◆「悪いことをしているけど捕まりたくない」セコさマックスの安倍政権

官僚の方々も国民のために仕事したいのに、卑怯でわがままな権力者の片棒を担ぐブルシット・ジョブ(クソくだらない仕事)に翻弄されるのか

 まったく、セコすぎる……。

 安倍政権は今国会で検察庁法改正案を成立させ、強引に黒川弘務検事長の定年延長を図ろうとしていたが、政権にそうそう都合よいことを世論は許さなかった。Twitterで芸能人から批判が溢れ始め、検察庁OBなど身内からも批判が湧き上がり、ついには世論調査で軒並み安倍政権の支持率が下がり、直前まで強気だった安倍晋三氏は、定年延長の法案を先送りへと断念した。

 黒川氏はまさに安倍政権の守護神のようだ。彼が不起訴にした案件は、佐川宣寿元国税長官たちの森友学園公文書改ざん・下村博文元文部大臣の加計学園パーティー券不記載・甘利明元経済再生担当大臣のUR都市再生機構への口利き・松島みどり元法務大臣の選挙疑惑・小渕優子元経産大臣の政治資金規制法違反・自民党若手議員たちのカジノ(IR)事業での賄賂における政治資金規正法違反……などまだまだあるとされている。

 こうして、これまで安倍政権の重大な犯罪の多くが見送られてきた。もし適正に検挙されていれば、安倍政権はとっくに終わっているだろう。また民主党政権時代に、自民党にとって一番の脅威だった小沢一郎氏を強制起訴に持ち込んだのも、当時法務省中枢にいた黒川氏だったとされる。

 その黒川氏は5月、新聞記者と賭けマージャンをしていたことが発覚して辞意を表明した。懲戒処分に相当とする人事院指針を、安倍首相が捻じ曲げて訓告という軽い処分とし、「法務省および検事総長で、事案の内容等諸般の事情を総合的に考慮し、訓告が相当と判断した」と述べた。

 退職金に関しても「結果として自己都合に伴う退職になった、それに相当する減額がされた」として5900万円も支払われる。安倍首相に都合良く行動してきた黒川氏への非常識な見返りを、俺たち国民の税金で賄う。

 世論調査でもほとんどの国民は納得していない。お友達優遇の何者でもない。(6月12日ニュースで、札幌で賭けマージャンをした暴力団幹部や会社役員の5人が逮捕された。黒川氏が逮捕されないのはなぜ?)

◆ブルシット・ジョブの犠牲者をこれ以上増やさない

安倍晋三氏はお友達優遇のために、公務員の方々を翻弄して自らの責任は一切取らないという、この国NO.1の卑怯者だ

 さて、安倍政権を俺が許せないのは2つ。安倍晋三氏が総理大臣になってから、前述のように次々と権力の行使で卑怯なことを繰り返してきたことだ。そしてもう1つ。国のトップである安倍晋三氏がそれら卑怯なことをするたびに、もとで働く省官庁の方々が犠牲になることだ。

 安倍晋三氏とそれを取り巻く官邸官僚や大臣が、憲法違反・法律違反・道徳違反・嘘などを重ねるたびに、国民を向いて仕事をしたい善良な省官庁の方々が、文書を隠したり、書き換えたり、廃棄したり、国会や審議会や委員会でトップの責任をかばうために祭り上げられたり、濡れ衣を被せられたり。

 日本国憲法は15条で、公務員は国民全体の利益のために奉仕すべきであって国民のなかの一部の者の利益のために奉仕してはならないと示している。なのに、安倍晋三氏とその取り巻きは、善良な公務員の方々を憲法違反にさせている。
 それこそを俺は、この国最大の「ブルシット・ジョブ = クソくだらない仕事」(*社会学者のデヴィッドグレーバーが名付けた概念)と呼びたい。権力者が配下の善良な方々に押しつける汚い仕事。指示を出す側は最大に卑怯だし、やらされる側にとっては最大のクダラナイ仕事だ。

