現し、 それを試験官が評価する方法で実施された。 

システムのイメージ

システムのイメージ

ヤマハによる技術協力(日本会場)

ヤマハによる技術協力(日本会場)

今回の発表にあたりヤマハは、「離れた場所でも同じ演奏体験を共有できる自動演奏技術のさらなる活用を通じて、 社会環境や地理的な制約による機会損失などの課題に対するソリューションを提案していきたいと考えています」とコメントしている。

■フライブルク音楽大学 クリストフ・ジシュカ教授のコメント

Because of the Corona pandemic, University of Music Freiburg had to think of new ways to give also pianists the chance to take part in the entrance examination, who are not able to come to Freiburg and play live for the jury. We are using about 15 years two Yamaha Disklavier for research and pianistic development with great success. We have had several remote lessons, but this was worldwide the first official entrance examination with live performance via Disklavier. The keys in Freiburg have been moving perfect matched to the video from Shanghai and Tokyo. Though there was obviously a distance of 10.000 km everybody felt as if it was played directly in the auditorium.
The setting was a full success and gives new possibilities in the future for exams, master classes and concerts. It is like the beginning of a new age.

[ヤマハ参考訳] フライブルク音楽大学は、 新型コロナウイルス感染症の大流行の影響で、 フライブルクに渡航して審査員の目の前で演奏することができないピアニストにも入学試験に参加する機会を提供する新しい方法を考えなければなりませんでした。 私たちは約15年間にわたり、 研究とピアニスト育成のために2台の「Disklavier」を使用しており、 大きな成功を収めています。 これまでにも何度か遠隔レッスンを行ってきましたが、 今回の「Disklavier」を使った生中継での国際間の公式な入学試験は世界初の試みでした。 フライブルクのピアノの鍵盤の動きは上海や東京からのビデオと完全に一致し、 10,000キロメートルの距離があるにも関わらず、 まるで講堂で直接演奏されているかのように誰もが感じました。今回の取り組みは大成功を収め、 今後の試験やマスタークラス、 コンサートに新たな可能性を与えてくれました。 新しい時代の始まりと言えるでしょう。

■受験生のコメント

「新型コロナウイルス感染拡大の影響で試験が受けられるかどうかわからなくなってしまった状況の中、 オンライン中継で受験できることになって、 フライブルク音楽大学や関係者の皆さんに感謝しています。 普段と変わらない感覚で弾けて、 自分らしい演奏ができました」

「オンライン中継での試験がどのように成立するか不安もありましたが、 実際に受験してみて、 このようなスタイルも選択肢の一つとして有効だと思いました。 これからの時代、 海外の入学試験やコンクールの手段の一つとして『Disklavier』を利用したオンライン審査があれば、 もっとグローバル化できるのではという可能性を感じました」

■ヤマハ株式会社 ピアノ事業部ピアノマーケティング&セールスグループ 渥美 志洸氏のコメント

奏者の繊細な演奏表現を確認し審査する入学試験において、 遠隔地を結び高い精度で演奏を再現する『Disklavier』により、 実地試験が困難な大学・受験生の方へ有効な手段を提供することができたと思います。 かつてないほどリモートの生活様式へ注目が集まる中、 対面のライブ感を忠実に再現できるメリットを活かし、 将来的には一般的なレッスンの現場で活用することも視野に入れて音楽大学やピアノ指導者の方と共にトライアルを重ねていきたいと考えています

ドイツ・フライブルク音楽大学でのリモート入学試験の様子