遺品整理と不用品回収はまったくの別物です。どちらもものを処分することに関係していますが、その方法や気持ちの向き合い方が異なります。

業者に依頼する前に、それぞれの違いについて理解しておくことが、実はとても大切。トラブルなどを避けることができます。遺品整理を専門に手掛ける会社「ココロセイリ」の荻原悠史さんに、不用品回収との違いについて詳しく教えてもらいました。

遺品整理と不用品回収の違い。「仕分けと気持ちの尊重」に業者の姿勢の差

回収物をゴミとして扱わず、しっかり仕分けをする

仏壇のイメージ

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

不用品処分との違いをお話しする前に、まずは遺品整理の作業の流れをお話ししたいと思います。

遺品整理は、以下のような流れで進みます。

  1. 仕分け
  2. 養生
  3. 梱包
  4. 搬出
  5. 清掃
  6. 供養
  7. リサイクル

遺品整理業者が不用品処分業者と違うのは、まず1の「仕分け」が挙げられるでしょう。遺品整理では、仕分けをとても丁寧に行います。

中には、「遺品の中のどこかに貴重品があるので探してほしい」といった依頼を受けることもあります。そうした細かい要望にも対応するのが不用品回収業者と大きく異なる部分です。

遺族の気持ちを尊重し、思いが詰まった遺品は供養する

供養のイメージ

成瀬 / PIXTA(ピクスタ) ※写真はイメージです

また、6の「供養」も遺品整理業者ならではのプロセス。

故人の遺品を処分してしまうことに罪悪感を持つ遺族はとても多いものです。また、故人の思いが詰まった遺品をぞんざいに扱われないか、どのように処分されるのか、遺族はとても不安だと思います。

遺品整理業者である私の会社では、遺族のみなさんの気持ちを尊重し、神棚や仏壇以外にも、ご依頼があれば故人の思いが詰まった遺品をまとめて供養しています。これも、不用品回収との大きな違いです。

リサイクルを含めた丁寧な対応が最大の特徴

古い家具

keeyan / PIXTA(ピクスタ)

また、遺族が不要と判断した遺品の中に貴重品があった場合は買い取りをしていますが、買い取りができないものはリサイクルに回しています。

例えば、私の会社では木製の家具類は木材チップ、古紙は資源としてリサイクル。衣類や食器などは開発途上国に輸出しています。

古い灯油

YNS / PIXTA(ピクスタ)

さらに、自治体が対応してくれない場合もある消火器や灯油、リサイクル家電などは、それぞれの回収業者を手配して引き取ってもらう作業がとても面倒です。こうした手間のかかる作業もまとめて引き受けさせていただいています。

部屋をきれいに清掃する、ご近所への挨拶を代行する、遺族が立ち会いできない場合は写真などで作業の報告をする、といった丁寧な対応。また、それらをトータルで提供している点が遺品整理業者の特徴といえると思います。

荻原悠史さん

教えてくれた人/ココロセイリ代表取締役・荻原悠史さん。遺品整理士、事件現場特殊清掃士等の資格を持ち「日本一正直な遺品整理業者」として関東エリアをメインに遺品整理、生前整理、買取、供養、特殊清掃などのサービスを展開

pixta_65500849_M