 どれだけの方々が、官邸から降りてくるブルシット・ジョブのために無用の忙しさを味わい、悔しい思いをし、良心の呵責にさいなまれ、非難を浴び、自己嫌悪になったことか。官庁に出社できなくなって引きこもったり、鬱になったりした人もたくさんいる。自殺に追い込まれた方もいる。

 森友学園の国有地売却における財務省の公文書改ざん事件で、近畿財務局職員だった赤木俊夫さんはそのお一人だ。妻の雅子さんが死後に出てきた赤木氏の手記をもとに、真相究明を求めて国と佐川局長(当時)を訴えて裁判を起こしている。しかし安倍晋三氏はそのことに対して側近官僚が書いたお悔やみの言葉を読むのみ、麻生太郎財務大臣は「再調査はしない」と答えた。それに対して雅子さんが発表した以下の言葉には大きな説得力がある。

  安倍首相2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。
  麻生大臣は墓参りに来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉を捻じ曲げました。
  この2人は調査される側で、
  再調査しないと発言する立場ではないと思います。

 犯罪者が自らを調査できるわけがない安倍首相と麻生大臣は、自らがこっ恥ずかしくないのだろうか。雅子さんによれば、改ざん問題で苦しみ、自殺しかねない方が財務省にはまだいるのが心配だという。

◆いくども理不尽を押しつける上司や上層部は、人に値しない時代遅れ

安倍晋三氏とその取り巻きは、善良な公務員の方々を憲法違反にさせている。ゆえに多くの公務員の方々が良心の呵責に苦しみ抜く

 俺もサラリーマンだった時代、上司や上層部の責任を押しつけられる理不尽が多々あった。悔しくて悔しくて、辛かった。押しつけた人間の顔も見たくなかった。とはいえ仕事とはそういうものだ、と自分を言いくるめた。

 しかしそんなことが幾度も短期間に重なった時、それに復讐するがごとく、辞意を会社に告げた。理不尽を押しつけた人間たちには、その後退職するまでの短い時間であったが、理不尽には物申すようにした。

 今は歯に衣を着せぬ言論をする俺でも、かつて雇われていた時は、上の人のやり方を批判するなどできなかった。勤めて給料をもらっている場合、ほとんど大抵の人は理不尽に物申せない。今、フリーで仕事しつつも、小さなNPOを運営している。自分のわがままや好都合で理不尽な指示を絶対にスタッフに押しつけまい、と自分に言い聞かせている。

 普通、上に立つ者、権力者たる者は、自分を制御・自制できる人間にこそ、その資格があると思う。また、そういう理不尽なリーダーシップは時代遅れ甚だしくて、みっともないことこの上ない。オープンで横のネットワーク型組織(ティール型組織など)こそ時代の先を進む。

 秘密裏にコソコソと権力的命令でコトを強引に進め、憲法も法律も記録も蔑ろにする安倍政権は、その愚劣な命令指示によって多くの犠牲者を出してきた。この政権を早く終わらせなければ、今後も犠牲者は積み上がってゆく。あなたもこの政権を早く終わらせたいと思わないだろうか!

 俺は安倍政権を“人殺し内閣”と呼んでいる。

【たまTSUKI物語 第26回】

<文/髙坂勝>

【髙坂勝】
30歳で脱サラ。国内国外をさすらったのち、池袋の片隅で1人営むOrganic Bar「たまにはTSUKIでも眺めましょ」(通称:たまTSUKI) を週4営業、世間からは「退職者量産Bar」と呼ばれる。休みの日には千葉県匝瑳市で NPO「SOSA PROJECT」を創設して米作りや移住斡旋など地域おこしに取り組む。Barオリンピックを前に15年目に「卒」業。現在は匝瑳市から「ナリワイ」「半農半X」「脱会社・脱消費・脱東京」「脱・経済成長」をテーマに活動する。(株)Re代表、関東学院経済学部非常勤講師、著書に『次の時代を先に生きる』『減速して自由に生きる』(ともにちくま文庫)など。

官僚の方々も国民のために仕事したいのに、卑怯でわがままな権力者の片棒を担ぐブルシット・ジョブ(クソくだらない仕事)に翻弄されるのか